芸能界で自死が相次いでいる――。
9月27日、ドラマ『ランチの女王』(フジテレビ系)や、映画『いま、会いにゆきます』などで知られる人気女優の竹内結子さんが亡くなった。40歳という若さだった。
「27日の午前2時ごろ、夫である中林大樹さんがクローゼットの中で意識不明の竹内さんを発見し、119番通報。すぐに病院へ運ばれましたが、搬送先で亡くなりました。現場の状況から自殺と見られており、遺書などは今のところ見つかっていません」(スポーツ紙記者)
今年1月に第2子を出産したばかりだったため、仕事をセーブしていた中で起きた悲劇だった。
「'05年に中村獅童さんと結婚し長男をもうけましたが、'08年に離婚。その後、'19年に中林さんと再婚しました。獅童さんとのお子さんの親権は竹内さんが持ち、中林さんと次男の4人で暮らしていたんです。9月1日のサッポロ一番のイベントでは、普段めったに話さない家族の話をしていて、新生活も順調なんだなと思っていたところだったのに……」(同・スポーツ紙記者)
自らの高校時代を回想する“寄稿文”
竹内さんは、“長男を連れて再婚”した形となったが、実は自分の“境遇”について思いを吐露していたことがある。今から21年前、彼女がまだ19歳のころだ。
「'99年に出版された、作家の桜井亜美さんの小説『サーフ・スプラッシュ』の巻末の“解説”を寄稿しています。前年の'98年に、同じく桜井さんの小説『イノセントワールド』を原作とした実写版映画に出演しているので、その縁から寄稿することになったのでしょう」(出版関係者)
『サーフ・スプラッシュ』は、高校を辞めたがっている2人の女子高生の物語。1人が辞めたことで2人の手紙のやり取りがはじまり、彼女たちの手紙のやり取りで文章は構成されている。
思春期の女子高生が主人公のストーリーとあって、竹内さんの解説も自らの高校時代の回想となっている。そこには当時における、自分そして家族への思いも綴られているが、訃報が流れたことを踏まえて読むと、複雑な感情を抱かせる。
「連れ子という荷物」
たとえば、学校帰りに家に帰りたくなかったときに抱いた思いを次のように表現している。
《帰る家は暖かい家庭そのものに見えたが、カギのかかった空間がいくつもあるような場所だった》
竹内さんの父は彼女を連れて再婚しており、高校生のときは心の拠り所がなかったように思える。継母のことは《一人の人間として父が必要とした女の人》と表していて、家族での食卓は《晩の食卓の賑やかな景色が、私にはガラス越しのものに見えた。殺風景な自分の部屋でため息をつく》ものだった。
子どもを抱えての再婚――大人になった竹内さんが築いた家庭は、自分自身が育った家庭そのものだったのかもしれない。当時の生活については、次のようにも綴っている。
《私は父に人生を好きに生きてくれたらいいと思っていた》
《連れ子という荷物がいることを面倒に感じられたくなかった》
《その思いが自分の心に無理を課していたとは気付かなかった》
《私がもっと大人だったら、何でもうまくこなせたかも知れない》
竹内さんにとって2人の子どもは、当時表現したような“荷物”では決してなかっただろう。そして、彼女の父もきっと同じだったはずだ。
40歳という年齢が、彼女の表現した“大人”に入るのかはわからないし、なぜ死を選んだのかという疑問もまた、誰にもわからない。ただ、あの笑顔がもう見られなくなってしまったという事実があり、受け入れるのには、かなりの時間がかかりそうだ……。