《自分の父の名刺が顔写真付きで載ったことがイヤだった》
《プライドがある父はペコペコして頭を下げるような人ではない。そんなことは絶対ないと思う》
10月1日、東京地裁の証言台に立ち、父である三郎さんへの思いを語った爆笑問題・太田光。
2018年8月に「爆笑問題『太田光』を日大に裏口入学させた父の溺愛」というタイトルで記事を掲載した『週刊新潮』。三郎さんが息子を日本大学芸術学部に入学させるために、大学側に800万円を渡したというものだった。これを事実無根として、太田が出版元の新潮社に約3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めたのだった。
「出廷した太田さんは、開廷時は戯(おど)けるような仕草を見せて傍聴席の笑いを誘い、さらに証言台に立っても“伊勢谷友介です”などとボケたりと、まるで法廷コントのような雰囲気だったといいます。一方で、被告席には終始、睨むような視線を送るなど相当な怒りが見えました」(ワイドショースタッフ)
かつては“蜜月”の関係だった
2017年に新潮社から『文明の子』を出版するなど、共著も含めて4冊の書籍を出している太田。“蜜月”の関係を築いていたつもりが突然、“後ろから刺された”のである。記事掲載後に新潮社側から和解交渉が持ちかけられるも、これを拒否。徹底抗戦の構えを崩すことはなかった。
「おそらくは太田さんだけの記事だったら、むしろネタにして笑に変えていたかもしれません。ただ、最愛の父を貶(おとし)めるような内容だけに怒りは収まらず、自らの出廷も辞さないほど故人の“潔白”を明らかにしたかったのでしょう。裁判の行方を左右するのは、新潮社が“確たる証拠”を提出できるかどうかでした」(スポーツ紙デスク)
ところが、高校時代の担任の先生と演劇部時代の顧問が出廷し「全国模試で上位」などと証言させた太田側に対し、新潮社側はというと、週刊新潮の編集長や記事の担当記者が「割り算ができないと同級生に聞いた」などと証言するだけに留まった。いずれも“裏口入学の有無”を決定づける証拠とは言えないものだった。
気になる裁判の行方はというとーー。
「現状を見ますと、新潮社側が不利と言わざるをえません」
とは芸能ジャーナリストの佐々木博之氏。
「本来こういった告発記事の場合はネタ元の証言とともに、例えば800万円が渡ったとわかる何らかの書類や、振り込まれた口座の写しなど、記事内容を裏付ける証拠が不可欠です。ですが、文字通り“裏口”でのやりとりということもあり、証拠を残すことはなく、仮に大学側に金銭が渡ったとすれば大抵は寄付という形で処理されると思いますが、証拠が表に出ることはないでしょう」
物的証拠を出せない理由
実際、裁判でも同誌編集長が《書面での証拠はありません。お金の振り込み用紙など入手できなかった》と認め、関係者の“証言”だけを証拠としているのだがーー。
「“間違いなく裏口入学しました”と証言できる人物がいるとすれば、それは実際にお金を渡した人か受け取った人くらいで、前者の三郎さんはすでに亡くなっていますから、ならば後者しかいません。取材は情報源の秘匿のもとで成り立っているのであって、ネタ元が“じゃあ、新潮社さんが不利だから証言しますよ”とは名乗り出ないでしょう(苦笑)。仮に今後、その人物が物証を手に証言台に立てば、記事は正しいと覆されるかもしれませんが……」(前出・佐々木氏)
2018年の記事掲載の翌週、週刊新潮は第2弾として《笑い飛ばせばそれで良かった「太田光」の日大問題》なる記事を載せた。激怒する太田に再反論するのかと思いきや、一転して《誰かを傷つけ貶めなければ、社会の潤滑油の一種、世の習いと言えよう》などと、裏口入学を擁護するかのような内容を展開したのだった。
「さも、“芸人なら怒らないで笑ってすましてよ”と、誌面からは訴訟を持ち出されて焦っているようにも読み取れました。普段はタブー知らずの笑いをブッ込む太田さんですが、ことお父さんに関しては笑いで済ませられなかった。ここまで騒動が大きくなることは新潮さんも想定外だったことでしょう。
それと実は“裏口入学”ネタは2000年3月、爆笑問題が『ナインティナインのオールナイトニッポン』にゲスト出演したときに大学試験の話題になって、太田さんが“受かった、裏口だもん”とボケているんです。まさか、そのネタが回り回って新潮さんに届いた、というオチではないとは思いますが(笑)」(芸能プロ関係者)
裁判はこの日で結審。12月21日の判決次第では今後、上級審で新潮社から“確たる証拠”が出る、のだろうか。