「ええっ、ここん人やったと? ゼンゼン知らんやった。引っ越してきて1か月ぐらいやったけど、挨拶もせん変な人やったけん……」
と大分県日出町の三浦貴正容疑者と同じアパートの住人は驚く。
全国で初めての逮捕者に
7月10日の夜10時ごろ、同・別府市を通る国道10号線上で、愛用の軽自動車を運転中に、別府市の20代の会社員男性の乗用車をあおり続けた三浦容疑者。
およそ5分、3キロにわたって頻繁にクラクションを鳴らし、執拗に車間距離を縮め続けたのだ。
その後、別府タワーのあたりで無理やり前方に割り込んで急ブレーキをかけ、車を追突させた。容疑者はすぐに車を降りて、男性に近づき、車から引きずり出そうと試みたが、男性はひるんでなかなか出ようとしない。すると、
「包丁で刺して殺すぞ!」
と脅し、男性の首を引っ張るなどの暴行を働いた。双方ケガはなかったようだが─。
「容疑者と被害者の車には、ドライブレコーダーは搭載されていませんでした。警察が、近隣の防犯カメラや、同時刻の車両のドライブレコーダーを解析して、まず7月23日に三浦容疑者を暴行と脅迫の疑いで逮捕しました」(地元メディア記者)
続いて、8月18日に、道路交通法違反(あおり運転)の疑いで逮捕された。
「あおり運転とされる10の違反行為のうち、容疑者は執拗にクラクションを鳴らし続けた、車間距離を保持しなかった、禁止の進路変更をした行為があったようです。
現場は、大きな道路で防犯カメラもあるし、交通量も多いのに、容疑者は自分をコントロールできない性格なのかもしれません。“男性の車にイライラしてやった”と供述しています」(同・記者)
近年、社会問題化していたあおり運転だが、今年6月30日に厳罰化した改正道路交通法が施行されてから全国で初めての逮捕となった。
この法律によれば、あおり運転(妨害運転)をした場合、最高で5年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられ、免許は即、取り消しで、最大で3年は再取得できないと定められている。
三浦容疑者は、
「厳罰化されたとは知らなかった」
などと言って、容疑を認めているというが、どんな人物なのか─。
今回の事件現場から近い別府市の有名なアミューズメント施設「別府ラクテンチ」のそばで生まれ育ったという容疑者。
地元の小中学校の同級生はこう証言する。
「彼のことはまったく覚えていないから、報道でもわからんやった。中学校の卒業アルバムを見たら、ああ、いたかもと思ったぐらい。
中肉中背でおとなしく、目立たなかった印象。要するに、勉強やスポーツで優れているわけでもなく、かといって、ワルで目立つというところもなかったかな」
その後、容疑者の住居は転々としていたようで、現在の日出町のアパートへとたどり着く。
キーボードより空き缶の音
三浦容疑者のフェイスブックやインスタグラムには、派遣会社でトラックの運転手をしていたのか、トラックの写真や、キーボードやタレントの壇蜜のグッズなどが多数、アップされている。
仕事も趣味も充実しているようで、容疑者の友人はこう証言する。
「彼はFANKSと呼ばれる、TM NETWORKの熱狂的なファンで、感性豊かなキーボードプレーヤーです。とりわけ小室哲哉さんを尊敬していて、彼と同じ『YAMAHA KX5』という(ショルダー)シンセサイザーを所有していて、テクノ系も好きでしたね」
恋人や妻はおらず、独身だったようだが、
「決して短気ではなく、あおり運転をするような人柄ではなかった」(友人)
しかし、普段の生活で見せる表情は運転と同様、粗野で非常識なものだった。
自宅アパートの別の住人が語る。
「夜中に缶ビールなどの空き缶を自宅の窓からぽんぽん捨てちょってね。缶の音でわかるのよ。えっ、キーボードの音? それは聞こえたことはなかね。
それから、同じアパートの住人が止めている車のナンバープレートを2、3枚剥がして盗んどった。嫌がらせだろうけど、それで警察ざたになり、引っ越していった住人もおるくらい」
小室哲哉信者なのに薄毛に悩む
さらには、あおり運転の6日前の7月4日の夕方6時30分ごろ、自宅近くのコインランドリーで洗濯機を蹴った器物損壊の疑いで、8月3日に逮捕されていた。
「洗濯機がすべてふさがっていたので怒って、そのうち1台の正面を蹴ってへこませたようです。すでに管理会社とは示談が成立していて、弁償もすんでいます」(前出・記者)
前出の住人は、
「おかしかね。あおり運転、ナンバープレート盗み、洗濯機損傷と、わざと捕まるようなことを繰り返しちょるのが。
40代後半で1DK家賃2万円のアパートに住むショボくれた生活しとるし、ひとりもんだし、将来も見えちょるから、やけになったんかなぁ」
と、つぶやく。容疑者には何か欲求不満や、屈折があったのだろうか……。
前出の友人が打ち明ける。
「実のところ彼は、薄毛のことが不満だったようです。“小室信者”なので彼の髪型を意識していましたが、薄毛のために同じヘアスタイルがかなわなかった。
彼の悩みは、死ぬほど小室哲哉のことが好きだったのに、薄毛で彼のようになれなかったことです。とても悩んでいましたね……」
そんなフラストレーションを他人や車に向けるとは、どうかしている。
三浦容疑者がキーボードの腕前だけでも上げれば、壇蜜のようなしっとりとした女性の目にとまることもあったかもしれないのに……。