10月28日に『明治神宮鎮座百年祭』のため、参拝された美智子さま。上皇さまや両陛下、秋篠宮ご夫妻もご訪問

 3月末のお引っ越しから長らく“巣ごもり生活”を続けていたが、久しぶりに公共施設へとお出ましになった美智子さま。そんな中、ご家族だけではなく、今でも国民に心を寄せる上皇后さまは、苦しい思いをされながら──。

10月28日、美智子さまは明治天皇と昭憲皇太后をまつる東京都渋谷区にある明治神宮を参拝されました

 明治神宮の創建から100周年という節目で参拝された後、隣接する『明治神宮ミュージアム』で開催中の記念展も、上皇さまとともにご覧になりました」(皇室担当記者)

 上皇ご夫妻は、3月末に皇居から東京都港区にある仙洞仮御所に引っ越されて以降、皇居へのご訪問以外の外出は初めてのこと

「毎日のように発熱したり、体重は減少したままで、心不全の診断指標であるBNP値も高い状態が続いており、ご体調に不安を抱えていらっしゃいます。体調が万全ではない状態でも訪問したのは、それだけ重要な行事だと思われていたのでしょう」(皇室ジャーナリスト)

 久しぶりの外出が実現したものの、美智子さまが胸を痛められている出来事が、いくつかあるようで……。

「新型コロナの感染拡大の状況や医療従事者や国民のことをたいへん案じられており、今年のお誕生日行事や恒例の御祝御前も控えられました。

 さらに令和になっても眞子さまと、小室圭さんのご結婚問題に端を発した秋篠宮家に対するバッシングが後を絶たない状況です美智子さまは静かに見守られるスタンスではありますが、ご自分の息子家族が批判され続けている現状に、思い悩まれていることでしょう」(宮内庁関係者)

『いのちの電話』の相談員不足を心配

 そんな美智子さまが最近、特に気にかけていらっしゃる団体があると話すのは、侍従職関係者のひとり。

「先日、上皇后さまが『いのちの電話』に関する新聞記事を、とても心配そうに読んでいらっしゃったのです。なんでも、自殺を防ぐための電話相談に応じる相談員が全国各地で不足していると。コロナ禍で相談が増加する中、電話がつながりにくい状況が続いているという記事です。

 実は美智子さまは、いのちの電話を日本で始めたドイツ人宣教師のルツ・ヘットカンプさん(87)と、約50年前から交流がおありなのです

 '71年にヘットカンプさんが東京で始めた同団体は、現在は全国50か所に約5900人の相談員がおり、年間60万件の相談が寄せられている。

美智子さまが今でも『いのちの電話』にご関心がおありなのはとてもうれしい世界全体がコロナ禍で悩み、自殺者も多い中で、美智子さまが勇気を与えてくださり、たいへんありがたいです

 そう週刊女性に語ってくれたのは、ヘットカンプさん本人。

'71年10月、人の悩みや寂しさに対して“人と力を合わせて何かできないか”と考え、クルミのケーキを作るグループを結成しましたその中に、美智子さまのお世話をする女官がいらして、ご本人にケーキを差し上げたそうです

 その際、“日本で『いのちの電話』を始めた方が作られたケーキです”と伝えたところ、美智子さまが“ぜひお会いしたい”とおっしゃられたそうで、その年の11月に赤坂御所にお招きいただいて、『いのちの電話』についてお話しさせてもらいました」

『いのちの電話』の開局40周年記念式典でドイツ人宣教師のヘットカンプさんと('11年11月)

 御所に招かれた際にかけられたおことばが、今でも忘れられないという。

「開設に至るまでの苦労と喜びを伝えると“外国のことのように聞こえますが、日本で行われたことであるというのは本当に素晴らしいですね”と、ご関心を寄せてくださりました。さらに“聖書には歴史の中にいつも特別な恵みがあると書いてありますがいのちの電話ができたことは、日本におけるひとつの大きな恵みですね”と言われたおことばは忘れられません」

