「つい最近も朝の7時半ごろにきれいな格好をして、颯爽と出勤していました。お父さんは有名企業に勤め区長に、お母さんも民生委員として長年、地域のために尽くしてきた立派な一家なのに……」
と近所の住民は驚く。そんな埼玉・上尾市の実家近くでは、ちょっとした有名人の“美人お嬢さま”が横領で逮捕された。
11月5日、愛宕署と警視庁捜査2課は、東京・港区の船舶関連商社「鶴洋(かくよう)商事」で、1億5600万円を業務上横領したとして、元管理部課長の金子幸代(さちよ)容疑者(46)を逮捕した。
「社員数26人の会社で、容疑者は長年、ひとりで経理を担当。2014年4月から昨年11月に、インターネットバンキングを利用して会社の口座から自分名義の口座に60数回にわたり振り込んでいました。3月にすでに懲戒解雇されています」(テレビ局記者)
金子容疑者は犯行を認めていて、銀座の百貨店や高級ブティックで、ルイ・ヴィトンやフェラガモなどブランド品の購入にあてていたと供述しているという。一体、何が容疑者を狂わせたのか──。
幼少期に右目の視力をほとんど失う
会社員の父親、専業主婦の母親の間に次女として生まれ育った金子容疑者。
父親は2年前にがんで他界したが、近所では目立つ立派な一戸建ての実家で、母親、姉と暮らしていた。
容疑者の小学校と中学校の先輩は、
「お姉ちゃんはがっしりした女性ですが、妹は色白で細くて可愛い子だった。幼いころはきれいな洋服や着物を着て、父親がよく家の前で記念写真を撮っていましたね。明らかにお姉ちゃんとは可愛がりようが違った」
と証言する。
地元の中学校に進学して、姉妹ともに陸上部に所属。
「お姉ちゃんは少し変わり者ですが、ざっくばらんで明るい性格。妹はきれいですが、つんとすましている感じで、友達とも交わらないというか、ひとりでポツンとしている印象でした」(先輩)
それは幼少期に負った傷が原因かも、と続ける。
「よく見ないとわかりませんが、彼女は小さいころ遊んでいるときに右目にケガをして、視力をほとんど失い、白くなっています。
それを気にしているだろうし、自分がきれいだという自覚もあるので、複雑な性格になったのかも」
そんなコンプレックスが、金銭欲やブランド欲への暴走につながったのだろうか……。
ブランドものの服が束になって捨てられていた
近所の主婦は、
「金子さんのお宅の前のゴミ収集所には、ブランドものの服がハンガーにかかったまま、束になって捨てられていました」
と目撃談を。
さらに、前出の先輩は最近、容疑者を見かけたときの印象を次のように語る。
「体格がよくなったと同時に、顔はサイボーグなのかと思いました。もともと美人でしたが、別人のようでね。ボトックスはもちろん、整形もやっているのかと」
一方で、私大の家政科出身の容疑者は料理が得意で、「よく家族に振る舞ってくれる」と母親が周囲に自慢していた。
横領金の使い道は?
その母親が、週刊女性の取材に応じた。
ブランドものについては、
「確かにそこそこの服は着てましたが、OLですから、決して派手な服ではないです。
あの子は可愛い感じの服が好きなので、『ハロッズ』はよく着ていました。20年以上もしっかりした会社に勤めていて、給料もいいので、その程度なら買えるだろうと」
ほかの使い道に心当たりはないのだろうか?
「……本当に、まったくわかりません。主人が生きているころからの犯罪ですが、主人も私も、(容疑者の)お姉ちゃんも気づきませんでした。
宝飾品も派手なものは身につけないし、家はもともとあるし、車も乗らないですから。お酒も飲まないし、おいしいものを食べに出かけるとか、海外旅行もしません。せいぜい、私と1年に1、2回、温泉に行く程度ですが、それは私が払っています。
お姉ちゃんもあの子も、家には毎月、決まったお金を入れてくれていますが、彼女たちのために貯金しています」
先の先輩は、横領金の使い道についてこうも話す。
「ブランド品だけで、1億5000万円は使えない。整形だって、美食だって、そこまでかからないと思います。とすると、私たちの世代の女性なら、オトコですよ。特定の男か、ホストに貢いでいたのかも」
男性には興味がないと思っていた
その疑問を、そのまま母親にぶつけてみた。
「それはないと思います。お姉ちゃんは何度かお見合いさせましたけど、あの子は目が不憫なので、一生、家に置いて、私が面倒を見ていこうと。だから、1度も見合いはさせなかったし、“結婚しなさい”とも言わなかった。
男性を家に連れてくることもなく、交際の話も聞いたことがない。テレビのタレントも関心がなく、男性には興味がないと思っていました」
夜は7、8時には必ず帰宅。夜遊びもなかったという。ただ、土日は出かけていたとか。
「それはひとりで買い物にね。友達が少ない子で、外に誰かと出かけること自体ないんです。趣味といえば、せいぜい家で読書するくらい。
倹約家で、お金を散財することもなかったし、親にまとまった金を要求する子でもなかったですし……」
80歳目前の母親は最後、悪い腰とやつれた顔で、弱々しくこうつぶやくのみ。
「できる限りの償いをしていくしかないです。主人が残してくれた財産と、この家を売って、それからあの子のために蓄えた貯金で……」
3月に解雇された後も、別の会社では普段どおりに働いていたという金子容疑者。
次に老母と顔を合わせたときに、初めての金の無心をするのだろうか。