産後3か月で14kgの減量に成功した鈴木亜美さん。運動をまったくしなくてよし!4つのスパイスを料理に加えるだけの超ラクちんメソッドを大公開します!
妊娠中は体重が14キロも増えた
今年2月に第2子を出産。
「妊娠中は栄養をとらないといけませんし、食欲にまかせて自由に食べていたら、最高で14キロも体重が増えちゃいました」
と笑顔で話す鈴木亜美さん。その言葉が信じがたいほど、目の前の彼女は、昔のまま、スレンダーな体形だ。
「だいたい3か月ぐらいで元の体重に戻りましたね」
いったい、どうやって14キロもの体重を短期間で落とすことができたのか?
「無理な食事制限は身体によくないので、1日3食ちゃんと食べました。どう減量したかというと、私の場合は、食事で代謝を上げて、脂肪が燃焼しやすい身体にしたんです」
“燃焼”のキーポイントとなるのが、スパイスだ。
実は亜美さん、フードアナリスト2級の資格を持つほど“食”や栄養に関する造詣が深く、料理上手でもある。
「もともと辛いものが好きで、そこから唐辛子やターメリックといったスパイスに興味を持ち、いろいろ集めて料理に加えるようになったんです」
大好物だというカレーも、自分でスパイスを調合している。
「市販のルーだと小麦粉や動物性油脂がたっぷり入っていて、たくさん食べると太ってしまう。それに、私には甘すぎて(笑)。いろんなスパイスを混ぜて作ったほうが深い香りが楽しめ、辛さも味も自分の好みで調整できます」
『なないろカレー』をプロデュース
スパイス好きが高じて、昨年、11種類のスパイスを調合したカレーパウダー『なないろカレー』をプロデュースするに至った。これが、今年9月に大注目を集めることになる。35キロ減のダイエットに成功した、ゆりやんレトリィバァさんが、動画サイトで、減量飯として『なないろカレー』を使ったメニューを紹介したのだ。
「ゆりやんさんとはお仕事でちょっと顔を合わせたことがあるくらいで、特に交友関係はないんです。なのに、紹介してくださり、みなさんに知っていただけて、すごくうれしかったですね。感謝です」
有機スパイスなど自然の原料にこだわった自信作だ。
「小さいお子さんがいると、アレルギーが心配ですよね。だからグルテンや乳製品なども無添加のものを。
小麦粉や油脂を使わず、みその麹やおだしで粘りやうまみを出す。研究と試作を重ねて完成した商品なんです」
子どもや高齢者にも、安心して身体にいい本格的なカレーを食べてもらいたいという思いで作った『なないろカレー』が、期せずして、ダイエットにも効果があると証明されたのだ。
そもそも、なぜスパイスを使った料理が、ダイエットに効くのか、亜美さんの減量体験をもう少し詳しく聞こう。
「スパイスは、漢方の原料としても使われていますし、薬膳効果がある。
消化を促進して胃腸を整えたり、血行や新陳代謝を促したり、糖の代謝を上げたり、スパイスごとにいろんな効能があります。それを料理にうまく取り入れることで、お腹いっぱい食べても、燃焼しやすい身体を作ることができるんです」
スパイスを加えれば何を食べてもやせる、というわけではもちろんない。
「私が心がけているのは、高タンパク・低糖質の食事」
中学、高校時代は陸上・長距離の選手だった亜美さん。
あまり体脂肪をつけずに適度な筋肉を作るには、タンパク質をたくさんとって、炭水化物などの糖質を抑えることが大事だと、若いころから意識して食事をしていたという。
「だから出産後も、基本は、高タンパク低糖質のバランスのとれたメニューに、たっぷりのスパイス。それで苦労なく、元の体重に戻りました」
具体的には─。
「朝は具だくさんのスープが定番。酸辣湯(スーラータン)スープをよく作りましたね。唐辛子と、おろししょうがをたっぷり入れて。唐辛子としょうがってダイエットには最強のコンビなんです。身体はあったまるし、脂肪の分解を促してくれる。むくみもとれる。それに、お酢もエネルギーを消費するのを助けてくれるし、疲労回復効果も。具には野菜のほか、卵や豆腐などタンパク質豊富な食材をたくさん入れる。タンパク質は腹持ちがいいので、スープだけでも、昼までお腹がもちます」
タンパク質摂取も大切
夜は肉料理が多く、
「よく使ったのは、高タンパクで脂が少ない鶏のむね肉。こしょうやスパイスで味をととのえて焼いたり蒸したり、カレーに入れたり。いろんなバリエーションがあるので、毎日食べても飽きません。夜は、なるべく早い時間に食べることも心がけました。寝る前に食べると、身体が脂肪を蓄えやすくなりますから」
栄養学の知識に裏づけられた毎日の食事によって、亜美さんは、健康的にやせることができたのだ。
「私、今は運動をまったくしていません。そもそも、運動をする時間が持てないということもありますが、子どもを抱っこして家事をしたり。日常生活そのものが筋トレみたいなもの。タンパク質をたっぷりとっていれば、元気が出ますし、筋肉量は維持できる。筋肉がちゃんとついていれば燃焼しやすい身体になって太りません」
ちなみに亜美さんは、パンやごはん、パスタなどの主食は基本的にはとらないそう。
「スープやカレーに具をいっぱい入れて。肉や魚のメイン料理をたっぷり食べる。そういう食事だと、ごはんが欲しいとか思わないんです」
ごはんやパンを断つのはハードルが高いけれど、スパイスを活用したダイエットなら、今すぐ始められそうだ。
そこで亜美さんに、優れたダイエット効果があるスパイスを教えてもらった。
