母親たちの浮気をテーマにした柴門ふみ原作のドラマ『恋する母たち』(TBS系)が人気を博している。ドラマの影響からか“婚外恋愛”に憧れる女性の声も聞こえる。
かつて探偵たちの調査対象は、圧倒的に夫、つまり男性が多かった。しかし、現在その割合はほぼ同数となっている。このことから現在は“不倫をする女性が爆発的に増えた”状況だといえる。ちなみに妻側の不倫が注目されるきっかけは、社会現象にもなったドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』(フジテレビ系)だったといわれている。
女性の不倫が増えたいちばんの原因は、女性が外に出て働くようになったことだ。当然、外に出れば男女の出会いも増え、恋愛が発生する可能性も高まる。また、そのほかの出会いも、昔に比べると多種多様になった。
男女の出会いを目的としたマッチングアプリで日替わりのセックスパートナーを探す人もいれば、SNSや趣味の教室などで気の合う相手と出会う人もいる。また、SNSで初恋の人にメッセージを送ることだってたやすくできるのだ。
さて、コロナ禍の現在、妻たちの不倫動静はどうなっているのか。外出自粛が叫ばれるなか、そうそう浮気もできないだろうと思えるが、実はそうではないらしい。
“コロナ不倫”が増加中!
探偵探し専門サイト『探偵さがしのタントくん』の相談員・中村さんによると、不倫調査の依頼者数は横ばいから増加傾向にあるという。
「4~5月に実施された緊急事態宣言時には一時的に不倫調査の相談件数は減りました。しかし、その後は急速に増え、現在は例年より増加している状況です」
なんとコロナ禍に、ますます不倫が増えている!
その理由は、一体?
「コロナ禍で生活スタイルが変わり、そこから新たな出会いがあったケースが多く見られます。これは例年4~5月の年度はじめに新たな出会いが増え、不倫の発生件数が増えるのと似ていますね」(中村さん、以下同)
たしかに、コロナで部署異動したり、転職した人はたくさんいるだろう。新しい職場では、新しい恋が芽生えがちだ。“部署異動をしてから妻の帰りが遅い”“パート先を変えてから、なんだか妻が派手になった”という相談もあったという。
「“コロナ第三波”で不倫はさらに増える」
「もうひとつは、前々からしていた不倫が発覚するケースです。緊急事態宣言や外出自粛要請で、不倫相手に会いづらくなった。そこに“でも、会えないからこそ、会いたい”というバイアスがかかってしまうようです」
コロナによって多くの夫がリモートワークになり、ふだんの妻の様子に目が届くようになった、という理由もありそうだ。また、
「最初こそ夫に気を遣っていても、だんだんと大胆な行動をとりだす妻がコロナ以降、多く見受けられます。
会いたい気持ちを制御できないばかりか、ますます行動に拍車がかかってしまうようです。“近所に買い物に行ってくる”と言って3~4時間帰ってこなかったり、“友達の家に遊びに行く”“実家に泊まる”と不自然に家を空ける妻も」
コロナで暴走した不貞行為が、意外なところから発覚することも。
「子どもの証言から発覚するケースがあります。不倫相手に会いに行くために子どもを誰かに預けるのはコロナ禍ではなかなか難しい。驚きますが、そこで子連れで浮気相手に会いに行ってしまう人も少なくないのです」
そして後日、“知らないお兄さん(浮気相手)に遊んでもらったんだよ”などと子どもから夫に伝わり発覚する。可愛いわが子を内通者のようにしてしまうとは!
また幼い子ではなく、成人した子が関わる場合も。
「これは不倫妻でなく夫、つまり父親の浮気を娘が見つけて相談にくるケースもあります。そんなとき娘はたいてい母親の味方になって“取れるもの取って、早く別れたほうがいいよ”などと母親を説得することが多いですね」
妻から離婚を切り出す場合、子どもが成人したタイミングや、住宅ローンを払い終わったタイミングであることが多く、これらは定年離婚、熟年離婚と呼ばれる。団塊世代が大量定年になった時代に話題になり、熟年離婚はドラマや流行語にもなった。だが不倫妻が増えている今、逆に“夫が妻に三下り半を突きつける”ケースが増えるのかも?
「年末年始にはクリスマス、お正月など男女が盛り上がるイベントが多い。社会情勢が不安定なときほど不倫相手とのつながりを求める傾向があるので、コロナ第3波の影響も考えると、これからの時期はますます不倫が増加するのではないかと睨んでいます」
妻たちの不倫はコロナ禍の中でいっそう盛んに繰り広げられているようだ。
ということは、コロナ不況が本格化しはじめている今も探偵業は活況なのか?
