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 リモートワークや外出自粛が続き、働き方や職場のコミュニケーションが一変。今、心の悩みを抱える人が増えつつある。職場のメンタルヘルスに詳しい、帝京平成大学現代ライフ学部の渡部卓教授によると「リモートワークが長期化し、7月から心の悩みの相談件数が増えています」という。家族で過ごす時間が長くなったことで、家庭内でストレスを抱える人も。

「心をゴムボールに、ストレスを石にたとえると、石がボールに当たったとき、過度なストレスがかかるとボールは凹みます。これがイライラして落ち込んだ状態。石が当たり続けるとボールは弾力を失い、しぼんでしまう……これが心が折れた状態」

物事の受け止め方は変えられる

 ストレスをためやすい人とそうでない人の違いは、物事の受け止め方だという。

「ストレスをためやすい人は、思い込みが強かったり、考え方に偏りがあることも多いもの。例えば友達グループのうち、自分以外の人だけでランチに行っていると知ったとき『みんな私のことが嫌いなんだ』と受け止めるか、『私が忙しいと思って気を遣ってくれたんだ』と受け止めるかで、意識も行動も変わってきます。前向きに受け止めて行動すれば、自然とストレスのない状況に。出来事そのものは変えられなくても受け止め方は変えることができ、その結果である心の状態も変えられるのです

 受け止め方は、生い立ちや教育、性格などが影響し、個人個人でクセがあるが、変えられる。

「変える方法はさまざま。口グセを変えたり、前向きになれる言葉を思い浮かべたり、心にある言葉を書き出す……など。続けると自分の受け止め方のクセを修正することができ、ストレスをためにくくなります」

【こんな人はストレスを抱えがち】

1. つい頑張ってしまう
 いい妻、母であろうとしたり、常に笑顔でいようと頑張りすぎると心に大きな負担が。

2. 思い込みが激しい
 知人同士が話すのを見て「きっと私の悪口を言っている」など悪いほうに考える人は注意。

3. 理想が高い
 いつも完璧を目指していると、想定どおりにならないとき必要以上に落ち込んでしまう。

4. 几帳面な性格
 きっちりやりたい人、気を遣いすぎる人は、思わぬ失敗など環境の変化に弱い傾向が。

5. 遠慮しがち
 周囲の空気を読みすぎて他人を優先すると、自分の心を抑え込むのでストレスに。

《つらくなったら心の中で“はひふへほ”をつぶやこう》

 つらいときこそ、不満より今ある幸せを認識すること。それを思い出すために“はひふへほ”を唱えよう。結果を求めているときは「半分でいい」、評価が気になるときは「人並みでいい」、目標が高すぎるときは「普通がいい」、他人が羨ましいときは「平凡でいい」など自分をなだめてあげよう。

 次のページでは、ストレスがスーッと消える、魔法のフレーズたちをご紹介!

ストレスを感じたら試してみて!

■つい言ってしまいがちな「絶対〇〇」「〜するべき」「〜のはずだ」をやめよう

 よく「絶対○○よ」「~するべき」などと考える人は、自分のあるべき姿へのこだわりが強く、思いどおりにいかなかったときにストレスをためてしまいがち。価値観やこだわりは人それぞれだということを頭の片隅に置いて。

■落ち込んだときは前向きフレーズを口グセに

 失敗して自分を責めそうなら「ま、いっか」、落ち込んだら「まぁ、こんなもんだ」など心を軽くする言葉を。不安なときは「失敗するかも……と思った」と、ひと言加えると、物事を客観視でき、悪い思考から抜け出せる。

■「〇〇ちゃんは大丈夫!」と声に出して言ってみる

 家族に文句を言われたり、友達から注意されたりしただけで「ダメな私」と落ち込んでしまうのは、自分を過少評価しているせいかも。自分にニックネームをつけ「〇〇ちゃんは大丈夫!」とか「〇〇ちゃんは気にしない!」と声に出して言うと、自信が湧いてくる。

■過少評価は悪いクセ。自分に甘~く“70点で合格”主義で

 家事でも人付き合いでも、いつも100点を目指す完璧主義な人は、目標レベルに達しなかったときに心が折れる傾向がある。現実的にはなんでも60〜70点レベルで問題なく進むものなので、どんなときも「70点でいい」と目標レベルを下げ、ゆるーく考えるクセをつけておこう。

■叱責を受けたら“叱られた”のではなく“愛された”と受け止めて

 人から怒られた場合、相手は自分に「よりよくなってほしい」という愛を持っているもの。愛がなければ無視するはず。叱責されたら「私はダメなんだ」と後ろ向きにとらえず、「愛された」と前向きに受け止めて。

■“時間が解決する”から、どうにもならなくなったらその問題は放置でいい

 今は不安だったり傷ついたりしていることも、時間が解決してくれることもある。悩み続けても解決せず、つらさだけが続くようなら放置してオッケー。ほかのことを考えたり行動したりしているうちに、だんだん気にならなくなるはず。

■1日10回唱えると人生変わる!? ハワイの秘法

「ホ・オポノポノ」はハワイに伝わる伝統的なセルフクリーニング方法。「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」の4つの言葉をセットで1日に10回唱え続けると心が浄化され、感謝の気持ちが湧いてきて、前向きになれるはず。

■空気は読まない

 空気をあえて読まないことで気がラクに。気を遣いすぎると、かえって周囲の人にも気を遣わせてしまい、場の雰囲気が窮屈になることも。上手に言いたいことを言い、したいことをする練習をしてみよう。同時に他人の自由な言動やふるまいを認めることも大切。

■YOUではなくHEかSHE。“人付き合いは2.5人称”で

 家族や友達などと距離が近すぎると、意見の違いにイライラしたり、相手のアラ探しをしがち。2人称以上3人称未満の2.5人称の距離を保てば、お互いを思いやることができる。相談事も親友だと単なる愚痴になりがちなので、久々に会う知人などに話すと客観的な意見を聞きやすい。

(取材・文/野中真規子)

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【PROFILE】
渡部 卓先生 ◎帝京平成大学現代ライフ学部教授。ライフバランスマネジメント研究所代表。企業のマネジメント経験をもとに、メンタルヘルス対策の第一人者として講演や研修を行っている。