「まずは、さっきもお話しした、唐辛子としょうが。それと、クミン。カレーのいい香りってクミンのにおいが中心なんです。食欲が湧き、元気が出る香りです。消化を助け、胃腸の調子を整え、体内の毒素や老廃物をデトックスする効果が。
そして、シナモン。血の巡りがよくなって、冷えを改善します。この4つのスパイスが組み合わされば、身体を温め、血行や代謝をアップし、脂肪燃焼につなげてくれます」
どれも、全国のスーパーなどで簡単に手に入る。
「唐辛子は、ビンなどに入った一味唐辛子が便利。
クミンは、シードとパウダー状に粉砕したものが市販されていますが、シードだと火を通す必要があるのでパウダーのほうが気軽に使えます」
シナモンもパウダー状のものを。しょうがは生のものをすりおろしたり、みじん切りにしたりしてとる。
「しょうがは胃にやさしいのでたくさんとってもいいのですが、クミンとシナモンはとりすぎると副作用が出ることも。1日小さじ半分程度を目安にしてください」
この4つのスパイスのブレンドは、香りや味のバランスもよくて
「みそ汁やチャーハンに入れたり、サラダにかけたりしてもおいしい。いろんな料理に合う万能スパイスです。ふりかけるだけ。こんなラクなダイエット法はないです(笑)」
左の活用術を参考に、毎日の食事に取り入れてほしい。さらに自分の好みでほかのスパイスを加えて、オリジナルブレンドを楽しむのもいい。
「スパイスを入れると、香りが立ち、味に深みが出て刺激が加わる。だから塩やしょうゆをたくさんかけなくてもおいしいし、バターや油脂を入れなくても満足できるんです。結果として、塩分や余計な油を抑えられます」
何より、身体にいいダイエット法とも言える。
「女性は冷え性に悩む方が多いですが、私はスパイスを毎日とっているおかげか、常に身体があったかいんでしょうね! 手先が冷えることもないし、風邪もぜんぜんひきませんよ(笑)」
ダイエット効果があるスパイス4種活用術
やせる! スパイス4種
亜美さんおすすめの4種類。基本の分量は各小さじ半分程度。「唐辛子は好みで増減を。しょうがはたくさんとってもOK」
●しょうが
血行を促し、身体を温めるので冷え性やむくみを改善。胃腸機能を改善する効果も。生のしょうがをおろしたり、細かく刻んで使用。
●唐辛子
辛さ成分、カプサイシンの働きで血行促進、発汗、代謝アップ、脂肪を分解する効果が。ビタミン類を多く含み、抗酸化作用も。
●クミン
カレーの香りのメインはクミン。芳香が食欲をそそる一方で、消化を助ける。血中コレステロールを下げ、体内の毒素をデトックスする効果も。
●シナモン
甘く爽やかな香り成分に胃の働きを高めて消化を促進する作用が。また、身体の冷えを取り、血の巡りをよくする。抗炎症・抗酸化作用も。
スパイス4種活用術はコレ!
スパイス4種を加えれば、いつもの料理に変化が生まれ、余計な油を使わなくてもおいしさアップ! カロリーも抑えられます。
●毎朝の味噌汁にイン!
みそを投入したあと、仕上げに、スパイス4種[おろししょうが、一味唐辛子、シナモンパウダー、クミンのパウダー]を加え、軽く火を通す
●ドレッシングに!
スパイス4種と、酢、オリーブオイル(または、アマニ油、ココナッツオイルなどお好みの油)を混ぜるだけ。保存せず使い切って
●カルパッチョに!
スパイス4種に、コリアンダー、ターメリックのパウダー、オリーブオイル、レモン汁を混ぜてソースを作る。薄くスライスした生魚(刺身)にかけてできあがり
●ヘルシーなのに味しっかり!鶏ハムの作り方
(1)鶏むね肉に酒とスパイス4種をもみこんで、ジッパーつき密閉袋に入れる。
(2)鍋に水を入れて火にかけ、表面が少しふつふつしてきたら(1)を袋ごと入れて低温で中までゆっくり火を通す。
(3)取り出すと、ハムのようにやわらかく中がピンクに。スライスしてそのままいただく。
※味が薄ければブラックペッパーや、おろししょうがと酢、酢じょうゆなどを加えてアレンジを。
激辛アミーゴ誕生秘話
インスタグラムに真っ赤な激辛料理を投稿したり、バラエティー番組の超激辛チャレンジグルメで優勝したり、自他ともに認める激辛マニア。
そもそもスパイスに興味を持ったのも、10歳のときのピリ辛体験が始まりだった。
「当時、お昼に母がよくインスタントラーメンを作ってくれたのですが、具が入っていないから、飽きちゃったんです。
自分で何か加えようと思い、冷蔵庫を開けたら豆板醤があって。ラーメンに入れてみたんです。そしたら、辛みとコクが出て、格段においしくなった!
その体験から、辛いものっておいしいと知り、七味、一味、山椒、タバスコ……と、小学生ながら自分で工夫してみそ汁などに辛いスパイスを入れていました」
以来、激辛道をまっしぐら。1杯のみそ汁に一味1本、ピザ2切れにタバスコ1本。驚異のスピードで激辛スパイスを消費しているという。
「激辛を食べていると背中の肩甲骨あたりがグワッと熱くなる。そのあたりは脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞があるそうです。なので激辛料理も脂肪燃焼につながっているかも。
ただ、私は子どものころから徐々に辛いものに慣れていったので平気ですが、一般の方には激辛はおすすめしません。私の夫も辛いものが苦手。私が飲むスープの湯気のにおいでむせてしまいます(笑)」
鈴木亜美・すずきあみ
1982年生まれ。’98年に歌手デビュー。『BE TOGETHER』などのヒットを飛ばす。女優、DJとしても活躍。2016年に結婚し、2男をもうける。
取材/村瀬素子 撮影/渡邉智裕