昨今、主人公たちが2人1組のコンビで活躍する“バディドラマ”が急増中。この秋も山田涼介と田中圭のイケメン同士がタッグを組む『キワドい2人-K2-池袋署刑事課神崎・黒木』など、話題作がスタート。いまやすっかりドラマ界のトレンドに。そんな注目のバディドラマを女性読者900人が選んだ人気ランキングトップ7とともに徹底解剖!
『半沢直樹』も最後は
バディものになった!?
『MIU404』(綾野剛&星野源)、『BG〜身辺警護人』(木村拓哉&斎藤工)、『未満警察ミッドナイトランナー』(中島健人&平野紫耀)、『SUIT2』(織田裕二&中島裕翔)、『竜の道二つの顔の復讐者』(玉木宏&高橋一生)などバディもの花盛りだった夏ドラマ。
あの『半沢直樹』にしても最終的には半沢(堺雅人)と大和田(香川照之)がバディっぽい関係になっていたし、今のドラマのトレンドがバディなのは間違いない!
「『MIU~』が典型的なんですけど、バディものの醍醐味って命のやりとりだと思うんですね。相手に命を任せられるかがバディのキモで、それが『MIU~』ではうまく描かれていました。命への不安感が増している今という時代、そういう固い絆を見たいという欲求も強いんじゃないでしょうか」
と語るのは、ドラマウォッチャーで漫画家のカトリーヌあやこさん。
読者による投票で好きなバディドラマの1位に輝いたのは、その名もズバリの『相棒』だ。
「20年目に入った大人気シリーズで、まさにバディものの金字塔。バディの基本はクール&ホットで、初代の水谷豊&寺脇康文はまさに王道バディでした。それが及川光博、成宮寛貴、反町隆史というふうに相棒役が変わっていくとバディの関係性も変わっていった。それぞれに違う面白さがあって、そこが今なお愛される秘訣だと思います」(カトリーヌあやこさん、以下同)
2位の『あぶない刑事』のタカ(舘ひろし)&ユージ(柴田恭兵)も日本を代表するバディ。30年にわたって活躍し続けたレジェンドだ。一方で3位の『MIU~』の綾野剛と星野源はイマドキ感の強い現代的なバディだった。
「2人のキャラクターや距離感がすごく今っぽいなと。あと2人以外にもベテランと新人(橋本じゅん&岡田健史)や女性同士(麻生久美子&黒川智花)という毛色の違うバディを同時に描いていったのも新しかったですね」
刑事ドラマ以外にもミステリー系のバディものは多い。この場合の2人は対等というよりも主従関係に近く、かつ変人&普通というのが基本の組み合わせだ。
「『シャーロック・ホームズ』のホームズとワトソンの関係性、いわゆる天才とそのお守役です。男女バディにこの手の名作が多い気がします。『TRICK』『ケイゾク』『SPEC』『時効警察』などがそう。男と女だけど決して恋愛関係にはならない。でも逆に、そこにエモーショナルな盛り上がりがあるというのが男女バディの面白さですよね」
日本のバディもの
ドラマの元祖とは
カトリーヌさんいわく、バディものは前出のミステリー系、復讐系、そして腐れ縁系の3つに分類される。復讐系の場合、ひとりは社会的な地位を持ち、もうひとりが反社会的な存在となり、敵に対して両側から攻めていくというのが王道。『竜の道』は、まさにこのパターンだ。
「これは闇&闇というダークなイメージのバディものになります。『ウロボロス〜』もそうですね」
そして、腐れ縁系の代表が日本のバディものの元祖ともいえる名作『傷だらけの天使』。
「当時ブームだったアメリカンニューシネマの影響を強く受けていて、切っても切れない縁を持つ2人が自由や成功を求めるけど、最後はすべてを失ってしまう……。『傷天』のバッドエンドに向かっていく感じはまさにそれです。
今や『相棒』の右京としてバディもののキングに君臨している水谷豊が、萩原健一の弟分でいい味を出してます。でも、最後は風邪をこじらせて死んじゃう。その野垂れ死に感がたまらなく切ないんですよね」
そんな『傷天』的な匂いを持つ作品が、瑛太&松田龍平の『まほろ駅前番外地』や、林遣都と波岡一喜が芸人の先輩後輩役を演じた又吉直樹原作の『火花』だ。
「『火花』で芸人をやめた徳永(林)の最後のセリフが“生きてるかぎりバッドエンドはない”。これは'70年代のアメリカンニューシネマ的な世界観に対して、今に生きる私たちの答えなんだと思います。たとえ夢破れても野垂れ死にはしない。生き抜くんだっていう」
最後に、秋以降のバディものでオススメは?
