真矢ミキ 撮影/佐藤靖彦

 コロナ禍によるさまざまなニュースでは、有名芸能人の死去も伝えられ衝撃が走った。そのひとり、岡江久美子さんとは25年来の友人。突然の訃報から半年、亡き友への惜別と、悲しみを経て挑む主演ドラマへの思いとは――。

理解できない悲報
涙にくれ悲しい酒

「自粛期間中、ただただ心が無になり苦しかったです」
 
 そう胸中を明かす真矢ミキ。
 
 4月、25年来の友人、岡江久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった。突然の訃報。最後のお別れもできない。喪失感は大きかった。

「彼女のことを考えるたび、涙が止まらず、ときにはお酒の力を借りたこともありました」
 
 岡江さんとは宝塚の花組トップ時代に知り合った。劇場の楽屋口で出待ちをする大勢のファンに交じって、大きなかけ声をしている姿が目にとまった。

女優の方だし、朝の情報番組(『はなまるマーケット』)の司会をされていらしたころだったので、有名な方がもみくちゃにされていて、めちゃめちゃ目立っていました。初対面でしたが、思わず“何しているんですか? 岡江さんですよね? 危ないので、ここにいるのはやめてください”とお伝えしたのを覚えています」
 
 それをきっかけに親交、関係を築いてきた。

「岡江さんは明るくさっぱりとして、気持ちの厚い方。(コロナで亡くなったことは)いまだに理解できていないです。心をえぐられるような思いでしたが、人の命がいつ終わるかわからないことを目の当たりにして(コロナ禍の社会で)どう生きていくのか。生かされている者がしなくてはいけないことを考えるようになっていました

苦境の子どもたちを救う
世話焼きおばさん再び

 そんな自身の気持ちを落とし込みたいと臨む、主演ドラマ『さくらの親子丼』。
 
 児童虐待、育児放棄、貧困。行き場のない子どもたちに、食べることを通じて見守り、愛情を注ぐ九十九さくらを2年ぶりに演じるシリーズ第3弾。コロナ禍のニュースでも、子どもたちの環境が厳しさを増していることが伝えられている。

「悩みを抱えた子どもと、力になり支えたいと思っている大人たちを描いたリアリティーのあるドラマ。心が疲弊している今の時代とも通じる作品になっていると思います」
 
 息子を亡くしたさくらは、子どものために尽くす“世話焼きおばさん”。

「いろんな人と交わることで、正義だけがすべてじゃない。自問自答しながら模索しているさくらの姿は私自身と一緒で、公私ともに成長させてくれる役だと思っています
 
 宝塚退団後は、映画やドラマでキャリアウーマンを演じることが多かったが、最近は“等身大”の役も増えた。

「退団から20年以上たったからなのか、情報番組(『白熱ライブ ビビット』)をやったからなのか、年齢のせいなのか、いただく役柄がだんだん変わってきました。以前の生活感が見えないような役より、自分にとっては鮮度があり、その反面、役に対して細かく咀嚼するには、どうしたらいいだろうと。

 (ほかの役者さんは)若いころにやっていたようなことを、いくつになっても模索していますが、役者として苦しくもいとおしい時間にもなっています」
 
 コロナ禍での悲しい経験と模索、大きな糧になると信じたい。

簡単&時短を会得!

 ステイホームで料理が上達したという真矢。「デミグラスソースを作りましたが、大変だったので2度とやりません(笑)。いろんなものを作りましたが、手の込んだものより、うなぎときゅうりの酢の物や野菜やきのこのマリネといった簡単で素材が少ないもののほうが(夫に)好評でした。時短で美味しいレパートリーが増えました」

オトナの土ドラ
『さくらの親子丼』
(フジテレビ系毎週土曜夜11時40分~)

『さくらの親子丼』

 民間子どもシェルターで働くさくら(真矢ミキ)が、傷ついた子どもたちのために奮闘する。新川優愛、山崎静代、名取裕子らが出演