伊藤沙莉訳 撮影/伊藤和幸

母がリアルタイムでアニメの放送を見ていたんです。“ビッケの声をやらせていただく”と伝えたときの興奮具合を見て、とんでもなく好きだったんだなと思いました(笑)。母にとっても特別な作品に、時を経て娘である自分が挑戦できるって、なんかいいなと

3回目の声優出演で顔がぐちゃぐちゃ

 公開中の映画『小さなバイキング ビッケ』で主人公の少年・ビッケの声を演じている伊藤沙莉(26)。

 『SING/シング』『怪盗グルーのミニオン大脱走』スタッフの最新作となる今作。原作は、世界130か国以上で愛され続けているスウェーデンの児童文学『小さなバイキング』シリーズ。日本では、ドイツと共同製作したテレビアニメが'72年から放送された。

本当にアニメーションがきれい。大画面の劇場で見て感動していただきたいです。母が見ていたころのビッケのいいところは残しつつ、進化したルックスになっています。新しいビッケも愛していただけるようになったらうれしい

 “夢を信じる勇気”と“家族の絆”をテーマに、小さくて力は弱いけれど、頭の回転の速いビッケが、母を救うために海賊の父や仲間たちとともに大海原へ旅に出る物語。

「ビッケの弱々しい声が、女々しく聞こえないように気をつけました。ボイスキャストをさせていただくのは、今回で3回目。いままで経験した中でいちばん幼い役柄です。ドラマや映画のようなお芝居以上に、表情から声を出していった気がします。

 例えば、子ども扱いされたビッケが“僕って呼ばないで”と言うときに“う~”っていう顔をしながらアフレコをしたり。声優のお仕事のときは、声も表情もオーバーに。特にこの作品はぐっちゃぐちゃの顔をしながら演じました(笑)」

伊藤沙莉が語った“家族への想い”

 3人きょうだいの末っ子の伊藤。ビッケとの共通点を“子ども扱いされること”と語る。

子ども扱いされることより、頼ってもらえないことにモヤモヤしてしまうんです。兄がまぁ、頼りないので、家族になにかあると基本的に姉が動いてくれて。そんなときに、私も頼ってくれたらいいのにと思います。

 大人になっていくにつれて子ども扱いの種類やレベルは変わっているのですが、距離感は変わらない。だから、ビッケの気持ちがよくわかります」

 長く伊藤と同居していた兄で、お笑いコンビ・オズワルドの伊藤俊介が今夏引っ越し、ひとり暮らしをスタートさせた。

若干、寂しさはありますが、自由でいいです(笑)。兄とは、昨日もテレビ電話をしたのですが、部屋の中でダウンを着ていて。“なんで?”と聞いたら、同居している人の体格がいいからか暑がりで“家の中が北極になっちゃった”って(笑)。わざわざオーディションをして同居人を決めたはずなのに。兄、家ではずっとダウンを着ているそうです(笑)

 “9歳から芸能界に入り、数々の作品に出演してきた。今年は、今作を含め映画8作、ドラマ4作に出演。昨年出演した作品でギャラクシー賞 テレビ部門個人賞と、日本映画批評家大賞 助演女優賞を受賞と、実力&人気の高まりをみせている。

女優という仕事がどんどん楽しくなっています。唯一、小さいころから興味がなくならなかったのが演じること。性格的にも、これしかできないんだと思います。だから、好きなことが見つかって本当によかった。楽しいと思える限りは、続けていきたいです

感動の冒険ファンタジー映画『小さなバイキング ビッケ』EJアニメシアター新宿ほかにて全国公開中 配給:イオンエンターテイメント、AMGエンタテインメント
(C)2019Studio100Animation−Studio100MediaGmbH−Belvision
感動の冒険ファンタジー映画『小さなバイキング ビッケ』EJアニメシアター新宿ほかにて全国公開中
配給:イオンエンターテイメント、AMGエンタテインメント
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