「菅さんが派閥を越えて応援されたのは、彼のぶれない姿勢を周囲が見抜いたということでしょう」
そう熱く語るのは、菅義偉官房長官(71)とは30年来の仲である横浜市議会の田野井一雄議員(79)だ。
8月28日、7年8か月におよぶ歴代最長政権を築いた安倍晋三首相(65)が突如、健康上の理由で辞任を表明。
ポスト安倍に注目が集まる中、真っ先に自民党内の支持を集めて次期総理就任を確実にしているのが菅官房長官だ。
菅義偉氏の人柄に迫る!
菅総理就任後について政治評論家の有馬晴海さんは、
「安倍首相のあとを引き継ぐと公言しています。コロナ対応や経済対策など、安倍政権から特にやることは変化しないでしょう」
と今後を見通す。
秋田県出身で上京後は段ボール工場などで働きながら法政大学に通った苦労人。かつて中曽根内閣で通商産業大臣も務めた故・小此木彦三郎衆院議員の秘書を経て横浜市議に当選し、その後、国会議員に。そしてついに、トップまで上りつめようとしている。
昨年には元号を発表する姿が評判となり、「令和おじさん」の愛称で親しまれた。
そんな菅官房長官のプライベートはほとんど知られていないが、その素顔とは─。
「すごく照れ屋で、親しくなると、人懐っこい方です」
そう話すのは、菅官房長官の選挙区である横浜南区で6回選挙事務局長を務めたという齋藤精二さん(82)。
「菅さんは休みを取らず、寝ても覚めても政治のことばかり考えている」
多忙を極める官房長官にも楽しみがあるようで、
「無類の甘いもの好きなんです。パンケーキや甘納豆を好んで食べる。毎年、菅さんの誕生会を仲間内で行うのですが、大きなイチゴのケーキもペロッと平らげてしまうんです」(齋藤さん)
今でこそ全く休みが取れないという菅官房長官だが、横浜市議会時代から付き合いのある田野井議員とは多くの時間を過ごしてきた。
「昔はよく一緒にサウナでマッサージを受けるのが楽しみでしたね。市議会議員時代には仲間と一緒にプライベートでハワイへ行ったこともあります。それと当時は議員の野球団に所属していて、菅さんは三塁手でした。瞬発力があり、バッティングが素晴らしかった」
そんな菅官房長官にも“欠点”があるようで……。
菅義偉氏の欠点「政治は一流でも……」
「菅さんは秋田出身のわりに酒を1滴も飲めない。食べるのも早すぎです。すき焼きでも、生肉のまま食べてしまうくらいです」(田野井議員)
欠点はそれだけではなく、
「政治は一流なのですが、歌は三流です(笑)。調子のいいときは一緒に車に乗ると演歌なんかを歌っていました」
菅官房長官は、現職に就任してから8年間ほとんど自宅に帰らず、赤坂の議員宿舎で寝泊まりしているという。多忙な生活を陰で支えている妻・真理子さんとはどんな人物なのか。
「安倍昭恵さんとはタイプが違って、出しゃばるようなことは決してありません。自分に厳しく、遊びもしない」(齋藤さん)
軽率な行動の目立ったアッキーは、「森友学園問題」では不当な国有地払い下げへの関与を指摘され、その後、税金を使って仲のいい芸能人たちとバカ騒ぎした「桜を見る会」の疑惑についても報じられた。ファーストレディーという立場ながら、幾度となく夫の政権運営の足を引っ張り続けた。
一方で、次のファーストレディーは今まで表舞台に出てこなかったので、素性が謎に包まれている──。
馴れ初めは議員秘書時代
静岡県清水市出身で昔からショートカットだという真理子さんとの馴れ初めは、秘書時代に遡る。事務所へ手伝いで来ていた5歳年下の真理子さんに、菅氏はひと目惚れしたという。
「清楚で周りに気遣いができ、菅さんと同じく贅沢もしない。夫を国に捧げたという気持ちで、家庭を守っていらっしゃいます」(田野井議員)
夫へのサポートには余念がなく、過去に夫が激太りしていた時期には、
「真理子さんが毎朝、手作りのスープカレーを食べさせ4か月で76キロから62キロへとダイエットを成功させました」(齋藤さん)
3人の子どもを授かった夫妻だが、政治に邁進し子育てに参加する時間もない夫を支えながら、子どもを育てた。長男は一時、父の秘書を務めたが、世襲制に批判的な菅は地盤を継がせる気はなかった。
真理子夫人の評判は秘書からもよく、かつて菅官房長官のもとで秘書を務めた横浜市議会の遊佐大輔議員(39)は、
「真理子夫人は本当に優しい。“いつも菅のためにありがとう”“菅に怒られてない?”と声をかけてもらいました」
と夫人の人柄に太鼓判を押す。お騒がせアッキーとは大違いのようだ。出しゃばって表に出ることは決してなく、夫に尽くしてきた。
田野井議員が夫婦の義理人情の厚さを感じさせるエピソードを明かす。
「17年ほど前ですが、私の妻が亡くなったときに、菅さん自身の選挙中にもかかわらず、2日にわたって夫婦で葬儀を支えてくださった」
さらに、公務で夫が不在のときには、夫人が後援会でスピーチをすることもあるそうだ。
「本人に代わってあいさつをする。内容は非常にシンプルだけれども、人の心を打つ話ができる方で、地元でも信頼されています」(齋藤さん)
フェイスブックでたびたび不適切な投稿をして物議を醸した昭恵夫人とは、発信力にも違いが見られる。
日ごろの努力のかいもあり選挙にはめっぽう強い菅官房長官だが、それでも……。
「選挙前になると真理子夫人は今でも、震えて泣きそうになりながら“主人が落ちたらどうしよう……”と青白い顔で不安そうにしているんです」(遊佐議員)
長年、夫を支えてきた真理子夫人。これまではあまり公の場に姿を見せなかったが、
「ファーストレディーになれば外遊の際などメディアに露出する機会もあるでしょう」(前出・有馬さん)
日本中で注目を浴びる今、内心では震えて泣きそうになっているのだろうか……。