1円が1000円に、5円が10万円に、1万円が100万円に……。そんな夢のような話が現実に!? お札に印刷された番号や硬貨の年号、はたまた製造エラーなど、知る人ぞ知るお宝情報を大公開!「意外と流通している」と言われているから、お財布や貯金箱の中身を取り出して、お宝探ししてみませんか。
実は意外と手に入りやすい
プレミアムコイン&紙幣って、まずお目にかかれないレアなものなのでは……。
「おつりでもらうこともありますし、すでに手元にあってもおかしくはないですよ」
と語るのは、自身も収集を楽しんでいるという、ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太さん。取材当日、「たまたま先ほどお釣りでもらいました」と、1枚の紙幣を取り出しながら見つけ方をいろいろ教えてくれました。
「紙幣でチェックしたいのは、紙幣の左上と右下にある、アルファベットと数字の組み合わせでできた記番号。いちばん高値がつく のは、左側にAがひとつ、右側にAがひとつある、AA券と呼ばれるものになります」
AA券は初期に印刷された紙幣で、その1枚目となる「A000001A」は、貨幣博物館に永久保存。AA券の中でも、数字が若いほど高値がつくそう。
「以前、とある鑑定番組に『A000007A』の一万円札が登場しましたが、その鑑定価格は300万円でした」
AA券だけでも99万9999枚あるから、意外と手に入りやすいかも!?
「AA券だけでなく、最初と最後のアルファベットがZのZZ券もプレミアですね」
チャンスは倍に! ちなみに、取引価格は折り目がないなど、紙幣の状態によっても左右されるそうですが、
「紙幣の種類は関係なく、千円札でもOK。聖徳太子の一万円札や岩倉具視の500円札などの古いお札も、AA券ならかなりの値がつきます。また、数字の並びが、777777や111111といったぞろ目、123456もプレミア紙幣に。
その他、かなりレアな存在にはなりますが、裁断ミスで角に紙の切れ端がついているものや、透かしが円の中心ではなく左右どちらかに偏って印刷されている、『エラー紙幣』といわれる紙幣も、高値で取引されています」
狙い目は、発行枚数1万枚以下
続いては、小銭をチェック!
「硬貨は発行枚数の少ない年号のものがプレミアムに。例えば、1円玉は年に1億枚ほど造られる年もありますが、令和元年は50万枚程度しか発行されなかったため価値が上がりました。
平成23年~平成25年の1円玉・5円玉・50円玉は『ミントセット』(造幣局発行のケース入り貨幣セット)として販売するためだけに造られたため、発行枚数が極端に少なく、価値が高騰。普通だったら市場に流通していないはずのものですが、コレクターが手放したものが出回り、おつりなどで手にすることもありえます」
5円玉、50円玉のエラーコインも、レアながら意外と見つかる可能性がありそう。
「見つけて、売りたいときは、お小遣い稼ぎ程度ならヤフーオークションが手軽。価値が高いものは、コイン商のオークションに出品するか、買い取りを依頼するといいですね」
伊藤さんは、「海外のコインや記念硬貨にも、ぜひ注目してもらいたい」とも。
「イチオシは、2019年に発行された、『ウナとライオン』の金貨と銀貨。これは、“世界一美しい金貨”との異名をもつ、1839年にイギリスで発行された金貨の復刻版。オリジナルは世界に400枚しかなく、現在、1億円以上の値がついています。今年7月、復刻版の銀貨を適正価格の12万円で手に入れたのですが、その後なぜか人気が急上昇。今、40万円前後にまで上がっていて、やったー! と思いました」
海外のコインは世界中にコレクターがいるため、人気が出ると取引価格が急に跳ね上がることもあるのだとか。
「日本の記念硬貨では、47都道府県ごとに発行された『地方自治法施行60周年記念千円銀貨幣』の岩手県のコインが、“世界で最も美しい貨幣”賞を受賞したことで、価値が上がっています。販売価格は6000円ぐらいでしたが、今は5万円ほどで取引されているようですね」
記念硬貨を持っているという人は、今の相場を調べてみると思わぬ高値の可能性も。
「記念硬貨はアニメとコラボしたものなど、多くの種類が発行されていて、続々と新しいものも登場しています。今後プレミアがつくのを期待して購入するなら、発行枚数が1万枚以下のものが狙い目。
抽選で倍率が高いものほど、高値がつく可能性があります。これはあまり教えたくないのですが(笑)、造幣局のメールマガジンに登録するといいですよ。販売情報などが楽に手に入ります」
新札が出る日に銀行で両替すべし
知れば知るほど奥が深く、一獲千金のチャンスが広がりそうなプレミアムコイン&紙幣の世界。少し先ですが、2024年、お札が新しくなるタイミングも要チェック!
「新札が出る日に銀行に行って両替すれば、AA券が手に入るかも。どの銀行にAA券がいくのかは公表されないので運任せではありますが、もし手に入ったらラッキー。欲しいという人にすぐ売れて、高値がつくと思います。実は私も、その日を今から楽しみにしているんです」
●もし見つけたらラッキー! 10万円以上の価値がある“珍品”2千円札
今ではほとんど見ることがなくなった2千円札。現在、残念ながらお札自体にプレミアはついていないものの、ものすごいエラー紙幣が存在。
記番号は上下で一致していなくてはいけないものなのに、上と下で「J」と「L」と異なっています。通称「JL券」と呼ばれるこの珍品。折り目などがない美品の場合、少なくとも10万円以上、50倍~100倍程度の値段で取引。
●5円玉、50円玉の穴に注目!
穴あきコインで見つかるのが、穴がずれているエラーコイン。年号が新しいもの、ズレが大きいものほど価値が上がり、平成の年号で10万円以上、ズレの大きいものが50万円以上で取引されたケースも。ごくまれに穴が埋まっているものもあり、こちらも30万円程度と高額に。
●プレミアになるかも!? 「ミントセット」って?
造幣局が毎年販売している貨幣セットの名称で、その年に作られた1円~500円玉の未使用硬貨がワンセットになっているもの。ますますキャッシュレス化が進む今。令和のミントセットが近い将来、プレミアとなる可能性も!?
「抽選販売になる年もありますが、2000〜3000円ぐらいで買えるもの。ちょっとした楽しみとして、毎年収集してみては」(伊藤さん)
教えてくれたのは…… 伊藤亮太さん
ファイナンシャルプランナー、オールアバウトガイド。慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了。証券会社勤務を経て、独立系FP会社「スキラージャパン株式会社」設立。家計簿診断などのライフプランニング、資産運用などの相談を行う。『あなたの街でも砂金が採れる!? ~令和時代の砂金採り入門~』(ファストブック)ほか著書多数