2019年昨年の『紅白歌合戦』のフィナーレ

 年末の音楽業界の2大重大イベントのひとつ、NHK紅白歌合戦が今年は、無観客で行われることになった。先日、NHKの前田晃伸会長(75)が定例会見で発表した。

「紅白は、NHKが地方で実施している『のど自慢』と同じ、公開放送なんです。紅白は12月31日に行われますが、その前日に行われるあの公開放送にも影響を及ぼすのは必須ですね」

 そう断言するのは、スポーツ紙芸能記者だ。

レコ大は賞ではなく音楽祭に

 12月30日には、音楽業界のもう一つの重大案件、日本レコード大賞が行われる。アーティストが集い、観客を入れる、という公開放送のパターンは、紅白と同じ。

「主催は日本作曲家協会で、後援がTBSという形ですが、実質的にはTBSの事業。事前会議も東京・赤坂のTBS局内で行われます」と前出・スポーツ紙芸能記者は指摘する。

 通常、9月には審査が動き出すレコ大だが、今年はまだ動きがない。

「どうもTBSには、コロナを口実に、レコ大を大変革してしまおうという思惑というか、希望があるようです」

 そう明かす関係者は、その理由をこう加える。

「レコ大は、当日、会場にアーティストが来てパフォーマンスすることが前提ですが、審査委員やTBSが出てほしいと思う人気アーティストが出たがらない。何年も前から言われていることですが、音楽業界の力学によって決定しまうことがあり、それが世間にも知れ渡り、飽きられている。

 数年前には、ある芸能事務所が1億円のプロモーション代を支払っていたことが週刊誌に書かれたことがあった。社会全体が今、癒着を嫌悪する方向になっていますから、TBSは賞ではなく、音楽祭化しようと画策しているそうです」

 このところ音楽業界には、あいみょん、米津玄師、King Gnu(キングヌー)、Official髭男dismなど、生きのいい逸材が人気になっている。

「本来なら、ヒットを放っている彼らがレコ大に出演してくれればいいのですが……。レコ大で賞を取ったところで、それが自分のキャリアにプラスにならないことを知っている若手は、出るわけがない。でも音楽祭だったら出ますからね」

 NHK紅白にレコ大。音楽業界の年末の2大イベントも、コロナ禍の影響で運営そのものを変化せざるを得ない状況だ。

〈取材・文/薮入うらら〉