今はすっきりした顔をしているけど、この人気者も、地獄から這い上がった経験があるんです! 売れっ子になるだけですごいのに、けたはずれの不幸をも乗り越えた芸能人たちの秘話を紹介します!
阿部寛、カリスマモデルから『あの人は今!?』へ
『ノンノ』や『メンズノンノ』のカリスマモデルとして活躍し、今や日本を代表する人気俳優のひとり・阿部寛。
バブル全盛期に俳優デビューするも、背が高すぎてドラマの仕事が安定せず、投資用のマンションに手を出してしまうが、バブル崩壊とともに数億円の大借金を抱えてしまう。「低迷期、彼が糊口をしのいでいた方法がパチンコです。月10数万ほど稼いでいたそうですが、190センチの大男が通い詰めていたら目立ったでしょうね」(スポーツ紙記者)。
さらには、『あの人は今!?』の取材で捜索対象になるなど、完全に過去の人扱いに。この現状に危機感を覚えた阿部は一念発起し、どんな小さな仕事でも真摯に取り組んだという。そして『TRICK』で再ブレイクを果たす。『下町ロケット』で見せた下剋上精神は、地獄の賜物かも!?
林修、過去に苦労したからこその「今でしょ!」
「いつやるか? 今でしょ!」でブレイクし、予備校講師のイメージが強い林先生。東大卒業後、銀行に就職するもわずか5か月で退職。その後、起業や株投資、競馬に手を出して失敗を重ね、気がつくと20代で借金は1800万円に膨れ上がっていたという。その借金を返すために始めた仕事が、後に彼を売れっ子にさせる予備校講師というから人生はどう転ぶかわからない。
天職を得たことで40歳で完済するや、2013年、48歳のときに「今でしょ!」が流行語大賞に選ばれ一躍、人気者に。一発屋との下馬評を覆し、今も活躍できる要因は、バブル期の銀行の“浮かれっぷりを見た”ことと、ギャンブルで培った“流れを読む”経験が大きいとか。衰え知らずの人気の秘訣が育まれたのは、今じゃなくて「過去でしょ!」。
石井竜也、2作目のジンクス映画で大失敗&大借金
『君がいるだけで』などの大ヒット曲をつくった「米米CLUB」。そのボーカリストである石井竜也(カールスモーキー石井)も、借金苦で地獄を見たひとり。'94年、初監督映画『河童』で各映画賞に輝くと、その2年後に満を持して『ACRI』を公開するも、これが興行として大失敗に終わってしまう。
「本人が番組で告白していますが、負債は15億円。個人的に抱えた負債をバンド活動で返済したくなかったといい、すべてひとりで抱えたと聞きます」(芸能記者)
一時は自殺も頭をよぎったそうだが、父親からの電話をきっかけに再起を誓ったという。バンドは解散するも、'05年に再結成。地獄を離陸した浪漫飛行は、今なお続く。
こまどり姉妹、最も地獄を体験したであろう最強姉妹
そのアンラッキーは、2人を産む1か月前に母が井戸に転落し、胎内にいながら仮死状態に陥るという幕開けだった。幼い姉妹は、終戦直後の北海道の炭鉱を渡り歩く極貧生活の中で“流し”に出会い、歌うことを覚えたそう。
上京後、ヒロポン依存者に囲まれた木賃宿で下積み時代を過ごし、美空ひばりにあやかった鳥の名前である「こまどり姉妹」でデビュー、1961年には紅白出場を果たす。しかし、人気絶頂の'66年、公演中にファンが刃物で妹・葉子を刺すという事件が発生。なんと犯人は、姉・栄子と間違えて葉子を襲った……いろいろとオカシイって!
その後も、がんや大ケガ、交通事故、大負債など、「そんなに起こる?」というくらい不幸が降り注ぐも毎回、不死鳥のごとく生還。そして気がつくと大食い姉妹として再ブレイク。人生の教訓を聞くと、「健康に気をつけてほしい」と答えるチャーミングすぎる姉妹は、日本芸能史の宝です!
保阪尚希、通販王になるまでの壮絶人生
萩原聖人や福山雅治らとともに“新・平成御三家”と呼ばれ、数々のドラマや映画に出演してきた保阪尚希。現在は、通販ブランド『保阪流』を展開する実業家としての側面も持つが、その人生は想像を絶する。
7歳の誕生日を迎えた直後に両親が心中すると、小学生ながらアルバイトを開始。近所で亀を釣り上げてはペットショップに転売し、日銭を稼いでいたというからすさまじい。
独力で学校を卒業し、俳優としてデビューするが、33歳のときに内臓破裂で生死をさまよう。「その経験から予防医学に目覚め、健康商品を自己プロデュースするようになり、通販王の今がある」(芸能記者)
'04年、妻・高岡早紀が布袋寅泰と不倫をしていたことで離婚、'07年には仏門に入るなど、ドラマ以上に激動の人生を送る──ビジネスで成功するのも納得です。
鈴木宗男、まるで地獄の総合商社!?
