日本テレビ系日曜ドラマ『極主夫道』毎週日曜夜10時30分〜放送中

「カチコミかける」「ヤキ入れたる」……なんて、物騒な極道言葉と、主夫(婦)目線で作られた物語。その温度差が“楽しすぎる”と話題の任侠コメディードラマ『極主夫道』。いわゆる“極道モノ”と、ひとくくりにして見逃していてはもったいない! 

“不死身の龍”として極道界隈で恐れられていた男が結婚を機に極道から足を洗い、専業主夫に。そこで奮闘する物語は、女子にこそ見てもらいたいポイントが満載なのだ。

 まず、『極主夫道』の魅力は、なんといっても元極道×現専業主夫という玉木宏扮する龍のギャップ萌え! 原作の同名マンガの再現度が高いと評判の、色つきのサングラス&スーツといういかにも極道なスタイル。その上に柴犬マークの可愛いエプロンを重ね、超絶高い主夫力を見せる姿はたまらない。

 しかも「部屋干しした衣類の下にくしゃくしゃにした新聞紙を広げて敷いておくと乾きが早くなる」「玉ねぎを切るときは割り箸を口にくわえておくと涙が出ない」など、ドラマ内で龍が披露する家事テクはなるほど~の連続。

 そんな龍の決めゼリフは「主夫、舐めたらあかんで」(笑)。「組まとめるんも大変やけど、主婦ほど大変な仕事はないねや」と、世の主婦へのリスペクトを発信してくれるから、見るだけで家事の疲れが癒されるってもんや! なのだ。

ぶっつぶして、どつく 絶品!? 極道レシピ

 一方、学校のクラスのことを“組”、仕事や学校は“シノギ”と呼び、元極道がダダ漏れしてしまうところやご近所付き合いのドタバタ劇など、コミカルな部分もドラマの見どころ。ドラマとリアルタイムで連動している龍らしきアカウントのインスタグラムには、ドラマ放送後に「おつとめご苦労さんです」など、ドラマの世界観を楽しむファンも少なくない。

龍のものらしきインスタ(@tatsu73674_)の投稿より。ドラマ内で龍が投稿すると、リアルタイムで更新される!

 中でも多くのファンが注目しているのが、龍が劇中で調理し、ドラマの公式インスタグラムで公開されている極道言葉てんこ盛りの料理“極道うたいレシピ”だ。

 例えば、第3話に登場した『桃太郎のキビ団子』は、(材料を)ぶっつぶし→こねくり回し→どついてまるめこむという恐怖のレシピ! しかも“悲鳴をあげやがるまで気合でぶっつぶす”工程も。

 さらに、第4話の『龍の塩からあげ』は難解。「鶏モモ肉をドスでカタにはめる」(ドスってやばすぎでしょ?)、「皿に盛り、お好みの野菜で落とし前をつけるんや」(野菜が震え上がりそう)、肉に調味料をなじませるときは「ステゴロでもええ」(ステゴロって何~?)と専門用語が並び、家庭料理の定番であるから揚げがなにやら物騒に。

 ちなみに、ドスでカタにはめるは包丁でひと口大、野菜で落とし前をつけるは野菜を添える、ステゴロは素手、とのこと。

 これに対し、公式インスタグラムでは「面白すぎてレシピが頭に入ってきません(笑)」とハマる人が多く、中には「白い粉(小麦粉のこと)が切れてるから手に入れてきます」、「(レシピの隠し味を)今度ぶっ込んでみます」など、極道言葉で応戦するファンも。劇中料理が楽しみのひとつになっている。

“愛情たっぷりのレシピ”と料理のプロも絶賛

 劇中に登場する料理のレシピを担当するフードコーディネーターによると、

「龍は、見た目と裏腹にスーパー専業主夫であり、丁寧さや気配りにあふれている人。そのギャップが出ればいいなと思っています」

 とのことで、料理自体は極道とはイメージが真逆のほっこり安心感がある家庭料理がベース。そこに、ぶっ飛んだ極道言葉を重ねたことで、斬新すぎるレシピに進化したというわけだ。では、どうやって“極道うたいレシピ”が誕生したのか。

