伊勢谷友介

「お酒は翌日に影響がある。俳優という身体を維持する職業でもあるから、身体に影響の少ない大麻を選択していた」

 12月1日に開かれた初公判でそう語ったのは、大麻取締法違反で9月に逮捕・起訴された伊勢谷友介被告。

 大麻を始めた年齢については「26、27歳ごろ、オランダのアムステルダムで初めて使った」と供述していた。

「オランダは医療大麻の先進国で、お忍びで訪れる芸能人もいます。初公判で伊勢谷さんも“医療目的・嗜好品として認める国も多く、税収もある”など、典型的な大麻肯定論者のセリフを口にしました」(スポーツ紙記者)

 驚きだったのは、大麻を譲り受けたという知人が誰なのか問われたときだった。大麻に関する裁判では、被告は身に及ぶ危険を理由にルートを秘匿することが多い。それに対して彼は「2度としない」と語りつつ、入手先となった知人を気遣う姿勢を見せた。

「(入手先は)言えません。使用するのは私の勝手で、これは誰かを傷つける犯罪ではない。その人を社会にさらす必要はないと考えます」

 場合によっては裁判官の心証が悪くなることも考えられる。なぜ彼はそのようなリスクを冒してまで知人を擁護したのだろうか。『弁護士法人・響』の西川研一代表弁護士に話を聞いた。

“ルート秘匿”は再犯が懸念される

“誰かを傷つける犯罪じゃない”という発言は、弁護側としては非常に困るものです。被告が関係各所に多大な迷惑をかけていることは事実であり、本人もそのことに関して謝罪を述べています。間接的とはいえ、一定の“被害者”ともいえる方々が存在することを認識しているはずですし、そのうえでのこの発言は、主張のちぐはぐさを感じざるをえません」(西川弁護士)

 ルートの秘匿については、

「伏せたことは、当然ながら再犯の懸念につながります。本当に大麻の違法性を感じていて、身に危険が及ぶことがないのなら、ルートに関しても供述すべきです。自らの意思で情報を伏せてしまっては、反省の気持ちを疑われてもしかたがないといえます」(西川弁護士、以下同)

 彼と弁護人の関係性にも、疑問が残る。

「今回の供述に至った経緯はわかりませんが、弁護側と被告の打ち合わせが十分だったのか、そのうえで被告が自身の主張を展開したのか、そのあたりは気になるところ。打ち合わせ不足も考えられます」

 リスクをはらんだこの発言は、弁護側も予定していなかった“暴走”といえるかもしれない。

 伊勢谷の量刑はどうなるか。

所持していた大麻が微量とはいえず、常習性も疑われる点、反省への疑いや再犯の懸念、これらはマイナスにはたらくでしょう。一方、被告の社会貢献活動には認めるべき価値があり、社会的制裁を受けていることと合わせて情状酌量の余地はあります。懲役1年・執行猶予3年といった判決に落ち着くかと思います」

 判決は12月22日に言い渡される予定となっているが、はたして……。