「目標であった2020年に、再々演というかたちでステージに立つことができるのはとてもうれしいですね。草なぎくんも香取くんも“よかったね”って言ってくれて。実際に舞台が始まったら、どこかのタイミングで劇場に来てもらえたらと思います。舞台の中では僕の代表作というか、最低でもベートーヴェンが亡くなった56歳までは演じ続けたいです。ゴローだけに(笑)」
ベートーヴェン生誕250周年となる今年。“第九”で知られる『交響曲第九番』など数々の名曲を生み出した偉大な作曲家の生涯を描いた舞台『No.9―不滅の旋律―』が12月13日から上演。主演の稲垣吾郎は'15年、'18年の上演に続き2年ぶり3度目のベートーヴェン役を演じる。
ベートーヴェンは僕と真逆の人間
「ベートーヴェンといえば、孤高の天才であったり、よく音楽室にある肖像画の睨みつけているような顔とか、みんな最初はそういうイメージですよね。でも、演じてみて人間味があり愛に満ちている一方で、自分がこう思ったものに対しての執着心がすごいんです。
僕は無色透明の人間というか、執着心のない全く逆の人間。この間、フォトエッセイを出させていただいたんですが、帯に書いてあるのが“やりすぎない、でしゃばりすぎない“ですから(笑)。すごい帯ですよね。僕的には気に入ってるんですけど」
共演にはヒロイン役に剛力彩芽など前回からのキャストが再集結。
「剛力さん演じるヒロインは女性としての生き方とか、いちばん変わるすごく難しい役。僕が女優だったらやってみたいです。やはり女性の視点も大事だと思うし、自分が女性だったら、こんな役やりたいって考えたりするんですよ。
たまに取材などでも、“僕、おばちゃんです”と言ったりするんですが、もしかすると中性というものを心がけているのかも。もともとグループにいたし男性ばかりに囲まれていたからかな。うまく言えないんですけど、無意識にそうなった感じですね」
「より心がつながった」
舞台を通してお客さんとつながることを楽しみにしているという稲垣。一方で、SNSを始めてからファンとのつながりが近くなったとも話す。
「よりひとりひとり距離が近くなったというか、生きている気配というのを感じるようになりました。まぁ、僕のほうからは基本的にベタベタするのが好きじゃないので、少し距離をとりますが(笑)。
以前のグループのときは、急成長していって、ファンもたくさん増えて、漠然と大きな塊みたいになっていったからその感覚は少なかった。それが解散して、個人で活動し始めて、よりファンと心がつながったというか。今の形になって満足しています」
新しい地図として、ともに活動する草なぎと香取については、最近こんなことを思ったそう。
「2人とも本当に役者として改めてすごいなって。『誰かが、見ている』で香取くんと共演したんですが、本番に入ったときの集中力がすごい。ある意味、本番以外何もやらないです(笑)。草なぎくんは『ミッドナイトスワン』のあの役は僕には絶対できないですよ。会見で自分から“代表作”って言っちゃってますから。あっ、僕もさっきベートーヴェンを代表作って言ってましたね(笑)。
本当に2人には刺激を受けるし、僕も代表作と言えるくらいの意気込みで、この役を演じられればと思います」
僕の思い出の1曲
中学生のころに初めて行ったコンサートがBARBEE BOYSだったんです。KONTAさんと杏子さんの歌がすごくカッコよくて、曲もいわゆるロックバンドというよりも、少しジャズだったり洋楽的で、それが大好きに。
今年、20年ぶりくらいに“ななにー”で共演させていただいたんですが、一緒に歌わせていただいたのが不思議な感覚でした。1曲あげるなら……カセットテープで買った思い出のある『目を閉じておいでよ』ですね」
木下グループpresents
『No.9―不滅の旋律―』
12月13日〜2021年1月7日
TBS赤坂ACTシアター