赤いきつね40周年記念イベントでの武田鉄矢('18年10月)

 『ワイドナショー』(フジテレビ系)に、またも不穏な風が吹いている。

『ワイドナショー』は収録番組なのに……

 11月1日に放送された同番組では、今年10月、タワーマンションでセクシー女優の里美ゆりあ(35)の自宅に、宅配業者を装った10代のグループ3人が侵入、現金約600万円を奪った事件についてとりあげた。

当記事は「日刊大衆」(運営:双葉社)の提供記事です

 この事件に関して、番組のメインコメンテーターのダウンタウン・松本人志(58)は、松本は同じくマンションに住む身として、MCの東野幸治(53)に、セキュリティについて聞かれ、

このニュースの違和感というか、よくないなと思ったのは。女性の人が顔出しで映ってたでしょ? マンションもガッツリ映ってますし、これは報道としてやっちゃいかんのじゃないのかな。ご本人が“いいですよ”と言ったとしても、被害者を守る意味でも顔をはやっぱし映しちゃダメだと思います

 と発言。さらに、事件現場のマンションが映像で報じられている件ついて、

「このマンション見覚えあるし、“あっ、このマンションにああいう人が住んでんのや”って僕のなかでは刷り込まれてしまいましたからね。ちょっとそこは報道の仕方を考えないと」

 としたほか、

変な臆測を呼んで、あの人は明るい人だからネットでも変な感じになっていたりするんです」と、いう現状を指摘した。

当の『ワイドナショー』の報道は?

 この発言内容そのものは非常に正論で、SNSでも賛同の声が多く見られたものの、当の『ワイドナショー』が事件を紹介した際はどうだったかというと……。

某駅(番組では実在の駅名)前の映像からカメラが引いて、そのままタワーマンションを映すという、もうそのものずばり場所が特定できる映像を流してたんです。

 警察が捜査中であることを示すためとはいえ、入り口付近の道路やエントランスも映ってしまっていて、マンションの外観も下から上までガッツリ映していた。まさに、松本さんがダメ、と指摘したそのものの報道の仕方だった。これはマズいですよね……」(女性誌記者)

『ワイドナショー』は生放送ではなく、基本は前日収録の番組。それだけに、松本の発言を汲むならば、現場の具体的な場所を紹介するのではなく、イメージ映像で済ませるべきだったのではないか、と指摘する声もある。

ゲストの発言についても、同じことが言えますね。何か失言があったとしても、編集の段階でカットすることができるのが、収録であることのメリット。しかし、今回は武田鉄矢(71)のどうかと思う暴論が、そのまま放送されていた。明らかにマズいと思われる発言だったんですが……」(前出の女性誌記者)

 問題となったのは「学校の皆勤賞は不要か」という話題だった。コロナ禍でより拍車をかけている論争だが、「どんなときでも1日も休まないのはエラい」という風潮に対して、「体調が悪ければ無理せず休む大切さを伝えたい」という意見と、賛否両論がある。

これについて武田は“学校っていうところは、成績以外にいろんなことで褒めてくれるっていう喜びがあるから頭の悪い子も明るく通えるんじゃないですかね”と指摘したんです。

 子どもが明るく通えるに越したことはないし、皆勤賞のメリットに“成功体験を得られる”というのがあるわけですが、頭の悪い子、という発言はちょっと……しかも、その後の発言はさらに首をかしげざるをえなかった」(前同)

皆勤賞=頭の悪い子が取れる賞

 武田は皆勤賞について「身体が丈夫で頭の悪い子が唯一取れる賞」と表現。これにはさすがに東野も「偏見ですよ! おい、いい加減にしろ! 暴言だよそれ!」と叫び、武田も両手を合わせて謝る、という流れで、スタジオは大ウケとなっていた。

 しかし、これについては《意見が偏りすぎ》《頑張った子を頭が悪いなんて言わないでほしい》という批判の声が出てしまったのである。

さらに武田は“懐かしい思い出”として、“伝染病にかかっても学校にくる子がいた”“赤痢で学校にくる子がいた”“彼は英雄でしたよ!”と、コロナ禍の現状ではちょっとシャレにならないトークをしていました。視聴者としては、むしろ武田の次に意見を述べたEXIT・兼近大樹(25)のほうが支持されている印象ですね」(専門誌記者)


 兼近は「学校は素晴らしいところ」と前置きしつつも、中学校時代は新聞配達をしていて体力がキツい状況下で「クラス全員参加の合唱コンクール」の練習を朝から誘われたことを明かし、

向こうからしたら、“なんでこいつは来ないんだ。なんで学校に来て一緒に歌わないんだ”という正しさを押し付けてくる感じ。こっちは働いてるんだよ。お前らとは違うんだって

 と、皆勤賞のデメリットである「休む=悪印象」となる点を実体験で指摘しつつ、「病気になって行って、誰かにうつしたなんて、いまだったら絶対にヤバいじゃないですか。楽屋あいさつですら我慢している時代」と、コロナ禍の情勢に合わせた意見を述べたのである。

コンプライアンスを見直すべき?

 その後、番組では「皆勤賞でなくとも、頑張っている子を褒める賞は大切」としして、実際に一部の学校で存在する「虫歯ゼロに贈られる虫歯ゼロ賞」「ランドセルを6年間使ったランドセル賞」「大きな声で挨拶できた挨拶賞」「本を多く読んだで賞」などを紹介した。

これについて、武田は虫歯ゼロ賞は“歯の悪い子にとってコンプレックスになるから”と、否定的な意見をして、東野らを驚かせていました(笑)。基準がおかしい、ということですね」(前出の女性誌記者)

『ワイドナショー』は19年1月13日に、松本が指原莉乃(27)に対し「そこはお得意の体を使って何とかするとか」と発言した件がセクハラとして問題になったことがあった。翌週の20日に松本は同番組で、

なんでカットせえへんねんっていうね、この番組は基本的に僕の言うことをカットせずに使っていきたいという、暗黙の了解なんですよ。俺がカットしいって言えばたぶんカットされるんですよ

 としていたが、今回の場合はいずれも松本とは無関係の部分。

 2020年4~6月期連結決算で、フジ・メディアHDの最終利益は前年同期比90.6%減の20億円と、大逆風の中にあるフジテレビ。いま一度、コンプライアンス面を考える時期が来ているのではないだろうかーー。