菅田将暉

《『半沢直樹』最終回、視聴率32・7パー(%)ですって。やりすぎ、やりすぎ。32・7%ですって(苦笑)。いやいや、やりすぎや。ちょっと欲張りすぎよ。いや、すごいけども。30超えたら、ちょ〜っと下品、逆に30パーはもう下品よ。ちょっと限度があるもの。すごいって。そんな(上)いかれたらちょっとね〜、なんか》

 2018年の「第41回 日本アカデミー賞」において、史上最年少で主演男優賞を受賞した若手実力派俳優の筆頭・菅田将暉が炎上した。9月28日のニッポン放送『菅田将暉のオールナイトニッポン』の番組冒頭で、前日のTBS系ドラマ『半沢直樹』最終回が叩き出した視聴率32・7%に触れたわけだが……。

この発言がネットニュースに拾われて記事になり、菅田が用いた“下品”という言葉がドラマファンやネット民の反感を買ったのか、ネット上では“男の嫉妬”“お前が下品”などと叩かれているのです。また、ドラマを“見てない”と話したことも火に油を注いだのかもしれません。

 確かに文面だけを見れば“下品”や“欲張りすぎ”などと、『半沢直樹』とその視聴率、そして携わった出演者やスタッフに“イチャモン”をつけているように捉えられるかもしれません。しかし、実際のところは関西人らしい笑いを交えて、作品に対するリスペクトも終始見られる発言でした。番組後半の朗読企画でも“半沢風”の言い回しを披露するなど、“見てない”と言いながら、むしろ作品愛を感じさせるコメントです」(スポーツ紙デスク)

池井戸ドラマに主演するも

 それもそのはず、菅田は2015年7月期のドラマ『民王』(テレビ朝日系)で主演を務めたのだが、原作を手掛けたのが池井戸潤氏だ。当時の池井戸ドラマといえば、2013年のTBS系の日曜劇場『半沢直樹』から始まり、同じく『下町ロケット』(2015年)、日本テレビ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』(2014年、2015年)など、大ヒット作を連発。

 池井戸氏も「最高のキャスティング」と太鼓判を押すなど、当然のごとく『民王』も“跳ねる”と思われたのだが、

「平均視聴率は7.1%と振るわず、期待値が高かったこともあって関係者にとっても厳しい数字となりました。そんな苦い経験があるからこそ、同じ池井戸ドラマで驚異の視聴率を記録した『半沢直樹』を羨ましく思ったのでしょう。

 ですが、テレビ業界がドキリとさせられたのは“下品”発言ではなく、その後に菅田が続けた近年蔓延(はびこ)っている、視聴率にまつわる“ドラマ界のルール”に触れた“問題”発言ではないでしょうか」(前出・スポーツ紙デスク)

菅田の本当の“問題発言”

《『3年A組』(2019年、日本テレビ系)ってドラマやらせてもらったときも、最終回15パー超えたのかな? で、もう、“うぉ〜”“すごい”って、“よかったね”ってなったんですよ。30パーは、だから余計なことしないでほしいな(笑)。

 今はもう、“昔で言う30パーが10パー後半とかっていう時代なんです。今は、そういう時代なのかな、(ドラマを)見なくなってるのかな。でも、頑張っていきましょ、価値は変わんないですから”っていうものが、(『半沢直樹』で)変わってきとるから。いや、(視聴率の数字)出るやん。出るやん、ってなってまう。事実、出とるし。イケるやん。言い訳ですやん。本当にすごいよな。変わってくるもんなルール》

 インターネットなど、新メディアの普及によって消費者の選択肢が増えたことから、世間ではすっかり「テレビ離れ」が加速。放送されるドラマが視聴率20%、30%を超えていた時代は過去のものとなり、今は10%を超えれば大成功とされている。菅田は、この問題を改めて提起してみせたのだ。

「耳が痛いですね(苦笑)。確かに、制作サイドやテレビ局上層部、そしてスポンサー対応をする広告会社などでも、“10%を超えれば大成功”が当たり前のものとなっていて、たとえ視聴率が悪くとも“今はそんな時代なんですよ”と、テレビ離れやドラマ不況を言い訳してなあなあにしているのも事実でしょう。

 ですから、最低限の数字を確保するために手っ取り早い漫画原作を題材にしたり、とにかくイケメンを揃える安易なキャスティングに走りがちな傾向にあります。

 そんな中で『半沢直樹』は32・7%を叩きだした。本当に面白い原作を題材に、脚本を練って、演技ができる本物の役者を揃えて、しっかりとドラマを作り込めば今も視聴者を引き込めることを証明したのです。菅田君はものづくりに携わる俳優として、ますますテレビ離れが加速する危機感を訴えたのではないでしょうか」(キー局幹部)

 ラジオでは最後に「がんばろう」とぽつり呟いた菅田。“ドラマ不況”という虚構を打ち破ることができるか。