首相夫人としてどころか、この人ほど政治家の妻らしくなかった女性はいないのではないか。森友問題などで夫の足を引っ張り、コロナ禍でタレントとお花見を満喫。闘病する夫との夫婦関係の行方は──。
昭恵夫人はそのとき、夫の“無念の会見”をどういった思いで見ていたのか。
昭恵夫人は何を思う?
「肩の荷が下りて、心の奥底ではホッとしたはず。安倍政権が歴代最長記録を更新したように、昭恵夫人も最も長くファーストレディーを務めたわけだから。
安倍首相は任期中に念願の『憲法改正』を果たせず、辞任表明会見で悔しさをにじませた。
しかし、自分の世界を大切にする昭恵夫人には関係ない話。衆人環視の息苦しさから解放される喜びは大きいだろう」
と政治記者は喝破する。
安倍晋三首相が持病の『潰瘍性大腸炎』悪化を理由に辞任表明した。
第1次政権の2007年に続き、途中降板は2度目。8月28日の会見では明らかに顔色が悪く、厳しい病状がうかがえた。
ジャーナリストの須田慎一郎氏は「私も10年以上前に、潰瘍性大腸炎を患ったことがあるので、そのつらさはよくわかるんです」と切り出す。
「大腸にできた潰瘍から出血するため、1日に約10~30回血便を出します。それだけでもそうとう体力を消耗するほか、月1回の割合で高熱や猛烈な腹痛が起きます。安倍首相は第1次政権でこれに耐え切れなくなったわけですが、辞任後にできた治療薬『アサコール』が効いて再登板できました。しかし、長年の常用によって効き目が悪くなり、いまは約2~3週間に1回は点滴を打たなければならなくなったそうです」(須田氏)
つまり、体力の限界と今後の闘病生活を踏まえて退くかたち。すぐさま生命が脅かされる状態ではなく、その証拠に首相退任後も国会議員は続ける意向を示している。
在任中、自由奔放なアッキーこと昭恵夫人は「家庭内野党」を公言し、政府の原子力政策や被災地復興策を批判することも。大麻解禁にも言及するなど爆弾発言は少なくなかったが、さすがに最近は目立った行動をとっていない。
居酒屋経営に本腰を入れる?
国会議員秘書が耳打ちする。
「そもそも昭恵夫人は出しゃばり。国会議員の妻は地元の後援者や関係先をフォローし、夫に代わって票集めする“黒子”なのに、昭恵夫人は好きなことばかりして安倍首相の足を引っ張ってきた。
少し落ち着いたら、これまで以上に好き勝手するでしょう。苦渋の選択をした安倍首相が、そんな昭恵夫人に愛想を尽かしてもおかしくない。もともと母・洋子さんとの嫁・姑関係も全然うまくいっていないんですから」
森友学園問題で昭恵夫人の証人喚問などが求められているとき、安倍夫妻と同居する洋子さんは「あなたのせいで晋三が首相を辞めることになったら許さないから」と昭恵夫人を面罵したとされる。
政府は昭恵夫人を「公人ではなく私人」と異例の閣議決定をするはめになり、板挟みが続く安倍首相は私邸でもくつろげなかった。
「退任によって時間的余裕ができるため、いままで気にとめなかったことが気になるようになる」(前出・秘書)
夫婦関係に亀裂が生じるおそれもあるという。
また、安倍首相の地元・山口でも昭恵夫人は微妙な存在になってしまっている。
「地元事務所のスタッフと安倍夫妻の話をすると、なぜか『昭恵さん』『昭恵夫人』とは言わず、『夫人』とそっけない呼び方をするんです。昭恵夫人の言動は困ったものだという空気感があり、それは安倍首相の耳にも入っているはずです」と前出・須田氏。
政治家を続ける以上、この溝は放置できないだろう。
いずれにしても、ファーストレディーではなくなる昭恵夫人の“第二の人生”はどのように展開するのか。
昭恵夫人をよく知る政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「いまはコロナ禍で臨時休業中のようですが、都内の居酒屋『UZU』の経営に本腰を入れるのではないか。昭恵夫人は休業以前から店に出てこなくなっていたらしいから」
コロナ禍の3月にタレント・手越祐也やモデル・藤井リナらと私的なお花見をしていたと報じられたほか、ほぼ同時期に大分県の宇佐神宮にも参拝。物議を醸しただけに、現在は自粛中ともとれる。
「現職の首相夫人にはさまざまな人が近づいてきますが、元ファーストレディーはそこまでお呼びがかかることはなく、気心が知れた人と付き合いを深めることができるでしょう。“電通(元勤務先)の宣伝部長”とあだ名されたほどお酒の好きな人ですし、人付き合いも天才的にうまいから、ほどほどに居心地のいいポジションをつくるのではないか」(有馬氏)
熟年離婚の可能性は?
離婚危機については懐疑的な見方をする。
「安倍さんは第二次政権の直前、昭恵夫人から“もう、やめておけば”と言われたのに再登板を決めたんです。ファーストレディーではなくなる昭恵夫人が多少好きなことをやったとしても、口を出しにくいでしょう。離婚はないはず。あの夫婦の場合はパフォーマンスではなく、本当に仲がよくて手をつないでいるんですから」(同・前)
前出・須田氏も「離婚はないと思いますよ」として次のように話す。
「子どもがいないこともあって、安倍首相は“子どもを見守る”ような眼差しで昭恵夫人を見ているんです。ちょっとやそっとで腹を立てないし、天然な性格も好きみたいですね。嫁・姑関係は悪いけれど、夫婦仲は悪くない」
一方、前出の政治記者はこう指摘する。
「自分で蒔いた種なのに昭恵夫人は森友問題で何も説明しようとせず、逃げの一手だった。安倍首相が辞めたあとはそんな姿勢は通用しなくなる。そこまで守られる存在ではなくなるし、そのわりには公の場に出たがる人だから、講演で聴衆などから“いまならば話せますよね”と説明を求められる状況は嫌だろう」
森友・加計問題や桜を見る会など「政権の私物化」が顕著だった安倍政治が終わる。
辞任表明会見で、記者からその点を突っ込まれた安倍首相はこう答えた。
「私は私物化したつもりはまったくない。説明ぶりについては反省すべき点もあるかもしれない。誤解を受けたのであれば反省したい」
本当に反省する気持ちがあるならば、退任後、国民が納得できるよう丁寧に説明し直せばいい。
それは昭恵夫人も同じことで、もし熟年離婚というかたちであいまい決着させようとするならば、とうてい許されないことだ。