逮捕、収監、落選、刑務所、がん宣告……。激動の政治家人生を歩んだ議員は数あれど、“疑惑の総合商社”ならぬ“地獄の総合商社”と呼びたくなるほど壮絶な代議士は、この人をおいてほかにない。
「ムネオハウス」をはじめとした数々の汚職疑惑に端を発した鈴木宗男事件は、最終的に7件12人が起訴され、全員の有罪が確定するほどの大スキャンダルに。自民党離党後、胃がんにおかされるも、なんと刑事被告人の身でありながら'05年の衆院選比例区で新党大地を旗揚げ。比例1位候補として立候補し、見事に当選するも、'10年には公職の収賄罪で実刑確定となり、刑期満了から5年間の公民権停止&失職!
しかし、その無念を晴らすかのように、娘・貴子氏が台頭し“父子鷹”を実現。本人も公民権回復後、'19年に国政復帰……このたくましさが、今の政治家には足りない!?
坂上忍、地獄を知っているからこそのコメント力
天才子役として知られた坂上忍だったが、父親が事業に失敗し、15歳のときに両親は離婚。しかも、負債1億円を返済するため、辞めるつもりでいた子役を続行するはめに。
ストレスを抱えたまま青春期を過ごし、高校を自主退学すると、生活はますます荒れ果てる。父親同様、ギャンブルに狂い、'95年には酒酔い運転で現行犯逮捕。しかし、'12年に突如“毒舌キャラ”として地獄から生還する。
「酸いも甘いも噛み分けたからこそ毒舌に説得力がある。そのコメント力が評価され、今や屈指の人気MCです。批判も目立ちますが、それ以上に納得してしまう人が多いからこそ、仕事がなくならない」(芸能ジャーナリスト)
風間トオル、イケメンからは想像できない極貧幼少期
5歳のときに両親が離婚すると、父親が蒸発。祖父母の下で育てられるも、公園の草やカマキリを食べて飢えをしのぐ極貧生活を送ることに。さらには祖父が認知症になり、子どもなのに祖父の徘徊を監視する介護役を務めていたそう。
極めつきは、祖父母が小学校への入学申し込みを失念していたせいで、1年遅れで小学1年生になってしまったこと! 結局、高校3年生まで毎年、1歳年下が学友になる──という大映ドラマもトレンディードラマも顔負けのドラマチックな人生を歩む。
極貧学生だったが、バレンタインデーでプレゼントされたチョコレートを365個に割って、急場をしのいでいたとか。極貧だろうがイケメンはモテるんです。
ローラ、不法就労&不正受給──パパは国際指名手配!
日本の国民健康保険制度を悪用した海外療養費の不正受給を理由に、国際指名手配された父を持つローラ。9歳まで日本と父の祖国・バングラデシュを行き来していたが、経営していたインドカレー店は経営難で家賃滞納&パスポートやビザのない叔父ら親族を不法就労させていたというからスパイシーすぎる。
トンビが鷹を生んだのか、高校時代にスカウトされたローラは、その後、人気モデルへと駆け上がり、タメ口天然キャラでブレイク。しかし、不法就労事件だけではなく、不正受給騒動も持ち上がると、彼女は'15年から活動拠点をロサンゼルスへ移すように。国内での露出こそ減ったものの、あの明るさがあれば、きっと毒親の暗雲も晴れるに違いない。
桑田真澄、Mattのおかげでスキャンダルのイメージ払拭!?
いつの間にか“いい感じのお父さんキャラ”を手に入れた桑田真澄だが、KKコンビの相方・清原和博に負けないくらい泥水をすすっている。ドラフト事件で世間からひと通り叩かれた後、『さらば桑田真澄、さらばプロ野球』なる暴露本が発売されるや、裏金問題と野球賭博疑惑で再び渦中の人に。
親族の不動産失敗による約17億円の借金を連帯保証人として抱えたことで登板すると「投げる不動産屋」「借金王」といったヤジが日常茶飯事に。
「数々のスキャンダルがつきまとうためイロモノ扱いされがちですが、野球関係者は桑田の野球への姿勢を極めて高く評価しています。こんなにギャップのある選手も珍しい」(スポーツライター)。
たしかにMattを見ていると、見た目やイメージで人間を評価してはいけないことがわかるような……。
●地獄からの生還者の証言【1】
タレント・プロレスラー ゴージャス松野さん
どん底に落ちても、迎えてくれる人は必ずいる
離婚騒動での大バッシング、泥沼訴訟、突然の心肺停止……数々の地獄を経験するも、現在はプロレスラーとしても活躍するゴージャス松野さん。何が彼を奮い立たせたのか!?
