だいたひかる

 乳がんとともに自分らしく生きる日々を、ユニークにつづったブログが大人気のだいたひかるさん。昨年、乳がんが再発した際も「再手術は歯石を取るようなもん」と、独特の表現で読者を笑わせた。 

 手術から4年。いま、夫婦でチャレンジしたいことがある。

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 再発には本当に驚きました。2016年に右乳房を全摘し、抗がん剤治療もしていたからです。もちろん再発のリスクはゼロではありません。でも、全摘手術は温存手術に比べ、再発のリスクは大幅に下がるんです。先生にお伺いすると「ごくまれ」なケースとのことでした。

 がんの再発で、初めて放射線治療をすることに。不安でしたが、ブログで「焼畑農業みたいなものかな?」と書いたら、読者の方から「日サロと同じよ!」とコメントいただいて(笑)。そのおかげで、安心して治療に臨めました。

自分だけが苦しいんじゃない

 最近は、「ブログ見てます」と声をかけていただくことが多くなりました。病院で「放射線治療をすることになったんですけど、だいたさんは費用どれくらいでしたか?」と、ブログの読者の方から聞かれたことも。がんになると、病気のことだけじゃなく、お金の心配もしなきゃいけない。本当に大変なんです。

「あとでまとめて計算して、ブログに載せときますね!」って、お返事しました。自分の経験を伝えることで、みなさんの不安を少しでも解消してあげたい。それに私のほうも、このつながりに本当に助けられています。

 この夏、脚の痛みがあって、骨に転移したのではと不安だったことがありました。結局「骨頭壊死」だとわかり、急を要する事態ではなかったんですが、この迫力ある四字熟語(笑)。怖いですよね。でも読者の方々が「痛みがひどくなっても、人工関節の手術をすれば大丈夫」「私は人工関節だけど、10㎞走ってますよ」と、明るいメッセージを送ってくれたんです。

 みなさんとは、「自分だけが苦しいんじゃない。みんな一緒だよ」という思いを、共有している感じです。

あのとき行動していたら

 支えてくれる夫の存在もとても大きいです。がんがわかって、全摘手術とともに同時再建をするべきか迷っていたときも「まずは悪いものを取り除くことに集中して、そのあとはそのときの気持ちで決めよう」って言ってくれて。この言葉どおり、気持ちって変わるんですよね。実はいま、再建への迷いがまったくないんです。いざ元の生活に戻ってみると、特に不便もなくて。水泳だって、ナイロンタオルを丸めて水着の中にポンと入れれば、全く困らない(笑)。夫婦で神社に行ったとき、手をお清めしてからハンカチを忘れたことに気づいたんです。そんなときも、胸元からタオルをサッ!(笑)

「ふところで温めといた」「豊臣秀吉以来だよ」ってふたりで笑いました。

 がんになって、ささいなことに幸せを感じます。それまでは「大きな家に住みたい!」とかあったけど(笑)。小さな家でも、毎日ご飯が食べられ、冗談言い合える相手がいるだけで、幸せです。

 いまふたりで、不妊治療の再チャレンジを考えています。不妊治療中に乳がんが見つかったので、闘病中は中断せざるをえなかったんです。

 そのときの凍結胚(受精卵)が、なんとひとつだけ残っているんです。お腹にもどすためにはホルモン治療を中断することになるので、やはり再発のリスクは少し上がります。でも、たった1度きりの人生。

「あぁ、あのとき行動していたら、どうなってたかなぁ」って、後悔したくないんです。今年で45歳。超人的な挑戦です(笑)。

 人生は、チャレンジし続けることなのかな、と感じています。がんでもそうでなくても、人間はいつか死ぬ。悔いのないように生きて、あとは野となれ山となれ、です(笑)。