小林麻耶(41)の「迷走」が世間をザワつかせている。レギュラー番組『グッとラック!』(TBS系)のロケを欠席して、番組自体も降板。所属事務所からは「なかなか正常なマネジメントができないので」として契約を解除されてしまった。
迷走しはじめた小林麻耶
その真相についてはさまざまな憶測がされているが、個人的に予兆めいたものを感じたのは10月15日の『グッとラック!』だった。彼女はホリエモンと餃子店のトラブルの話題で、別の曜日のレギュラーでもあるひろゆきを批判。彼が『2ちゃんねる』のような匿名掲示板を創設したことで、利用者が「本音を出せたこと」は「いいこと」だとしつつも、
「そこから派生して、傷ついた人がいるんですよね。今回のと似てる気がするんですよ。すごく大きな影響力がある人たちがやったことが、いいこともあったかもしれないけど、堀江さんはちょっとアレか、ひろゆきさんは……(ほかのコメンテーターを見て)私、何が言いたいんでしたっけ」
いわば身内のことをやや感情的になって批判するうち、我を忘れてしまった姿には違和感を覚えた。
また、29日にはメイン司会・立川志らくの「母親がいないと子供にとっては不幸なことじゃないですか」という発言に対し「私はそうは思いません」と涙をにじませながら反論。この番組での彼女は、涙目や涙声になることも珍しくなかった。カンニング竹山のキレ芸みたいに、泣き芸でも始めるつもりならまだしも、いたって本気だ。正直、これはきついと感じたものだ。
というのも、彼女はデビュー以来「かわいい」というイメージを保ちながら表に出てきたからだ。大学時代に出演した『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)しかり、TBS入社後に担当した『チューボーですよ!』や『王様のブランチ』しかり。ときにはその言動が女性の反発を生んだが、
彼女はいったいどこで変わってしまったのだろうか。
そのひとつめは、報道番組への挑戦だろう。2009年、彼女は退社を機に、TBSと専属契約を結び『総力報道!THE NEWS』(TBS系)のメインキャスターになった。が、暗いニュースでも明るい声と笑顔を変えられずに酷評され、番組は1年で終了。報道に向かないことを露呈させてしまった。
それまでの彼女は入社2年目にして「嫌いな女子アナ」1位に選ばれながらも「結婚したい女子アナ」でも常連であり続け、局の看板番組『輝く!日本レコード大賞』のサブ司会を5年連続で任されるほどだった。それは華のあるかわいさが評価されていたからだが、TBSの大先輩・吉川美代子(現・フリーアナ)はこんなアドバイスをしたという。
「局アナでニュースやいろんな情報を伝えるよりもタレントの方がいいかもね」(『行列のできる法律相談所』日本テレビ系、'15年2月22日放送)
つまり、そのほうが持ち味を活かせるという見方だ。これには多くの人が同意するのではないか。しかし、本人はそこに気づかず、もっとも向いていないジャンルである報道に手を出してしまった。
とはいえ、その失敗から彼女は巻き返す。『総力報道!THE NEWS』終了を機に本格的にフリーになると、原点に戻ったようにぶりっこキャラをアピール。要は、各メディアの需要に応えた結果だろうが、おかげで'14年には「嫌いな女子アナ」1位に返り咲くほどの注目度を回復した。
'15年には『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系)で懲らしめられるぶりっこ女子をコミカルに演じるようになり、'16年にはコミックソングの『ブリカマぶるーす』で歌手デビューも果たすわけだ。
「かわいい」→「面白い」ぶりっこキャラへ
いわば、ネタとしての強度が増したわけで、ぶりっこもここまでくると、男性にとっての「かわいい」は希薄になる。ただ、そのぶん、女性にとっての「面白い」が加わり、彼女はタレントとして安定していった。
その一方で、'16年には『バイキング』(フジテレビ系)の生放送中に倒れ、救急搬送されてしまう。その後、妹の麻央ががんで闘病中であることが判明し、同情の目でも見られるようになった。
しかし、'18年に結婚して芸能界をいったん引退する。ここでまた、方向性に疑問を感じさせることとなった。夫・國光吟(くにみつあきら、芸名は「あきら。」)の影響でスピリチュアルな世界に目覚め、いわば“洗脳”みたいな状態に置かれることに。引退したままならまだよかったが、'19年に復帰。そして『グッとラック!』のコメンテーターという、報道的な仕事にもまた手を出したのである。
おまけに、夫は彼女をサポートするどころか、現場に介入しているとの報道もあり、彼女が降板になる前日には、配信したYouTubeの動画で志らくをこうこきおろしていた。
「あのMC、どうかしてますよ。ダッサ。(略)何ごまかしてんだよ、男らしくない。自分が正論言ってると思ってんじゃねぇよ。全然トンチンカンなこと言ってっから」
所属事務所が「なかなか正常なマネジメントができないので」として契約を解除したのも、この夫の存在が影響しているのだろうか。
なお、あのぶりっこキャラは八方美人な性格に由来するそうで、
「基礎は幼少期に。度重なる転校がありました。転校生は受け入れられるために愛想を振りまく努力が必要」(『しくじり先生 俺みたいになるな!!』テレビ朝日系、'16年2月22日放送)
そんな性格を変えたい思いが、彼女のなかでくすぶっていたのかもしれない。芸能界ではアイドル的に生きてきた女性が、年上のミュージシャンや演出家などから「本当の自分を見せろよ」などと言われて恋におちることもあるが、もしかしたら彼女の結婚もそのパターンだったのではないか。
しかし、長年ぶりっこでやってきた人が急に路線を変更しても、周囲は戸惑うばかりだ。彼女がドタキャンの理由とした、番組スタッフからのイジメにしても、ぶりっこのイメージがあるだけに、同情目当ての主張にも見えてしまう。しかも、若いうちならいざ知らず、今ではもう、いい歳をしてと相手にしてもらえないのがオチだろう。
ぶりっこ女子からイタイ40代へ……。「かわいい」の賞味期限が切れた今の彼女には「かわいそう」への境界線を超えてしまった哀しさしかない。