新型コロナウイルスの第3波がいよいよ到来したようです。予想通りというか想定通りというか、冬が近づいて、寒い北海道から順に、感染者数が増えています。そしてこちらも残念ながら開発途上のワクチンは今年の冬に日本国民へと行き渡ることはなさそうです。
日本の場合、ファクターXとよばれる未知の要因から、今年の冬も重症化の比率は欧米よりは少なく済む可能性はあります。しかし実際にコロナに罹患すると、無症状の場合でも治癒後に何らかの影響が残るという研究発表もあり、結局のところ今年の冬もコロナを避けた自粛生活を強いられる人も多そうです。
今年の3月から5月にかけて、わたしたちは痛いほど小売店の店頭から欲しいものがなくなってしまう事態を経験してきました。不安を煽るつもりはありませんし、不要な買いだめは本当に不毛だと思うのですが、今年の第1波以降、なくなって手に入らなくなってしまったものを確認しておきましょう。
マスクと消毒用アルコールの備蓄は十分?
(1)マスク
さすがにマスクはほとんどの読者の方が確保されているのではないでしょうか。使い捨てマスクがなくなっても大丈夫なように洗って使える布製マスクも普及していると思います。
あまり推奨できることではないかもしれませんが、わが家の場合、夏の間は使い捨てマスクも殺菌したり洗ったりして3~4日は使うようにしつつ、予備で近所に売っていたアラビア語のパッケージの使い捨てマスク(50枚入り)を2箱ほど購入してあります。
直近ですとこういったマスクが3箱1000円で投げ売りされていたりもしますが、またすぐに値上がりするかもしれませんね。それと今のうちに気を付けておくべきは品質です。今年の夏の間に出回ったマスクはつけてみたらゴムのところがすぐに外れてしまうものが混ざっていたというニュースもあります。手元の備蓄品が本当に使えるかどうかは、今のうちに試しておいたほうがよさそうです。
(2) 消毒用アルコール
マスクと違い、消毒用アルコールはこれまで日常用に家庭で購入する習慣が少なかったせいで、買いそびれた方が多かった商品でした。
幸いにして生産量も増えてきて、今のところ価格は高いですがそれなりに流通している様子です。わが家では今年の冬を越すぐらいのアルコールは確保できています。
実はちょっと困ったことがありました。3月に品不足になったときに「高濃度のウォッカが代用品になる」というニュースを読んでスピリタスを1本買ってしまったのですが、お酒を飲まない我が家ではこれをどうしようか迷っています。もし今年の冬に品薄になったとしたら、アルコール好きな友達にプレゼントすれば二重に喜ばれるかもしれませんね。
(3) 薬用せっけん
それまで当たり前のようにスーパーやドラッグストアで手に入っていた手洗い用の薬用せっけん。新型コロナの緊急事態宣言が起きた時期には、あっという間に小売店の店頭から消えてしまいました。
今は普通に流通していますが、新型コロナに関して言えば安心するために欠かせない商品が薬用せっけんだったのではないでしょうか。
ちなみにコロナウイルスを殺すには薬用せっけんである必要はないという知識は覚えておいたほうがいいと思います。ウィルスはふつうのせっけんでも同じように死滅します。重要なのは洗う時間で、20秒間ぐらいかけてしっかり手洗いをする習慣を家族に教え込めばいいのです。普通のせっけんならずっと気楽に手に入りますよね。
うがい薬もあったほうがいい
(4)ポピドンヨード
のどをうがいする茶色いうがい薬。大阪知事がコロナに効果があると言ったとたんに品薄になってしまいました。うがい薬なのでこれを使ってうがいしたらのどのウィルスの数が減るのはあたりまえなのですけれどもね。
ポピドンヨードでうがいをすることがいいのかという話自体にも諸説があるようですが、冬の脅威はコロナだけではありません。風邪やインフルエンザの予防も含めて、冬の間使えるぐらいのうがい薬は買っておいたほうがいいと私は思います。
(5) ニンテンドースイッチ
実は私の場合、この春の緊急事態宣言で一番不足してしまい、逆に幸運にも手に入ってなんとか事態を乗り切れた製品がゲーム機のニンテンドースイッチでした。
自宅に籠る時間が増えて市場全体でゲームへの需要が増え、そこで「あつまれどうぶつの森」というゲームソフトが大ヒットし、さらにはサプライチェーンである中国でも新型コロナの影響で生産が滞ったことで、ニンテンドースイッチ本体はまったく手に入らなくなったのです。
わが家の場合の問題は、週2回通っていたフィットネスジムに行けなくなったことです。それで4月頃にはすっかりコロナ太りになってしまいました。
ニンテンドースイッチで運動できるゲームがいくつかあって、その中の「リングフィットアドベンチャー」を手に入れたかったのですが、これが人気品薄で手に入らなかったのです。当時、ヨドバシカメラやビックカメラがオンラインで行っていた抽選倍率が40倍程度だったと記憶しています。
転売屋を儲けさせたくない人へ
現在も店頭ではゲーム機本体の売切れ状態が続いていますが、それでも以前よりは抽選や入荷日当日の入手はしやすくなっているはずです。あとこれはあまり推奨してはいけないかもしれませんが、入手しやすくなったことでメルカリでの転売価格の相場もかなり下がっています。直近で調べたら本体価格が小売店で3万2970円(税込)のところ、新品送料無料の条件で4000円程度の上乗せで手に入れることができます。
3万7000円でのメルカリ出品では実は転売屋さんは赤字です。メルカリに10%の手数料、つまり3700円を支払わなければいけませんし、宅配便で1000円はかかりますから。転売屋さんを儲けさせるのはダメだという方でも、いまのうちならメルカリはいいかもしれません。
かといってこれらの商品の買いだめを推奨するつもりはまったくありませんが、コロナの第3波が本格化する前に、余裕を持っていろいろな準備を進めておきたいものです。
鈴木 貴博(すずき たかひろ)経済評論家、百年コンサルティング代表
東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。