三浦春馬さん(享年30)の遺作となったドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』が10月6日に最終回を迎えた。一時はお蔵入りもささやかれ、スタッフも日々対応に追われていたが、“親友の思いを無駄にするわけにはいかない“と、ひそかにあの男が立ち上がっていた──。
遺作ドラマの裏に、2人の絆
「第3話のラストシーンは2人のキスシーンもあり王道の展開でしたが、最終回の第4話は春馬くんが早朝に外出し、そのまま帰ってこないという……。
彼の登場シーンは冒頭のみで、それ以外は回想シーンでの登場。撮影中に亡くなってしまったからこうするしかなかったんでしょうね。最後に《春馬くん ずっと大好きだよ》ってメッセージが流れたことで慰められました」(三浦さんのファン)
10月6日に『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)の最終回が放送された。
「7月18日に自ら命を絶った三浦春馬さんの遺作となったドラマ。三浦さんはおもちゃ会社の御曹司で天真爛漫な浪費家、主演の松岡茉優さんはまじめな経理部OLという役。お金にも恋にも対照的な2人がぶつかりながら心を寄せていくラブコメディーです」(テレビ誌ライター)
無事、完結に至ったが、一時は放送自体が見送られる可能性もあった。
「三浦さんの死を受け、すぐに『カネ恋』のプロデューサーやTBSの編成局員、三浦さんが所属していたアミューズの社長らを交えて緊急会議が開かれました。主演俳優が撮影中に亡くなるという前代未聞の事態で、お蔵入りにするという案も検討されたようです」(芸能プロ関係者)
苦しい状況下で作られていたが、ドラマとしての質は高いと語るのはテレビ・ドラマ解説者の木村隆志氏だ。
「全8話予定の途中まで撮り、これから盛り上がるはずだった作品を急きょ4話で完結させるというのは、1クールの連ドラを映画化するというケースより難しいことです。
それにもかかわらず、主演の松岡さんをはじめ、登場人物全員の幕引きまでしっかり描いたのはすごいことですね。また三浦さんの胸中はわからないものの、全4話通してもいつもと変わらない自然体な演技でした。プロだからこそ短い時間でも存在感を示せたのではないでしょうか」
佐藤健、沈黙の裏で見せた男気
三浦さんの不在は、ドラマを特別なものにしていた。
「最終回は、みんなで三浦さんの帰りを待っているという展開なのですが、ドラマと現実が重なって見えるんです。両親を演じた草刈正雄さんやキムラ緑子さん、そして松岡さんが、三浦さんへの思いを語っているみたいでした。まるで彼の追悼番組のようでもありましたね」(前出・テレビ誌ライター)
ドラマ終了後も三浦さんに対する悲しみのメッセージが多く見られる中、ひとり沈黙を続けている人物がいる。
「三浦さんの親友であるはずの佐藤健さんは、いまだに公式コメントを出していないんです。ナイーブな問題ですし、今のご時世、何かコメントを出してもネガティブにとらえて非難する人がいるので、気持ちはわからないでもないんですが……。一部では“冷たいんじゃないか“という声もありますね」(スポーツ紙記者)
三浦さんと佐藤は、長い間俳優として競い合いながら友情を深めてきた。
「'08年に放送されたTBS系ドラマ『ブラッディ・マンデイ』で共演。同じ事務所で年も1歳しか違わないということで気が合い、お互いを“春馬““健“と呼び合う間柄になりました。プライベートでの交流が高じて、一緒に世界を旅するDVDまで製作されたほどです」(同・スポーツ紙記者)
彼らの交流は、最近も変わらず続いていた。
「アミューズはファン感謝祭として若手俳優たちによる歌とダンスのライブイベント、通称“ハンサム“を毎年行っているんですが、'19年末に開催されたイベントでも2人は共演。
メインビジュアルの撮影の際はツーショット写真も撮り、空き時間は楽しそうに世間話をしていたそうです」(ワイドショー関係者)
深い絆で結ばれていただけに、三浦さんの死を知ったときも、真っ先に駆けつけたのは佐藤だった。
「新作映画の撮影中のため宮城県にいましたが、知らせを聞くとすぐに東京に戻って三浦さんと対面しました。その翌日にクランクアップを控えていたんですけどね。ひそかに別れを告げた佐藤さんは、再び新幹線に飛び乗って宮城県へと戻ったそうです」(同・ワイドショー関係者)
三浦さんの遺作である『カネ恋』の放送開始日には、ファンに向けてメッセージを伝えていた。
《一緒にカネ恋みよう》
「ライブ配信アプリでファンと交流しているんですが『カネ恋』第1話が始まる1時間前に、公式LINEで《一緒にカネ恋みよう22時から》というメッセージを送っているんです。その後、行った配信では、ファンとドラマについて語り合いました」(佐藤のファン)
佐藤がここまで『カネ恋』を強く思うのには理由がある。
「三浦さんの死後にTBSで行われた緊急会議では“彼の代役を新たに立てて、第1話から撮り直す“という案が出たのですが、その代役候補というのが、実は佐藤さんだったんですよ」(前出・芸能プロ関係者)
会議の際に立ち上がった制作側の(秘)プランを聞いた佐藤は、多忙だったにもかかわらず快諾したという。
「佐藤さんは“春馬の最後の作品をお蔵入りにさせるわけにはいかない“と代役を引き受けるつもりだったそうです。しかし会議を重ねるうちに、1話から撮り直した場合、共演者とのスケジュール調整が難しくなることが判明。
また制作サイドの、“三浦さんの遺作だから、やっぱり撮影した部分をそのまま使いたい“という意向もあり、結局、撮り直しは行わず全4話で完結という結論になりました」(同・芸能プロ関係者)
親友による代役案は幻となってしまったが、ドラマは高い評価を受けた。
「確かに話数は短くなってしまいましたが、三浦さんの最後の演技を多くの人に見てもらうことができましたから、きっとこのままでよかったんだと思います。佐藤さんも同じ気持ちなんじゃないかな」(同・芸能プロ関係者)
この代役案についてTBSに問い合わせてみると、
「番組制作過程については、従来お答えしていません」
と、否定はしなかった。
三浦さんが最後のドラマで残した笑顔を、佐藤は万感の思いで見ていただろう。