女優の芦名星さんが9月14日、東京都内の自宅マンションで死亡しているのが見つかり、世間に大きな衝撃を与えている。
「マンション前を、ワンちゃんとリードなしでおひとりで散歩している姿を6月ごろまではよく見ましたよ。上下スウェットのようなラフな姿で、朝、夕方、夜とよくお見かけしていたのですが、8月以降はぱったり見なくなっていました。当日の朝、パトカーや救急車が来て物々しい雰囲気だったので何だろうと思っていたら、まさか亡くなっていたとは……」(マンションの近隣住民)
8月に
地元・福島へ帰省
モデル志望だった芦名さんは、地元の福島県郡山市から芸能系の学校へ進学するため上京。高校からほど近い事務所前でスカウトされ、'02年にモデルデビューした。'06年にオーディションで日本・カナダ・イタリアが総製作費30億円を投じる合作映画『シルク』の日本人ヒロインに抜擢され、注目を集めた。
「10月からは、テレ朝系の人気ドラマ『相棒 season19』で5シーズン連続の続投も決定しており、撮影が始まっていました。来月からは映画の撮影も控えるなど、仕事は順調そのものだった。しかし、新型コロナの影響で今年4月に給料制から歩合制に変更されたことで、将来に対しての不安を口にするようになっていたといいます。
とはいえ、所属していたホリプロも3月の利益が前年比90%減だったことを堀義貴社長がSNSで明かすなど、収益が厳しい状況。給与体系が変わったのは彼女だけではなく、事務所も断腸の思いで変更してもらったそうなのですが……」(芸能プロ関係者)
家族と仲のよかった芦名さんは、頻繁に地元へ帰省していたという。だが、今年は新型コロナの感染拡大により県をまたぐ移動が自粛されてしまった。大好きな家族に会えない寂しさを、プライベートで開設したインスタグラム(現在は閲覧不可)の中で綴っていたことも。
《#恋しい #家族が大好きな私 #家族がいるから #頑張れる #元気いっぱい #大笑いする #強くなれる #踏ん張れる #前に前に #進んでいける #私の全ての源は #原動力は #家族 #本当に #会いたい #テレビ電話じゃなくて #会いたいよ》(7月20日の投稿より)
コロナウイルスの地方への感染状況が落ち着いてきたことや、仕事がひと段落ついたこともあったのか、8月に入ってから彼女は地元へ帰省している。そのときには、郡山市にある行きつけのラーメン店『麺屋 正遊』を家族で訪れていた。店主が当日の様子を振り返る。
「奥の座敷で両親、兄弟と楽しそうに会話しながら食事をされていましたよ。笑い声が絶えず、特に笑っていたのが芦名さんだったような気がします。半年に1度ぐらい家族みんなで来てくれて、来店するときはいつも手打ちの中華そばを注文されていましたね。
プライベートだったのでこちらから声をかけることはありませんでしたが、最後に来店されたときも、オーラですぐに芦名さんだと気づきました。帰り際に“美味しかったです”と言ってくれたときの笑顔が忘れられないですね……」
最後の投稿は“バルス”
地元ではのんびりできたようで、実家近くにある定食店にも足を伸ばしていた。
「冬あたりから久しく来ていなかったんだけど、今年は8月に2回も家族と来てくれましたよ。帰省のたびに顔を出してくれて、最後に来たときは清酒『奥の松』を飲みながら、焼き魚と刺身を食べていたかな。悩んでいるような様子はまったく感じられなかったね。帰り際にサインを求めたときも、“いいですよ”って言って、快く書いてくれたんだけどね……」(定食店の店主)
9月上旬には、実家近くの酒店にも訪れていたようだ。
「おひとりで来店し、地酒のことをいろいろ質問してきたそうです。マスクをしていたものの、スタイルのよさでお店の方もすぐに気づいたみたい。東京の自宅で飲むためなのか、地酒を3本買って宅急便で配送していたといいます。
お酒を選んでいるときの芦名さんの表情は真剣そのもので、日本酒好きでないと選ばないような銘柄を選んでいたため、“彼女はかなりの日本酒通だ”と、店主も舌を巻いていたそうです」(地元の飲食店関係者)
このときに購入した地酒を楽しんだのか、亡くなる2日前の9月12日には、インスタグラムのプライベートアカウントで晩酌していることを明かしていた。
《父親の湯呑み。美しく、感触が独特で…清潔感があって…なんとも言えなく好き。熱燗をいただくのに借りて、この湯呑みで飲むと、とても美味しく、気分良く、なんだかホッとしてお酒をいただけた》
ほどなくして、家族みんなが好きだったというジブリ映画『天空の城ラピュタ』の中に登場する飛行石のペンダント写真と、ラビュタの崩壊を引き起こす呪文《バルス》という、意味深な“最後の”投稿をした芦名さん。その2日後、帰らぬ人となってしまった。
「『ラピュタ』の放送時には、SNSで“バルス”と投稿するのがすっかりおなじみになりましたが、それ以外で使用されるときは、虚無を通り越して自暴自棄になって破壊衝動に駆られるときに使われるイメージです。“死にたい”は重すぎるけど、フラストレーションは溜まっている……そういう気持ちを表すときに使用される言葉として定着しています」(アニメに詳しいライター)
ここ最近も地元にたびたび帰省し、大好きな家族からたくさんの愛をもらっていたはずの芦名さん。彼女の抱えていた悩みは今となってはわからないが、残された家族や関係者の悲しみは計りしれない……。