今はネット番組やユーチューブばかり話題だけど、昔はみんなテレビにかじりついていた。お茶の間を沸かせたあの人気番組って、裏ではイロイロあったんじゃ!? 当時は語れなかった秘話を当事者たちに聞いてみた!!
『マジカル頭脳パワー!!』
2代目アシスタント・永井美奈子
「1時間の番組でしたがスポンサーが多く、実際の放送時間は45分ほど。それでも、1回の収録時間は3時間以上でした」
'99年9月に終了するまで10年間にわたって続いた『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)について、2代目アシスタントを務めた永井美奈子(55)はこう話す。
「'90年代を代表するクイズ番組のひとつです。多くの人気コーナーを生み出したことでも有名で、『マジカルバナナ』や『あるなしクイズ』は日本中でブームになりました」(テレビ誌ライター)
30%近い視聴率を記録し、常に話題を提供し続けた番組だったが、収録時間は長時間に及び、体力的にも大変だったという。
「1週おきに2本撮りしていたので、6時間以上、私と司会の板東英二さんは基本的にずっと立ちっぱなしでした」
長時間収録を可能にした秘密は板東の計算された話術にあった。
「板東さんは収録中、ほとんどしゃべり続けていました。出演者だけでなく、観覧席のお客さんも含め、スタジオ全体を常に盛り上げ、温めてくれていたんです。
そのおかげで、面白い回答が出てくる場面、盛り上がってほしいところでお客さんがしっかりと反応してくれる場が作られていた。でもそういった板東さんのトーク部分は編集でほとんどカットされてしまって……。実は高視聴率を支えた陰の功労者は板東さんなんですよ」
番組で印象的なのは、問題がモニターに出る前に正解してしまうこともある、一見ヤラセにも見える所ジョージの“回答の速さ”。
速すぎる所ジョージの回答
「もちろんヤラセなんかではありません。問題が出る前に答えたときは、スタッフも含め、スタジオ全体が騒然でした。正解したのが信じられなくて、私なんか腰を抜かしてしまいましたよ」
所は、一体どのように正解を導き出したのか。
「頭の回転がものすごく速くて、天才的な勘もあったんですが、“このスタッフなら次はこういう問題を出すだろうな”とか放送される時期から“この形式の問題で、放送日が何日なら季節的にこういう答えの問題があるだろう”って、あらかじめ予測して答えたりしていたそうなんです」
とはいうものの、見もせずに答えられてしまうのはスタッフとしてはかなり悔しい。
「一時期はスタッフが“所さんに正解させないぞ!”って張り切っていて。スタッフ対所みたいな構図で、ある意味 “化かしあい”のようになっていましたね」
答えが1つではなかったのも、面白さのひとつだという。
「想定しているものと全然違う答えでも、納得する理由をつけてくれたら、正解にしたり。間寛平さんはそういう答えが多かったと思います」
永井は誰も気づかないであろう、ある “気遣い”をしていたことを教えてくれた。
「私がハイヒールをはいて司会者の位置に立つと、板東さんの身長がカメラ越しだと小さいように見えてしまうんです。だから、少しでも板東さんが大きく見えるよう、私は身体を傾けていました。そんなことを2~3年続けていたら、立ち姿がどんどんゆがんでいって、とうとう椎間板ヘルニアになってしまったんです……。手術はしませんでしたが、鍼治療をしたり、コルセットをつけながら出演していた時期もありました」
『東大王』や『Qさま!!』など、今でも根強い人気を誇るクイズ番組だが、『マジカル~』には簡単にまねできない面白さがあった──。