「個人的に気になるのがバカリズムと井浦新の『殺意の道程』。復讐劇なんですけど、脚本がバカリズムさんだからダークにはなりようがない(笑)。復讐系のコメディーってどんな感じだろう。
同じく復讐系で『タリオ 復讐代行の2人』も楽しみ。浜辺美波と岡田将生の男女バディなんですけど、脚本&演出が蒔田光治さんと木村ひさしさんという『TRICK』コンビなので、こっちもたぶん普通の復讐劇とはひと味違う感じになりそう。この秋は変化球的なバディものに期待しています」
1位 116票
『相棒』(テレビ朝日系)
出演/水谷豊ほか
20周年を迎える国民的バディドラマ
'00年に『土曜ワイド劇場』でスタート。'02年に連ドラ化され以来、毎年2クールにわたって放送され続けている国民的バディドラマ。水谷豊演じる特命係の杉下右京の相棒は、初代・寺脇康文、2代目・及川光博、3代目・成宮寛貴と代わり、現在の反町隆史は4代目。歴代最長の6年目に入った。
1話完結もののミステリーとしての側面と長期シリーズゆえの人間ドラマとしての側面が楽しめるのも特長で、日本では珍しい海外ドラマ的な魅力を兼ね備えた作品でもある。「この作品で水谷豊さんのイメージが変わった。バディが変わってもそれぞれが魅力的」(東京都・44歳)
2位 75票
『あぶない刑事』(日本テレビ系)
出演/舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオルほか
30年愛され続けた名作刑事ドラマ
舘ひろし演じるタカと柴田恭兵演じるユージのダンディ&セクシーバディが横浜を舞台に活躍する痛快刑事ドラマ。'86年のテレビシリーズ開始以来、劇場版7作品を含め、'16年まで30年にわたって制作された超人気シリーズ。
派手なアクションや破天荒な展開など古きよき刑事ドラマの世界観を堪能できる最後の作品ともいえる。「舘ひろしと柴田恭兵の息の合った掛け合いが楽しくて、当時はみんなでモノマネしてました」(大阪府・51歳)
3位 51票
『MIU404』(TBS系)
出演/綾野剛、星野源、菅田将暉、麻生久美子ほか
綾野&星野による令和の時代の刑事コンビ
初動捜査を担当する機動捜査隊を舞台にした野木亜紀子脚本の'20年放送の硬派な刑事ドラマ。綾野剛演じる天然系の伊吹と星野源演じる理知的な志摩のバディは王道を踏まえつつイマドキ感もあり、令和を代表するコンビに。
「ラスボスの菅田将暉くん扮する久住も正体不明の悪意を具現化していて、まさに“現代”を切り取ったバディドラマ」(カトリーヌさん)。「脚本がよく練られていて、回を追うごとに面白くなっていった」(神奈川県・47歳)
4位 24票
『海猿』(フジテレビ系)
出演/伊藤英明、加藤あい、仲村トオルほか
海で命を守るのはバディとの固い絆
海上保安官の仙崎(伊藤英明)を主人公に、海難救助の過酷な現実を描く。'04年に映画版が製作され、翌年に連続ドラマ化。'07年に公開された映画第2作は興行収入70億円を超える大ヒットとなった。
仙崎のバディは伊藤淳史、海東健、仲村トオルと代わっていき、ドラマ終盤からは佐藤隆太が務める。海上保安官はバディとの共同作業が基本なので、バディものという印象が強い。「相棒がいないと命が守れない世界での絆に感動」(千葉県・44歳)
5位 19票
『噂の刑事トミーとマツ』(TBS系)
出演/国広富之、松崎しげる、石立鉄男ほか
コミカルバディはお茶の間で大人気
'79年、当時人気だった海外ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』に影響を受けて制作されたバディものの刑事ドラマの元祖ともいえる作品。気弱なダメ刑事のトミーを国広富之が、猪突猛進の江戸っ子刑事を松崎しげるが演じ、2人の破天荒な活躍ぶりをコミカルに描くことで大人から子どもまで愛されるヒット作となった。「笑える刑事ドラマで印象に残っています。食卓を囲んで家族でテレビを見た。古きよき時代の思い出の作品」(大阪府・54歳)
6位 12票
『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)
出演/中島健人、平野紫耀ほか
ジャニーズのフレッシュバディ
