大盛況のうちに幕を閉じた『アラフェス2020』の余韻が冷めやらぬなか、『週刊文春』が報じたのは《嵐“分裂”全真相 この恋がすべての始まりだった 大野智「9枚の熱愛写真」》。大野が2013年に出会った元モデルでシングルマザーのA子さんとの数年にわたる交際と半同棲、そして結婚目前で破局するまでのエピソードが6ページにわたって詳報されている。
そして、衝撃的なのが記事中に並べられた写真の数々だ。沖縄の離島にある海辺でキスしていたり、見つめあって手を繋いだり、彼女の息子とまるで家族のように並んでいたり──。高カロリーなラブラブショットの嵐! 大野ファンが息をしているのかどうか心配だ。すでに離島に土地を購入、ヴィラを建てて彼女の子どもと3人で移り住む予定まであったというのだから、もう立ち上がれない。
国民的アイドルグループのリーダーでありながら、滝沢カレンにも“四字熟語あだ名”で『海釣地蔵』と名付けられた大野智。趣味の「釣り」や「アート(主に絵)」の印象ばかりが先行し、ほかのメンバーと比べても恋愛色はやや薄めのイメージがあったが、過去に数回、女性関係を報じられている。
そんな彼の過去を振り返ってみて、改めて気付かされるのが、
『女性との“プライベート写真”が流出しがち』
であることだ。
付き合ってきた女性たちの“肩書き”
2008年 元グラドル・吉野公佳との“頬寄せセルフツーショット”(『FRIDAY』)
2008年 一般女性2人と抱き合う“ハレンチ写真”(『週刊現代』)
2015年 元女優との交際を裏付けるかのような“匂わせ写真”(ネットで拡散)
2020年 元モデルのシングルマザーとの“9枚の熱愛写真”(『週刊文春』)
異なる雑誌に3度もプライベート写真が流出したのは、ジャニーズのみならず、芸能界全体を含めても稀なケースだろう。
2015年には元女優との焼肉・岩盤浴デートが『FRIDAY』に撮られているが、その後、その女性のSNSに大野の愛犬が掲載されたり、懇意にしている釣り船船長のブログにも2人がプライベートで釣りをしていると思しき写真が掲載されるなど、ネット上に流出することもしばしば。大野の脇が甘いのか、周囲の人間のリテラシーが欠如しているのか……。とにかく流出してしまうのである。
で、こう並べてみて特筆すべきは、彼が付き合ってきたのが「元グラドル」「元女優」「元モデル」といった“元芸能人”ポジションの女性ばかりだということ。
週刊誌にたびたびプライベート写真が流出するのには、彼女たちが“交際がバレたら困る”現役の芸能人ではない、という背景もあるのかもしれない。情報管理に対する意識も芸能人ほどではないから写真が流出するのだろうし、逆に大野も相手が芸能人だったら堂々と彼女を連れて釣りに出かけることはなかっただろう。引く手数多の国民的アイドルにも関わらず、大野が交際相手に“ほぼ一般人”を選ぶあたりに、“一般的な普通の生活を送りたい”彼のプライベート観が垣間見えそうだ。
スターである立場上、完全な一般人と出会いを求めることは難しく(2003年には二宮和也が“出会い系サイト”で出会った女性に週刊誌に売られた過去もあったし……)、それゆえ、芸能人ではないが、業界への理解もある女性ばかりを選んでいるのだろうか。事実、今回出会ったA子さんも出会いのきっかけは《芸能関係者の誕生パーティ》だとしている。
メンバー4人が幸せになってくれればいい
一方、同じ嵐でも松本潤は長いこと井上真央との交際を取り沙汰されているが、ツーショットを撮られたことは一度もない。かつて二股報道のあったセクシー女優の葵つかさに井上のことを触れられた松潤は《『それ以上、彼女のことを言ったら殺すよ』と突き放すように言った》(『週刊文春』2017年1月5・12日号)とされることからも、アイドルとして秘密主義を貫いていることがわかる。仲良し船長のブログにデート写真をアップロードされる大野とのコントラストがうかがえよう。
2008年にハレンチ写真が出回った際、大野は事務所から大目玉を食らったというが、のちの報道によれば、写真をリークしたとされる女性に対し《お前は何も悪くない。気にするな》とメールを送ったのだという。
デレデレした写真を週刊誌に載せられておきながら、なぜカッコいい感じでいられるのかは疑問だが、この言葉選びから見て取れるのは“俺はアイドルだから仕方ない”といった諦(てい)念ではないだろうか。
その後もプライベート写真が週刊誌やSNSに流出し続けたことからわかるのは、大野が「普通の人と同じように思い出を写真に残す」姿勢を変えなかったことだろう。たとえ彼が信用している人間から写真が世に出てしまったとしても、だ。
大野は2014年に雑誌のインタビューで「アイドルという職業にそれほど執着はない?」と聞かれ、こう答えている。
《若い頃と比べると今はそんなに『生き残りたい!』とは必死には思わないですね。(中略)それに、休みが決まっている生活って逆にうらやましいですよ。そこに合わせて頑張ることができるし、生活が立てやすいじゃないですか》(『SPA!』)
今回の報道によれば、シングルマザーのA子さんは、いちアイドルとして葛藤し、ほかのメンバーやファンのことも気にかけている大野をみて、《これ以上彼の負担になりたくない》《自由な生活をさせてあげたい》と口ぐせのように言っていたとの記述がある。だが、2019年の活動休止発表のあたりにA子さんのほうから別れを告げたとも。
まさにその活動休止の会見で大野が「何事にも縛られず自由な暮らしがしたい」と言っていたことを考えると、なんて切ない恋物語だ……と涙が出てしまいそうになる。恋人と写真を撮っただけなのに、それが世間に晒されファンに叩かれてしまう、それがアイドル。
今年いっぱい『Netflix』で配信されている嵐のドキュメンタリー『ARASHI’s Diary -Voyage-』。大野をフィーチャーした回『OHNO’s Diary』では、コロナ禍のなかアトリエで個展のための絵画制作をする日々が映し出される。破局して半年くらいのころだろうか。作業を終えると酒を飲みながらカメラの前で、
「ただ単にメンバー4人が幸せになってくれればいいだけの話だからね。ただそれだけ。ずーっと嵐のことしか祈ってないのよ俺」
とおぼつかない呂律で涙を流す姿に、やはり悟りの境地めいたものがみえてまた泣けてくるのだ。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