9月24日『文春オンライン』に有名人同士の熱愛が報じられた。もはやおなじみ“文春砲”だが、今回はその組み合わせがすごい。
《《熱愛撮》再生68億回の人気ユーチューバー「東海オンエア」メンバーがカリスマ元JKと腕組みデート》
タイトルを読んで「いや、誰と誰だよ」という疑問を抱く人もいるだろう。実際に見出しにふたりの名前が入っていないことから察するに、『文春』も読者層をかんがみて「“68億回再生”推しのほうがいいんじゃないか?」という判断を下したのかもしれない。
記事の主人公は大人気グループ『東海オンエア』のとしみつと、“双子ダンス”でお馴染みの2人組ユーチューバーユニット『まこみな』のまこ……なのだが、名前を聞いてもまだ「だから、誰と誰だよ」となる人も多いかもしれない。それも当然。今や“テレビでお茶の間団らん”な時代は終わりを告げ、ユーチューブやネットフリックスなどの登場により、どのメディアを消費するかは“人それぞれ”な世がやってきたから。つまり、東海オンエアが超スーパースターなのか、ただの一般人なのかは人によって見え方が大きく異なるというわけだ。
一流パパラッチvsユーチューバーの結末
時代の流れをいち早く掴んだ『文春砲』はついにユーチューバーをも標的にするようになったか。そう思って記事を読んだが、今回のパターンは狙い撃ちではなく、流れ弾が命中しただけということがわかる。
というのも、『仮面ライダーセイバー』の主演俳優・内藤秀一郎とかす(これまたユーチューバー。平仮名多すぎ)の熱愛を追ってかすの住む高級マンションを張り込んでいたところ、たまたまそこを出入りするふたりを目撃したと記述されているからだ。
ここで気になるのは、“偶然見つけた”くだりに登場するこんな描写。
《「あれ、『まこみな』のまこちじゃないですか?」》
通りがかった元カリスマJKを目視で判別できるこの記者はいったい何者なのか。ドラマなどに出ててくる無精髭にニット帽をかぶったおっさん記者イメージをぶち壊すようなまこみな認知! しかも“まこち“と愛称呼び。暗がりのなかマスクをつけている彼女を見つけることができるなんて、よっぽどのファンなのか。とにかく有能な記者である。
一方、ターゲットにされたとしみつとまこはというと、
《しっかりと腕を組んで、近所のコンビニに入っていったが、買い物が終わって、店から出てきたときには、周囲を警戒。互いに距離をとって歩きながら、マンションへと戻ってきた》
とある。全く意味をなしていない警戒コントラストはコントさながらだが、確かに恋愛事情の詮索を前提とした芸能人とユーチューバーでは、張り込まれているという意識とその対策力が違うのも当然。まさか自分が俳優みたく背景に“薄ぼかしモザイク”を入れられたあの写真を掲載されるとは思わなかっただろう。ド正面から腕組み姿をパシャパシャ、されたのである。
とにかく、「一流パパラッチが超人気素人を撮る」という新時代のスクープはこのような結果となった。
ユーチュバーのスクープ連発! の時代に?
そして驚くべきは、この記事が『文春オンライン』のアクセスランキング1位に躍り出たということ。新たな需要が証明されてしまったのである。今後は編集長による「ユーチューバーを狙え」の号令とともに、スクープが量産されてしまいそうだ。そうなるとユーチューバーも“週刊誌対策”も覚えていくのだろうか。キャップを目深にかぶりタクシーに乗ったまま高級タワマンの地下駐車場に消えていった……みたいな感じで。ゴシップが新たなフェーズに突入した瞬間なのかもしれない。
しかし、どうやら熱愛スクープはユーチューバーにとっては無意味なようで、としみつ・まこ両名の所属事務所が出したコメントは、
「仲良くさせていただいております」「温かく見守っていただけますと幸いです」
と、ノーダメージな様子。確かに俳優やアイドルと違って、ユーチューバーはファンに幻想を抱かせる職業じゃないもんなぁ。
まさに先日、『FRIDAY』で池田エライザとの熱愛をスクープされた『水溜りボンド』のカンタが直撃取材に《僕の口からは何も言えないです。相手方のことを考えた時に僕の判断ではちょっと難しいかな、と》(8月14日号)と答えたことが象徴的だ。あくまでイメージ先行型の芸能人である“相手方”に気を遣っただけで、自分は誰と付き合おうが再生回数に影響はないといったところか。
兎角に、『好きなことで生きていく』彼らの自由度は高い。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