「一時期は、いろんなワイドショーで1日じゅう叩かれていました。街も歩けず、買い物にも行けません。でも、私はやましいことはしていなかったので、マスコミの取材には真摯に対応しました。マイナスの状態でしたから、とにかくまずはゼロに戻そうという気持ちでした。そのうち、私がホストやプロレスデビューをする際に、マスコミが好意的に扱ってくれるようになってきたのはうれしかったですね。
精神的にも肉体的にもどん底のときに、弁護士費用を立て替えてくださる方と知り合うなど、得難い出会いがいくつもありました。また、実家が福島県ですから、東日本大震災で被災された方を前にして、自分の苦労の小ささに気がつきました。
おかげさまで今は、仕事を含め、あの当時失ったはずの“守るもの”ができました。迎え入れてくれる人は必ずいるんですよね。本当に生きていてよかったです」
1961年、福島県生まれ。'86年東宝芸能入社。'95年、女優・沢田亜矢子と結婚するが離婚騒動のバッシング報道で誹謗中傷され、失意のどん底を体験。自殺未遂や心肺停止も経験する。再起を期して路上人生相談を第一歩に、講演、ホスト、プロレス、タレント活動などを積極的に行い、現在に至る。
●地獄からの生還者の証言【2】
作家・クリエイター 花井愛子さん
遺言状なしの相続は「地獄です!!」
少女小説家として著書売り上げ2000万部を達成した花井愛子さん。ところが、両親の死後いきなり相続地獄に!! 遺言状がなかったせいで、父名義にしていた巨額の印税を、親戚と異母姉兄に狙われたのだ。
知らぬ間に銀行口座を凍結されてしまい、現金を動かせない。バブル崩壊も重なり、生活苦から自己破産を決断した過去を振り返って「遺産トラブルは誰にでも起きる!!」と声を大にする。
「少額でもお金が入ると知れば、欲に目がくらむ身内が必ず出てきます。いったん揉めたら解決には数年かかる。ローン延滞や日々の食費も払えないなんて、メンタルが弱い人なら自殺しても不思議はないです。回避するには、遺言状が重要。
元気なうちに“相続会議”を家族で行って、資産配分を明記した遺言状を作成しておきましょう!! まだ早いなんて甘く考えちゃダメ。“遺言状は家族愛の証明”です。死ねば天国? でも遺族は地獄。死んでも死にきれないですよね(笑)。
健康自慢の人間だって、明日どうなるかわからない。相続準備は、大至急、始めるのが正解です」
コピーライターとして企画制作を手がけつつ'87年、少女小説家デビュー。代表作は映画化された『山田ババアに花束を』。相続体験を綴った著書数点のほかトータル200冊以上。タレントとしても活躍中。
●地獄からの生還者の証言【3】
たくさんの芸能人と交流がある飲食店経営者 おりんさん
己と向き合えない“おごった人”は浮上できない
百戦錬磨のママとして活躍するだけでなく、千葉真一をはじめ多くの芸能人と交流があるおりんさん。いろいろな芸能人を見守ってきた彼女に、“這い上がれる人”と“這い上がれない人”の差を聞くと──。
「失敗をしてしまう芸能人の原因の大半が、異性か借金かクスリですよね。下降した後、元の位置にまで戻れる人はひと握り。戻ってきて、そこからさらに活躍した方は私の年代としては美川憲一さんしか思い浮かばないのですが、それくらい難しいということでしょう。
這い上がれる方は、お金を周りの人のために使えて、気配りをするようになれる、いわゆる“生き金”を使える人。だから、助けてくれる人に恵まれるのだと思います。でも、不思議なものでダメな人って母性がくすぐられるというか、“助けてあげたくなる”のも事実」
一方で、助けられる人の中には、「どうせまた助けてくれるだろう」とおごってしまう人も少なくない。自分を省みることができない、己と向き合えない──そういう人が孤立無援になっていって、ますます堕ちていくのではないでしょうか。
東京・池袋にてカラオケスナック「都会」「村」を経営する傍ら、自身も演歌歌手として活動する。篤志家としても知られ、千葉真一をはじめ多くの名だたる芸能人とも交流があり、アドバイザーやサポートも務める。
(取材・文/我妻アヅ子)