「加藤紗里×加納典明・アートヌード『加藤紗里写真集』出版会見」での加藤紗里

 加藤紗里(30)の炎上商法がまたまた炸裂した。飲食店で夢屋まさるのギャグ「パンケーキ食べたい♪」を歌いながら、そのパンケーキを手で叩き潰す、という動画をインスタグラムに投稿。これがひんしゅくを買うとともに、ネットニュースにもなったのだ。

炎上クイーン・加藤紗里

 本人は「まんまと(釣れたな)という感じですね」と、ご満悦。こんな調子で5年近くやってきたわけで、もはやひとつの芸と呼ぶべきかもしれない。

 もっとも彼女、登場時は「狩野英孝の彼女のひとり」でしかなかった。あの六股疑惑騒動で派手な見た目と、なんでもあり的な言動が面白がられたものの、騒動はやがて飽きられ、狩野は活動休止を経て地味に復活。いわば、普通の芸人に戻った感じだ。

 しかし、加藤はそこからお騒がせスター、いや、モンスターとなった。その決め手はズバリ、発言とスキャンダルの一致だ。普通の芸能人はこれが必ずしも一致せず、何かと言い訳しながら真逆のやらかしを行うわけだが、彼女は違う。例えば、こんな恋愛観を明かしたことがある。

お金持ちが好きなわけではない。紗里にお金を使ってくれる人が好き

 そして、不動産会社経営者と結婚したが、3か月でスピード離婚。その理由は、

1億円以上使わせたら、向こうの会社の経営が傾いた

 というものだった。「お金を使って」くれないなら「好き」ではなくなるのだ。

 それでも、すぐに新恋人の存在を告白。また、結婚前にも当時の彼氏の援助でタワーマンション暮らしをしたり、月100万円の小遣いをもらったり、贅沢三昧だった。しかも、彼女のスポンサーはそういう男たちだけではない。

 今回のパンケーキ騒動にしても、発端は彼女の宣伝力を期待した店側のオファーだという。つまり、あの炎上キャラに便乗したり、それを面白がる野次馬たちがスポンサーなのだ。いわば、世間をパトロンにして贅沢をする女なのである

加藤紗里、わが道を行く

 それに、彼女はどれだけ批判されてもめげない。インスタの自己紹介では《紗里のことディスるのは構わないけど調教出来るとは思わないで欲しい》と豪語。また「反省だけならサルでもできるけどサリにはできない」とか「まぁ紗里って『存在自体が不謹慎』だからさ、そう言われると逆に、もうなんでもできるってことに気づいた」という発言もしてきた。

 こちらが怒って叩けば叩くほど、それをエネルギーにして巨大化するという、まさに怪物たるゆえんだ。

 ちなみに、活躍の場はもっぱらネット。ただ、雨上がり宮迫やTKO木下のようなテレビに戻りたくてしかたない芸人の哀れさはない。かといって、フワちゃんのように、芸人として芽が出ずユーチューバーとして世に出たあと、嬉々としてテレビに飼い慣らされているまぬけさもない。加藤は自分のことを今のテレビが持て余すことなど承知のうえで、ネットという無法地帯(?)で暴れまくる、新種のモンスターなのだ

 パンケーキ騒動についても「誕生日に顔面ケーキとかしないの?」と反論したが、普通はそんなことはしないだろう。また「パイ投げとかドリフでやってたでしょって感じです」とも言うが、最近はテレビでもそういうコントは絶滅寸前だ。

 でも、普通の人間がしないことをやるからこそのモンスターである。これを退治するのは、容易ではない。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。