「流行りの特殊詐欺じゃないの?」
銀行員を名乗り、通帳などを持ち去った女をたまたま見かけた女性は、不審に思い被害者に尋ねた。間もなく逮捕された女の正体は銀行員ではなく、あの大物女優とも“共演”した容疑者の演技だった――。
自称タレントの小谷結美(ゆみ)容疑者(24)は11月9日、神奈川県茅ケ崎市内の80代女性から通帳やキャッシュカードをだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕された。
「容疑者は銀行員を装っていた。被害女性の友人がすぐに通報したことで警察が動き、帰りの電車に乗る前に逮捕された。犯行直後には、ATMから現金69万円を引き出していた」(テレビ局記者)
大根役者だったのか、すぐにバレて捕まってしまったが、背後には共謀者(氏名不詳)がいたようだ。容疑者は、特殊詐欺で現金の受け取り役を行う、いわゆる受け子だった。
「最近では、元ジャニーズJr.がガスの点検を装い現金を奪った強盗事件も発生しています。SNSを通じて“闇バイト”を募集し、犯罪を指南する人物や共犯がいるとい点では共通しています」(前出・記者)
菜々緒主演ドラマに“出演”
小谷容疑者と今回の共謀者との関係は明らかになっていないが、なぜタレント活動をしていた彼女が詐欺に加担することになったのか……。
小谷容疑者は、女優業のほかモデルやネットのライブ配信などさまざまな活動をしていた。神木隆之介、浜辺美波出演の映画『屍人(しじん)荘の殺人』にもエキストラとして出演していたようだ。
菜々緒主演で2018年に放送されたドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日テレ系)にもエキストラとして出演。作中では、菜々緒演じる人事コンサルタントにしごかれる新入社員役を演じた(セリフはなし)。
同作の共演者によると、
「撮影現場の小谷さんは明るくて気さくな人でした。1日の撮影で、ギャラは2万円くらいでしたね」
しかしプロ意識は高くなかったようで……。
「以前、モデル撮影会に出演予定だった小谷さんが前日にドタキャンしてきた。理由も不明で、本人の謝罪もなし。結局、代役も見つからず、人数が足りないままの開催となりました」(イベント参加者)
今年になって、芸能界を志す女性向けのミスコンにも出場していた。そのとき、将来の夢について『ハリウッドでも活躍出来る表現者』と大きな目標を掲げていた。(結果は予選落ち)。
“芸能人学校”に通っていた
東京都世田谷区で生まれ育った小谷容疑者。高校は芸能コースを設置し、仲間由紀恵や新垣結衣など数々の芸能人を輩出した日出高校(現・目黒日本大学高校)の出身だった。昔から芸能活動をしていたのかと思いきや……。
「彼女は芸能コースではなく、一般の生徒が通う総合コースでした」
高校の同級生が、当時の容疑者について振り返る。
「小谷さんはおっとりしていて、人当たりのよい人でした。目立たない存在で、悪い言い方をすると印象のない子。電車が苦手だったようで、貧血や呼吸困難でよく遅刻していましたね」
当時の様子はというと、
「部活には入っていませんでした。ダンスを習っていましたが、忙しい様子はなく放課後は普通に友だちと遊んでいましたね」
芸能活動については、
「芸能界に興味を持っている様子はまったくなかった。将来の夢も特になさそうでしたね。ただ、友だちは多くて芸能コースにも知り合いがいました」
質素な雰囲気で一部の男子生徒に人気だったといい、校内に彼氏もいたようだ。タレント活動をする同級生を見て、自分にもできると思ったのだろうか。
実家の母親を尋ねると
大学を卒業後は、2018年10月から1年間、事務所に所属していた時期も。その後はフリーで活動していた。風貌にも変化があるようで、前出の同級生は、
「最近の写真を見ると垢抜けた印象で、整形したのかと思いました。高校のときと比べると清潔感もありますね」
逮捕当時、容疑者は無職の実家暮らし。1人娘だった。
実家は5年ほど前に世田谷区内にある3000万円ほどの分譲マンションを売り払い、同じ区内の閑静な高級住宅街で一軒家を借りて住んでいた。
ダンスのほかに昔からギターや乗馬なども趣味だったようで、裕福な家庭でお嬢様暮らしをしていたことがうかがえる。
そんな容疑者はなぜ、今回のような詐欺事件を起こしてしまったのか。実家の母親を尋ねると、飼い犬の鳴き声が響く室内からインターホン越しに、
「何もお答えできません……」
小谷容疑者の演技力では、女優業も犯罪も中途半端で、家族を困惑させるだけだった。