 その後もお会いする機会があると、『いのちの電話』のことを気にかけていらっしゃったという美智子さま。だからこそ、深刻な相談員不足を心配されていたのだろう。

10歳年上の“ピアノ友達”との出会い

 ご家族や心を寄せる団体の窮地に、ご心痛な上皇后さまを支えているのは“とある花の存在”だという──。

「美智子さまは、福島県の子どもたちから贈られたアサガオの種を、仮御所のお庭で育てていらっしゃいます。日々の手入れや、咲いているアサガオをご覧になり、穏やかな表情をお見せになっていました」(前出・侍従職関係者)

 この種はもともと、宇宙飛行士の山崎直子さんが宇宙に持っていったもの。

山崎さんは公式飛行記念品として、『JAXA種子島宇宙センター』で栽培されたアサガオから収穫した200粒の種を持って'10年の宇宙飛行に旅立ちました

 その後、帰還した山崎さんから『日本宇宙少年団(YAC)』に返還され、全国にある『YAC(ヤック)』の分団に所属する子どもが栽培することにそれは“宇宙アサガオ”と呼ばれ、毎年、各分団が栽培しているのです」(YAC関係者)

山崎直子さんが宇宙飛行に持っていった種を栽培して花開いた“宇宙アサガオ”(写真提供・三船文彰さん)

『YAC』には福島県にも分団があり地元の子どもたちが採取したアサガオの種が美智子さま本人に渡ったのだ。

 その経緯というのが、

現在95歳のルース・スレンチェンスカさんというアメリカ人のピアニストが、美智子さまと“ピアノ友達”なのです

 彼女は'18年4月、福島市内で復興コンサートを無料で行ったのですが、公演の翌日にルース先生と私が美智子さまに招かれていることを『YAC』の関係者に伝えると、“子どもたちが育てた宇宙アサガオの種をお持ちいただけないか”と提案され、御所にお持ちしたのです

 そう話すのは、ルースさんの日本での活動を10数年サポートしている歯科医師で、ご自身もチェロ奏者である三船文彰さん(66)。

「交流のきっかけは'05年1月に岡山県で行ったルース先生のコンサートを鑑賞された、美智子さまのピアノの先生が御所に差し出した“ルースさんにお会いされるべき”という内容のお手紙でした。

 その後、'05年2月に初めて美智子さまとルース先生がお会いした際はお話がたいへん盛り上がり、20分の予定が2時間になるほどでした美智子さまがリクエストされた曲を、10歳も年上のルース先生が見事に演奏されるのを見て“ピアノへの情熱”がより一層燃え上がったそうですよ」(三船さん、以下同)

美智子さまのお誕生日プレゼント

 福島の子どもたちからの種を大切に育てているのは、やはり被災地への思いが人一倍お強いからだと、三船さんは次のように語る。

お渡しした種の経緯を話すと“新居に移っても大切に育てますね”とおっしゃってくださりましたが、お引っ越しの作業が大変だと伺っていたので、まさか本当に育てていただけているなんて……

 美智子さまは、お電話の際に必ず“東北の方々はあまり声を上げられないから、私たちが常に心を寄せないといけない”と、常に被災地を気にかけていらっしゃいます。東北の人間ではない私にそうおっしゃるくらいですから、そうとうな思いがおありなのでしょう」

美智子さまより約10歳年上でもコンサートを続けるルースさん(写真は公式HPより)

 今年はコロナ禍で誕生日行事を取りやめ、外出も控えていらっしゃる上皇后さまのために、ルースさんは特別なプレゼントを贈ったそう。

ルース先生は先日、美智子さまのお誕生日プレゼントとして、ご本人がアメリカで弾いた45分間のピアノ演奏を収録したDVDをお贈りしました。映像では1曲ごとに“なぜ、この曲を選んだのか”というコメントも入っています。

 約10歳も年上のルース先生が頑張ってピアノを弾く映像をご覧になることで、美智子さまの“糧(かて)”にしていただけるとありがたいです

 お出かけはできなくとも、美智子さまの日々は充実されているにちがいない──。