中島健人と平野紫耀のジャニーズ2人のフレッシュバディは、警察官未満の警察学校生。2人が学校で得た知識をもとに難事件を解決していく'20年放送の作品。頭脳派の快(中島)と肉体派の次郎(平野)というキャラクターも王道で、バディもののよさをストレートに楽しめる。原作は'17年の韓国映画『ミッドナイト・ランナー』。「問答無用にイケメン2人を出せるというのもバディものが流行る理由かも。その強みを堪能できる作品」(カトリーヌさん)
7位 10票
『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)
出演/亀梨和也、山下智久、堀北真希ほか
亀梨&山Pの最強バディの誕生作品
'05年に放送された野ブタというあだ名でいじめられっ子の同級生・信子(堀北真希)をイケてる女にプロデュースしようと試みる2人の男子、修二(亀梨和也)と彰(山下智久)の物語。バディものというより堀北を含めた3人の青春学園ドラマだが、ドラマをきっかけに組んだユニット“修二と彰”の『青春アミーゴ』が大ヒットしたこともあって、亀梨&山Pのバディイメージが強く、この順位に。「修二にまとわりつく彰がキュートでした」(東京都・43歳)
ランク外にも注目作がめじろ押し!
ベスト7以外にも、『TRICK』『SPEC〜』『ウロボロス〜』『まほろ駅前番外地』『シャーロック』『今日から俺は!!』などの作品に読者からの支持が。その中から編集部厳選の注目バディドラマを紹介!
『TRICK』(テレビ朝日系)
出演/仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久ほか
美男美女による変人バディの面白さ
貧乳の自称天才マジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)と巨根の物理学教授・上田次郎のコンビが奇怪な事件を解決していく'00年から放送されたミステリーコメディー。演出の堤幸彦による小ネタギャグや視聴者からのツッコミを誘うシーンがふんだんにちりばめられ、放送と同時に掲示板が盛り上がるというネット時代のドラマの先がけとなった作品でもある。「仲間由紀恵と阿部寛という美男美女の突き抜けた変人っぷりがオモシロすぎました」(福岡県・48歳)
『SPEC 〜警視庁公安部公安 第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系)
出演/戸田恵梨香、加瀬亮、神木隆之介ほか
アニメ的世界を面白クールに描く怪作
超能力などを使った特殊な犯罪を捜査する未詳事件特別対策係の捜査官、天才で変人の当麻(戸田恵梨香)と元SITの瀬文(加瀬亮)が特異能力を持った犯罪者たちと対決していく'10年からスタートしたミステリードラマ。『ケイゾク』('99年)の世界観を踏襲しており、監督も同じ堤幸彦。『トリック』的な小ネタギャグと『ケイゾク』的な退廃さをあわせ持ち、マニアックな人気を得てシリーズ化もされた。「当麻やスペックフォルダーたちのキャラクターが、どこかアニメっぽくてハマりました」(埼玉県・38歳)
『ウロボロス~この愛こそ、正義。』(TBS系)
出演/生田斗真、小栗旬、上野樹里ほか
刑事とヤクザが警察の闇を暴く!
同じ児童養護施設で育った2人が警察とヤクザという相反する立場を越え、恩師の殺害事件の裏にある警察の闇を暴いていく'15年の連ドラ作品。普段は冴えない刑事を演じつつ、圧倒的な能力を秘めるイクオを生田斗真が、冷静沈着で理知的なヤクザ・竜哉を小栗旬が演じる復讐系バディストーリー。「普段でも仲のいい生田君と小栗君がバディっていうだけで萌えた。生田君が小夏先輩(清野菜名ちゃん!)と結婚したのもうれしかったです」(栃木県・33歳)
カトリーヌさん厳選
アツイぜ! バディドラマ
「『傷だらけの天使』では、“アーニキー”と言ってオサムにくっついて回ってた水谷さんが今や『相棒』の柱。『MIU404』もそうですが、有無を言わさずイケメンを2人出せるのも、今バディものが多い理由かもしれません。個人的には、主役ではないのですが、『BORDER』のサイモン(浜野謙太)とガーファンクル(野間口徹)というハッカーコンビが好きで。少年院で出会った2人なんですが、ドラマの片隅に出てるバディというのが面白かったです」