コロナ禍で、エコや肌あれ防止のために、布マスクを愛用する人が目立つ今年の秋冬。なんと洗濯機の修理依頼が急増中とか。理由はマスクの洗濯。ひどい場合には買い替えに至る場合も! マスクひとつで思わぬ出費をしないための情報をお伝えします。
マスクによる洗濯機の故障が急増
ウィズコロナ時代の新しい生活様式としてすっかり定着したマスク。急激な需要の増加に供給が追いつかず一時期は品薄だったが、今ではそれもすっかり改善。
自由に選べるようになり、使い心地やデザインの好みからか使い捨ての不織布マスクではなく、自宅で洗って繰り返し使える布やポリウレタン製のマスクを愛用している人も多い。
ところが最近、その洗えるマスクによる洗濯機の故障が急増しているということをご存じだろうか?
実際、ある日突然、洗濯機が排水しなくなり、慌てて修理を頼んだところマスクが原因だったという経験をもつ週刊女性の編集部員(50代)。修理をしてくれたメンテナンス担当者から「今日だけでもマスクが原因の洗濯機の故障が5件もあった」と言われ、その発生数の多さを実感した。
では、どうしてマスクが洗濯機の故障を引き起こしてしまうのだろうか?
「洗濯ハカセ」として多くのメディアで活躍している神崎健輔さんに話を伺った。
「マスクによる洗濯機の故障は、マスクをネットに入れずむき出しのまま洗うことが原因で引き起こされるもの。縦型でもドラム型でも起こります」(神崎さん、以下同)
基本的には手洗い推奨
ただし、縦型とドラム型では故障する部位と要因が異なるという。
「縦型の洗濯機の場合、洗濯槽の下部分についている水流を起こす、パルセーターと呼ばれる羽根部分にマスクのゴムが巻き込まれることが、故障の要因に。パルセーターのない横型のドラム式洗濯機の場合、洗濯槽の隙間からマスクが流れ出て排水管に直接入り込み、詰まりや故障を誘発するのです」
縦型洗濯機の底の羽根部分にゴムが絡みついてしまうというのは、なんとなく想像がつくけれど、横型ドラム式洗濯機の洗濯槽からマスクが流れ出てしまうとは予想外!
「衣類の詰め込みすぎや水の量、マスクが流れ出た位置など、さまざまな条件が重なると運悪く洗濯物が洗濯槽から飛び出してしまうことは十分ありうることなんです」
故障の原因はマスクに限らない。乳児の衣類のように薄くて小さなものや、ポケットに入れっぱなしにしたヘアピンなどの小物類でも、同様に排水管の目詰まりの原因となる可能性が。不要な出費に泣かないよう、洗濯の際には十分注意して、ポケットの中身をチェックすること。
「基本的にはマスクは手洗い推奨です」と神崎さん。
正しいマスクの洗い方をおさらいしておこう。
「用意するものは洗面器、衣類用の中性洗剤、タオル、ピンチハンガー。洗剤はアルカリ性も可ですが、すすぎと手荒れ予防をしっかり行って」
水にマスクを入れた後に洗剤を加えるのはNG。汚れの落ちが弱くなる。洗剤の量もポイントで、量が多すぎるとすすぎが大変だし洗剤の匂いが取れずに、つけたとき不快になる場合があるので要注意。
色柄や刺しゅうなどの飾りがあるものやポリウレタン素材でも同様の手入れで問題ないが、まずは洗濯が可能な商品か確かめるのを忘れずに。
【解説】マスクの手洗い方法
●普段の汚れは基本の手洗いで
ゴシゴシとこすり洗いをするとマスクの傷みやヨレの原因に。普通の汚れであれば、洗剤液で優しく押し洗いをする基本の手洗いを。
【1】洗剤液を作る
洗面器に水を入れ、洗剤を加えてよく溶かす。洗剤の量は水1・5リットルに対してティースプーン半分弱、1・5グラム程度で十分。
【2】押し洗いする
洗剤液にマスクを入れ、手で優しく押し沈めたら引き上げ、水分を軽く落としたらまた沈めるのを10回繰り返し、そのまま10分間つけ置く。
【3】手で脱水する
マスクを両手のひらで挟んで軽く脱水する。
【4】すすぎをする
水を入れた洗面器に【3】のマスクを入れ、【2】と同様に押し沈めて引き上げるを10回繰り返す。洗剤の匂いが気になる場合は水を替えて繰り返す。
【5】タオルで脱水する
マスクをタオルで挟み、両手の位置をずらしながら2〜3回ぎゅっと押さえる。
【6】形を整えて干す
シワを伸ばし形を整えたら、ピンチハンガーなどで干す。ゴム部分の伸びを防ぐため、マスク本体を挟むとよい。
●落ちにくい汚れはクレンジング剤で
通常の洗濯洗剤だと落ちにくい口紅やファンデーションの汚れは、クレンジングオイルで落とすことが可能。対処法は次の手順で。
【1】クレンジングオイルを塗る
メイク汚れ部分にクレンジングオイルを優しく塗り、汚れを溶かす。こすり洗いはマスクのヨレの原因になるので厳禁。
【2】流水で流す
40度くらいの温水に当てながら、オイルとメイク汚れを落とす。落ちきらない場合、中性の食器洗い洗剤を少量塗り、再度お湯で流す。
【3】手洗いする
メイク汚れが落ちたら、基本の手洗い方法で洗い、干す。
感染予防のためにも、まだしばらくは続けたいマスク生活。正しいお手入れを覚えて、洗濯機の故障を防ごう!
洗濯機で洗う時は、洗濯用ネットを
●マスクが洗濯機に詰まる原因
縦型の場合……耳にかけるゴムの部分が、洗濯槽の底にある水流を生み出すための羽根の部分(パルセーター)に絡まることが故障の原因。回転を止めてしまうだけでなく、破損のおそれも。
ドラム型の場合……洗濯時の水流に乗って、マスクが洗濯槽の隙間からスルリと外へ流れ出てしまうことが故障の原因。排水管に入り込んで目詰まりを起こし、排水を阻害するなどの影響が。
●洗濯機で洗う場合
最近では「洗濯機洗いOK」として販売されているマスク増えてきているが、その場合も、マスクが洗濯機の故障の原因となることに変わりはない。「洗濯機で洗いたい場合は必ず、洗濯用ネットに入れて洗うこと。ネットは小さめのほうが形崩れを最小限に抑えることができて、おすすめです」
教えてくれたのは……神崎健輔さん
洗濯・シミ抜き職人。実家の老舗クリーニング店「白洋社」部長、株式会社クラスタスCTO。All Aboutガイド。全国から集配可能なクリーニング店「ネクシー(Nexcy)」の運営を行いながら、「洗濯ハカセ」としてメディアに出演。