若かりし日、ガラケーから絵文字てんこ盛りのキラキラメールを送っていた『週刊女性』読者も多いはず。しかし、それをそのままLINEに持ち込むのは危険だ。“THEおばさんLINE”となり、「この人イタ~い!」となるという。えっ私も? 一体どうすりゃいいの! ITジャーナリストの高橋暁子さんに、まずは現代流“おばさんLINE”の特徴を聞いてみた!
間違った距離感は即アウト
「中高年の打つLINEは、ひとつのメッセージが長く、改行も多いことから“画面が黒い”と言われています(笑)。LINEは短文で相手とラリーするのが基本。文章でのスピーディーな会話、チャットのように楽しむ若者が多いですね。
手紙文化、メール文化が染みついた大人世代は、挨拶から始まり、近況を述べ、やっと本題に、そして〆の言葉まで……といった具合に、ついつい長くなりがちなんです」(高橋さん、以下同)
写真ページには、新人歓迎会後に中年女性からイケメンの歳下男性に送られた「イタいLINE」の例を掲載したが、そこには19行にもわたって文章がビッシリ。だが、高橋さんによれば
「今日の飲み会は楽しかった。ありがとう」
「またみんなで飲みたいね(絵文字1つぐらい)」
この程度におさめるのが正解だそう。たしかにおばさんからの褒めは絶妙に怖いし、例にあるように、酔っただの、入浴しただのは、相手(特に年下)にはどーでもいい。あえてきつく言おう。“聞きたくない、キモイ”情報なのだ。
「でも、あっさり書いたら気持ちが伝わらないし」と反論するアナタは肝に銘じよう。知りたくもない情報満載のLINEをもらった相手は「めんどくさい」「どう返したらいいかわからない」といった感情しか湧かない。
「どうしてもお礼が言いたくて……」と取り繕っても、遅い時間とわかって送るのは確信犯。酔ってLINEするなど最悪でしかない。
また、おばさんの若作りはLINE上でもキツい。若い女性をまねて可愛い系スタンプを連投したり、対面で話すと普通なのにLINEでは急にくだけた若者言葉になったりするのもやめておこう。
「特に注意が必要なのが、年下男性へのLINE。『もしかして、狙われてる?』と恐怖を感じる男性側の声もよく聞きます」
もしこちらにそんな気がなかったとしても、圧の強いおばさんLINEは悲しいかな、若い世代にとって恐怖の対象なのだ。ガーン。自分語り多め、下心見え見え。絵文字使いがガラケー時代から変わらない。通称「冷や汗笑顔」の絵文字を多用するなどの「おじさん構文」同様、無理に相手の機嫌をとる必死さや、なんなら仲よくなりたい下心が透けて見えてイタい、ということなのだろう。
もちろん、仲のいい友人同士であれば、おばさん丸出しのメッセージであっても、なんら問題はない。
つまりLINEは送る相手との関係性によって、送る内容も書き方も変えるべきツールだということだ。
「まずは相手との距離感を正しく図ることからスタート。“LINEを連絡手段にしていいか”の確認は重要。それから、相手のLINEを見て、どのような書き方、使い方をしているのかをチェックして合わせてみてください」
例えば、一文は長いかor短いか、文体は柔らかいかor硬いか、スタンプの有無、仕事の話や個人的な話はアリかorナシか……など、まずは相手のノリとテンションを見極める。そして、それをまねた書き方、内容で送信すれば“イタいおばさん”認定は免れるんだって!
「とはいえ、相手がかなり年下の場合は、大人としての文章や体裁をとったほうが好感度は高いと思いますよ」
相手との関係性とTPOをわきまえる。
なるほど、LINEでもリアルでも、ここに“イタいおばさんからの脱出”のヒントがありそうだ!
コレがイタいLINEだ!
【1】深夜の送信
相手先のプライベートな時間帯の送信はNG。お礼でも翌日で十分。大人としての常識を。
【2】ハートの絵文字
年下男子へのハートの絵文字多用は「オレ、狙われてる」感をあおり、ドン引きされる危険も。
【3】意味のない絵文字顔文字スタンプの乱発
とにかく絵文字、顔文字を連打する傾向。特に「!」「!?」の絵文字が中高年的。
【4】謎のおばさんアピール
「若くないよね(汗)」などの発言で 「そんなことないですよ」という返答を暗に強要する“おばさんアピール”もアウト!
【5】超プライベートな内容
例えば「お風呂も入って、大好きなオイルでマッサージもしました」など、おばさんのお風呂上がり情報など誰も聞きたくない。おじさん構文での自慢・自分語りと同じと心得よ。
【6】さりげないつもりの誘い
「みんなで」とつけても、飲みや遊びへの誘いで仲よくなりたい下心がほのかに透けると恐怖を与える。
【7】誤字が多い
老眼もあり、誤字はしかたない。が、「おかんLINE」なら笑えるが、知り合いではイタいだけ。
「おばさんLINE」こう直せ!
■まずはつながり方
「若い人にとってLINEは親しい人同士がつながる大事なツール。まずは、連絡方法は何がいいかを事前に確認するのがマナーです。携帯番号に紐づいていたとしても、勝手につながるのはダメ」(高橋さん、以下同)。“LINEは気軽なもの”というのはおばさんの幻想らしい!?
■書き方
「LINEは短文での会話が基本。改行せず、次のメッセージに分けて。そして1度に送るのは2つ~3つのメッセージまでが無難。絵文字、スタンプの連打も中高年っぽいです」。そのほか「あいうえお」を小文字にしたり、句読点がやたら多いのは読みづらくNG。難しい漢字に変換しがちなのも気をつけて。
■内容
「関係性にもよりますが、パート先の同僚程度なら事務的な内容にとどめるのがスマート」。相手のタイムラインの情報を「見たよ~」などと送ったらストーカーと思われる危険も!「同様に相手のタイムラインへの“いいね”もそれほど親しくない相手であれば避けたほうが無難です」
■送る日と時間
「休みの日や深夜など相手のプライベートタイムにLINEを送るのはやめましょう。大人として電話をかけても問題ないと思える日時を選んでください」。LINEを仕事のツールにしたくない若者もいるので要注意だ。
■写真&アイコン
「美しく撮れた自撮り写真を送信しがち。集合写真ならまだしも、ソロカットはコワイかと」お褒めの言葉待ちの自撮り写真のタイムライン投稿も危険! 「知り合いレベルに送ってもいいのはペットやグルメの写真までです」。アイコンも“若いころの自分”などを使いがちな中高年。現在のイメージとかけはなれたものはなるべく避けよう。
■即返信
「即既読がついて、即返信されることに意外と引いてしまう人が多いですね」。“既読スルーなんてありえな~い!”というのはあくまでも親しい関係性での話。男女のかけひきではないが、誤字の多い即返信より、ゆっくり見直して返信する大人の余裕を!
(取材・文/松岡理恵)
【PROFILE】
高橋暁子さん ◎SNS関連トラブルや事件、ルールやマナー、情報リテラシーが専門。記事の執筆、講演、セミナー、企業などのコンサルタント、監修、メディア出演などを手がける。SNS関連著作は20冊以上、テレビ出演も多数。元小学校教員。