頭が痛い、肩こりやひざ痛がつらい、恥ずかしい尿漏れをなんとかしたい……。日々、悩まされている不調を輪ゴム1本で改善できる治療法を発見! その名も“輪ゴム療法”。考案者でもある整体師の田川直樹さんにお話を伺いました。
輪ゴム療法、驚きの3つの作用とは
「私は長年、アレルギー性鼻炎に悩まされていて、仕事中に鼻水が止まらなくなることがあって困っていたんです。内くるぶしの下にある照海というツボを刺激すれば鼻水が止まることはわかっていたものの、お客様を施術しながら自分を指圧することはできません。そこでツボの位置に輪ゴムを巻きつけたところ鼻水がピタリと止まり、症状を気にすることなく仕事に集中できるようになったんです」(田川さん、以下同)
その後、田川さんは研究を重ね、輪ゴムを巻く部位を変えることで、さまざまな不調を改善できる輪ゴム療法を考案。実際、多くのお客様に目覚ましい効果が表れているといいます。この輪ゴム療法には3つの作用があります。
「ひとつは自律神経のバランスの調整です。自律神経には身体を活動的な状態に導く交感神経と休息した状態に導く副交感神経があり、両者のバランスが崩れてしまうと、なんらかの不調をきたしてしまうのです。2つ目の作用は重心のずれの解消です。重心が左右にずれてしまうと骨格や筋肉など身体にゆがみが生じます。また、重心がかかっている側の血管やリンパ管が圧迫されて流れが滞り、身体機能が低下してしまいます。3つ目の作用はツボや経絡の刺激です」
輪ゴム療法を行うと手間もお金もかけることなく、気になる不調を改善することができます。行う際のポイントはこちら。
「輪ゴム療法の根本は、身体のゆがみやねじれを整えることにあります。そのためには複数の場所ではなく、1か所に輪ゴムを巻くことが大切です。例えば、頭痛、肩こり、花粉症などいくつかのお悩みがある場合は、そのときいちばんつらい症状に効く部分に巻き、症状がラクになってから別の部分に巻くようにしてください」
また、不調がおさまったら輪ゴムをはずすことも覚えておきたいポイントのひとつ。
「不調がとれたということは、身体のバランスが整ったということです。輪ゴムを頼りにバランスを回復したら輪ゴムをはずし、自然な状態を保つのが理想的。症状が気になったらまた巻くなど、メリハリをつけて行うことも大切です」
ちなみに、輪ゴムのかわりに紐(ひも)やブレスレットを巻いたり、足首の場合はアンクレットやミサンガをつけることでも同じ効果を得られます。
「紐が肌に触れる程度の強さでも、圧がかかっていれば身体のバランスは整います。ご自身の生活スタイルに合わせていろいろと試してみてください。人体の細胞は100日ほどで大半が入れ替わるので、3か月を目安に気長に続けていけば、気になる不調もいつの間にかラクになっているはずですよ」
はじめる前に知っておきたいポイント
【1】身体が左右どちらにひねりやすいか確認する
足を肩幅に開いてまっすぐに立ち、ゆっくりと身体を左右にひねり、どちらにひねるほうが後ろまで見えやすいかを確認。かかとが上がらないように足を床にしっかりつけたまま行うこと。あらかじめ後ろに目印を決めておくと左右の差がわかりやすい。座って行ってもOK。
【2】手は「身体をひねりやすい側」、足は「ひねりにくい側」に巻く
輪ゴムを手に巻く場合は身体をひねりやすい側に、足に巻く場合は身体をひねりにくい側に巻くのが原則です。例えば、身体を右側にひねりやすい人は、足には左足、手には右手に、左側にひねりやすい人は輪ゴムを右足と左手に巻きます。
【3】どんな輪ゴムでもOK! きついのはNG
一般的な16号(内径38ミリメートル)の輪ゴムなら、手指・足指は二~四重、手首・足首は一重が目安。皮膚に跡がつかない程度のゆるさから試し、効果が薄い場合はもうひと巻きしたり、内径や伸縮性が違う輪ゴムを使ってみて。長時間巻いていても違和感がない程度のゆるさで巻くのがコツ。
手と足のどこに輪ゴムを巻くとどんな効果があるかは、写真ページの一覧表をチェックしてください。注意点として、指先に巻いた場合、家事や仕事などをしている最中に輪ゴムが抜けてしまうことも。その場合は同じ指の付け根に巻いてもOK。輪ゴムのかわりに指輪でも大丈夫です。
では、ここからは症状別の詳しい巻き方をご紹介します。
◎めまい・頭痛
身体をひねりやすいほうの親指の爪の付け根の外側にあるツボ「少商(しょうしょう)」に輪ゴムを巻く。頭痛やめまいの原因のひとつには自律神経の乱れがあるが、少商にはその働きを整える作用がある。
◎肩こり・尿もれ
身体をひねりやすいほうの手首の手のひら親指側にあるシワから指2本分ひじ寄りのツボ「列缺(れっけつ)」に巻く。上半身の筋肉の緊張が解消されて肩こりがラクに。列缺は排尿トラブルにも有効で尿もれや頻尿の改善効果も。
◎ひざ痛・花粉症
身体をひねりにくいほうの足首の正面、中央のくぼみにあるツボ「解谿(かいけい)」に輪ゴムを巻く。身体の重心のずれを解消し、ひざ痛や股関節痛などに有効。足首を刺激することで上半身の自律神経のバランスが整い、花粉症にも効果が。
〜ためしてみました〜
・70代T・Yさん……長年の不眠が輪ゴムを巻いたその夜に改善!
「若いころから寝つきが悪くて眠りが浅く、そのせいで常に倦怠感がありました。寝る前に自分なりに睡眠の質を高める努力をしていたのですが、あまり効果は感じられませんでした。でも、不眠症のツボに輪ゴムを巻いたところ、その晩からぐっすりと眠れるようになり、うれしい驚きを感じています」
・60代H・Kさん……40年来の花粉症が輪ゴムを巻いたらラクに
「20代のころから花粉症に悩まされ、くしゃみや鼻水がひどく、花粉症シーズンは薬が手放せない状態でした。田川先生に教わった花粉症のツボに輪ゴムを巻いて過ごしてからは症状がラクになり、薬を飲まなくても花粉症シーズンを乗り切れるようになりました」
(取材・文/熊谷あづさ)
《PROFILE》
田川直樹さん ◎快風身体均整院院長。身体均整法学園で学び身体均整師として整体の道に進む。著書に『指に輪ゴムを巻くと腰、ひざの痛みが消える!』『体内疲労をとる5分間内臓ウォーキング』など。