「きっかけは、ドラマのポスターのコピーを担当してくださったコピーライターさんから、龍が使うような言葉、例えば弁当箱をブタ箱と言ったり、材料をシャバに出すとか言うようなレシピがあったら面白いとアイデアをいただいたことです」

 そう話すのは、“極道うたいレシピ”の生みの親で、ドラマの宣伝を担当する読売テレビの小林杏奈さん。龍をイメージして、塩→しょっぱい白い粉、細切り→薄くしばく、全体がなじむ→すべて手打ちするなど、レシピの文言を次々に極道言葉にシフトしていったとか。

「身近に極道はいないので、大阪の岸和田出身の同期を思い出して書いています(笑)。普段から、この言葉を極道風に言ったらなんて言うだろうというのを、つい考えるようになっていますね。水って、なんて言えるかな? とか。さすがに、水は水ですが……。

 あまりに極道変換しすぎて、今やパソコンで“か”と打つと、“カチこむ”と予測変換されるように(笑)」

 でも、レシピのすごさは言葉のおもしろさだけにあらず。実は料理のプロさえも「上級テク」と唸るレシピなのだ。第5話に出てきた『肉だんご鍋』のレシピを見てみよう(以下、ドラマの公式インスタグラムより)。

日本テレビ系日曜ドラマ『極主夫道』毎週日曜夜10時30分〜放送中

(1)まずは、肉団子のもと作りからや。ブタ箱に切り刻まれた豚肉、こっぱみじんにした野菜野郎白い粉と黒い粉を加え、泣きが入るまで握りつぶすんや。

(2)(1)にちょっくら水を加えながら懲役ロング、最後に香ばしい油を加えて、こねるんや。

(3)好みの野菜・豆腐などをドスでカタにはめるんや。

(4)スープの材料を大きめのブタ箱にカチこみ、スープ作りや。

(5)スープがグツグツ煮立ったら、肉団子の塊を、タマ取られんようにスプーンで丸くしながら、鍋に沈める。肉団子に半分ほど火が通ったら、野菜野郎やシャバのあかしの白い豆腐を入れて手打ちや。

“懲役ロング”“タマとられんように”“シャバのあかし”など、相変わらず理解不能なワードが並ぶものの、管理栄養士の森下久美子さんに分析してもらうと、

「肉団子はよく練ってから水を加えるのが正解。かなり上級テクですね。野菜がたっぷりで腸内環境がよくなり、身体が温まるので免疫力アップ。インフルエンザ、コロナ対策もよく考えられています」

 と絶賛。さらに、

「家事コツやキャラ弁も参考になるので、私も龍のインスタをフォローしました(笑)。愛情とサービス精神がないとできないことなので、私も見習いたいです」とフォロワー宣言!

 さらに編集部では、次回15日放送予定の極道うたいレシピを入手。

「塩とドライイーストは、目が合ったら喧嘩や。近づけるんやないで」「炊飯ボタンを押して、ヤキを入れるんや」

 そんなドスのきいたレシピで可愛い炊飯器パンを作るというから、次回も見逃せない!

15日放送の第6話では、炊飯器クッキングで雅(志尊淳)が“キャラパン”に挑戦

“不死身の龍”名言集

「主夫、舐めたらあかんで」

(第1話、ロボット掃除機が部屋の隅を掃除できていないことに気づき掃除の見本を見せて、ロボット掃除機にどや顔でひと言)

「モノは大事に扱こうて、長持ちさせる。1つでも無駄を減らして、家計をやりくりして、家族に些細な幸せを味おうてもらうんも主婦の仕事や」

(第2話、ワゴン内の服争奪戦で、虎二郎と洋服を引っ張って奪い合うも、破れることを懸念し手を離す。その理由を聞かれて)

「困ったときに頼りになる、役立つアイテムがぎょうさん。100均を制するもんが、家事を制するんや!」

(第3話、ハロウィンの準備をすべく、雅とゆかりと100均に行ったときのセリフ)

「白いモンと色柄モン、シマ分けんかい!」

(第4話、雅に洗濯の基本を教える龍のセリフ)

ドラマ『極主夫道』公式インスタグラム(@ gokushufu_drama)龍らしき人物のインスタグラム(@ tatsu73674_)

《取材・文/河端直子》