「本当に申し訳ないです」「本当に迷惑をかけてしまって」「本当に反省しています」「本当にこればっかりは」「本当に……本当に…」
3日夜、不倫騒動で活動自粛中のお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建が、都内で会見を開いた。こんなに説得力のない「本当に」という言葉があるだろうか、と思ってしまうほど「本当に」という言葉が連発された会見だった。
しどろもどろの渡部に
マスコミもヒートアップ
「何を今さら」「もう顔も見たくない」といった批判が集中、”フルボッコ会見“で渡部が何を語るのか注目を集めたが、結局、渡部が弱々しく謝り続けると言う、なんとも中身のない会見で、後味の悪いものとなった。
そんな中、渡部本人と同じく注目を集めたのが、渡部の周りを囲み、容赦なく厳しい質問をぶつけ続けたレポーターたち。
「3月に不倫騒動で謝罪会見を開いた東出昌大さんのときと同じく、昨日の会見でも、本人の回りは女性レポーターがガッチリ固めていました。厳しい質問攻めに渡部さんは終始タジタジ。最後は汗びっしょりになっていましたね。不倫した男は女性の敵、それに年末の『ガキ使』への出演が物議を醸している真っ最中だったので、渡部さんが猛攻撃を受けることは予想していましたが……」(会見の会場にいたスポーツ新聞記者)
曖昧な解答を繰り返す渡部に対し、しびれを切らしたかのようにレポーターたちはヒートアップしていく。同じような質問を繰り返しぶつけ、渡部が「答えられません」と言っても食い下がり、まるで怒った視聴者代表と言わんばかりに「なんでですか!」「どうしてですか?」と責め続ける。そういったやりとりが悪目立ちしてしまい、これにはネットなどでも「イジメみたい」と言う同情の声が上がる結果となった。
さらに、とある男性レポーターが、途中で放った「我々も“ガキの使い”で来てるんじゃないので」という一言。そのとき、周りにいた報道陣からは笑いが上がった(一方で、これに引いてる記者もいたという)。そのレポーターの“言うたった感”、乾いた空気に響く、嘲笑うかのようなイヤな笑い声。そして微妙な表情で弱々しく答える渡部……。
「そのやりとりは、見ていた多くの人が不快に感じていたようで、昨夜は『記者の質問』というワードがトレンドに上がっていました。そこには記者の質問のレベルが低すぎるとか、偉そうとか、女性記者の“私たちは女性の味方です”という歪んだ正義感が気持ち悪いとか、辛辣な意見がズラリと並んでましたね。メンタリストDaiGoさんは、会見後すぐに“今世紀稀に見る胸糞会見だった”と怒りの動画をYouTubeにアップしていました。(動画タイトルは『渡部さんの会見で胸糞質問したサイコパス記者の正体を暴きます』)
質問する側とされる側のバランスが全然とれてなかったんだと思います。うまく行けば、レポーターの質問も渡部さんを救うことになったかもしれない。実際、助け舟を出そうという気持ちで臨んだレポーターの方もいたと思います。
ただ、今朝の『グッとラック!』でロンドンブーツの田村淳さんもおっしゃってましたが、渡部さんはレポーターたちをうまく味方につけられなかった。結果、本人と報道陣も共倒れしてしまい、視聴者に最悪な印象を残してしまった。それにこのコロナの第3波真っ只中ですから。あの“密”具合に疑問を感じる視聴者も多かったようです」(前出・スポーツ新聞記者)
加藤浩次、坂上忍も苦言
その後も「答えてほしい」記者と、「答えられない」渡部の平行線は続き、もはや渡部が誰に謝っているのか、何のための会見なのか、イマイチよくわからないまま、100分にも及ぶ「謝罪会見」は幕を閉じた。
4日に放送された、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)でMCの加藤浩次は、渡部の悪い部分はきちんと悪いと伝えた上で、会見の様子についてこう答えた。
「心無い質問というか、俺がイラッとしたのは、ちょっと渡部を小馬鹿にするような感じがあったのね。質問とか。それって絶対だめだと思う。そこって何なんだよと。なんでマウンティングしちゃってんの。気持ち悪くないか?」
また、同日放送の『バイキングMORE』(フジテレビ系)でも坂上忍が、会見での一部報道陣の発言に対し、
「渡部君を嘲笑するようなやり方は、あってはならない」
と苦言を呈した。
この一連の流れについて、昨晩、最初から最後まで会見を見ていたというコラムニスト・吉田潮さんは、こう話す。
「渡部さんはお笑い芸人であり、ツッコまれちゃう人なんでしょうね。不倫っていう格好のネタですし。これがもし大御所の俳優さんとかだったら、マスコミもこういう感じには聞かなかったのかなとも思います。
私は渡部さんがやったことに対して女性たちが怒るのもごもっとも、っと思っているので昨日の女性レポーターたちに対して嫌だなとは思いませんでしたけど、後半に男性レポーターが入ってきて“我々もガキの使いで来てるんじゃない〜”とか言って大喜利みたいになってたのはちょっと……。面白くもないし、締まりのない会見だったので、その場にいた男性記者がなんとかしなきゃって思ったのかもしれないですけど、見ていて気持ちのいいものではなかったですね」
また、昨日の会見が“失敗”に終わった要因について、こう言葉を続ける。
「こういうの(謝罪会見)って順番が決まってたり、台本みたいなものがあると思うんですけど、昨日はABEMAとかネット配信だったから時間制限がなかったのかな。1時間40分もやってたから、収拾がつかなくなっちゃったのかもしれないですね。時間を持て余して、最初の方に聞いた質問を後半にも繰り返し聞くみたいな感じになってましたから。仕切りの悪さみたいなのも影響していたんだと思います」
渡部は妻・佐々木希や、家族、関係者には謝罪しているという。それならもう終わりでよくないか、という声もある。今回の会見は、渡部にとってもマスコミにとっても、ただただマイナスになってしまった。そして怒りの矛先は、本人から報道陣に向けられるという悪循環。いったい、そこには何の意味があったのだろうーー。
謝罪する側はもちろん、「記者の質問」の質が問われる昨今、我々マスコミ側にも課題を残した謝罪会見になったのではないだろうか。