「たしかに不倫調査の依頼者数は男女とも増えているのですが、コロナによって探偵が強いられている困難もいくつかあります。まず、ほとんどの人がマスクをつけるようになって、調査対象者の顔を見分けるのが困難になりました」
と答えてくれたのは、総合探偵社『AMUSE』の榊原さんだ。オフィスビルから大勢が同時に出てくるような場面で、調査対象を目元だけで見分け、後をつけるというのはたしかに難しそうだ。
「また尾行中だと、商業施設やホテルの入り口で“体温を計測します”“手を消毒してください”などと、スタッフが話しかけてくることが増えました。これは非常にやりづらい。特にビデオカメラを構えているときは非常に困りますね」(榊原さん)
なるほど、探偵には探偵の苦労があるようだ。
さて、ここからは、榊原さんに聞いた“ガチの妻たちの不倫現場”の話を紹介していきたいと思う。
ケース(1)『レンタルルームの恋』
結婚9年目、8歳と3歳の子を持つ41歳の妻の仕事は、マッサージサロン経営だった。コロナ以降、妻は夫に、
「コロナの影響で客足が落ちてしまって大変なの」
と漏らしていたが、仕事は順調そうに見えた。なぜなら妻は仕事で家を空けることが多かったから。だが実は、妻はベッドつきのレンタルルームで男と密会していた。
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そんな説明書きのあるレンタルルームをラブホテルがわりに、不貞行為を繰り返していたのだ。行為の場所がホテルでなかったのは“ママ会で利用した”などと言い訳がしやすいと踏んだのだろう。
探偵が尾行したところ、サラリーマン風の男とともに雑居ビルの中のレンタルルームに入り、数時間後に一緒に出てきたという。
「依頼者は浮気をしている証拠として、妻がSNSで男とやりとりしているスマホ画面を撮影してきた。だから尾行は楽でしたが、探偵としてはそこまではしてほしくないというのが本音です。調査が奥さんにバレる可能性が高くなりますからね」(榊原さん・以下同)
しかも、この男性の場合、資金不足の理由で1回だけの調査で終わってしまった。そもそも不貞行為は肉体関係があることが条件になる。お茶をしただけでは不貞とみなされない。とはいえ、セックスの現場を直接おさえられるケースはまれだ。
そのため、“肉体関係があってもおかしくない状況に複数回なった”という証明が必要になる。このケースの場合、不貞行為と認められるかどうかは微妙なところだという。妻の不倫を証明するのにもやっぱり、お金がかかるのだ。
ケース(2)『偽りの家族ごっこ』
依頼者は海外赴任をしていた男性。コロナが流行したため、日本に帰国することになった。妻と5歳の息子が待つ自宅に帰ると突然、
「あなたとは一緒に住めない。出ていってください」
と、妻が夫を追い出した。夫はひとまず実家に帰ることにしたが、もちろん、そんな妻の行動を不審に思わないわけがない。後日、苦労しつつも妻の手帳を盗み見ると、妻が実家に帰ると言っていた週末に男性と旅行していたことが判明。また手帳の最終ページには東京ディズニーランドでもらえるバースデーシールが貼ってあり、そこには男性の名前が記されていた。
「とどめを刺したのは、子どもからの報告でした。妻はなんと浮気相手を家に上げた。そして子どもとお風呂に入ったそうです」(依頼者男性)
子どもは父親に“一緒にお風呂に入ってくれた優しいおにいさん”がいたこと、その名前などを伝えたという。
自分が海外でせっせと働いている間に、妻がわが家に男を引き入れて“家族ごっこ”をしていたと知り、冷静でいられる男はいないだろう。
妻は離婚をしたがっていたが、不倫をした側、つまり離婚事由がある側からの申し立てでの離婚はできない。夫は離婚せず、妻の浮気相手から慰謝料を取りたい考えだ。もし離婚に踏み切った場合、夫が子の親権をとることはできるのだろうか?
「男性は親権をとりづらい。ほぼ女性が親権をとるのが現状で不倫をしたかどうかはあまり関係ありません」
ただし、妻が子を虐待したり、放置していた場合は話は別。
夫が親権をとりたい場合は、まず妻が不倫の際に子どもを放置したか探るそうだ。
このケースの場合、コロナがきっかけで不倫が判明したのは確か。だが、コロナがなくても、いずれは破局していたような状況だ。早く決着がついただけ、むしろよかったのかもしれない。
「さまざまな依頼を調査させていただいた感想で言いますと、海外赴任をしている夫の妻は、ほぼほぼ全員が不倫をしているんじゃないかとさえ思ってしまいますね(苦笑)」
さすがに、そんなことはないだろうが、われわれの想像よりは多くの人が不倫をしているのかもしれない。
ケース(3)『パパ友に妻を寝取られた』
依頼者は29歳の男性。20代ながら小学生、幼稚園児の3児の父親だ。住んだ土地柄のせいか年配のパパが多く、話し相手がなかなかできなかったのだが、やっと同じく3児の父親である33歳の男性に出会えた。
PTAで意気投合し、すぐにパパ友になった。その男性は妻とすでに離婚しており、シングルファーザーとして暮らしていた。家族ぐるみの付き合いが始まり、バーベキューや誕生会などもしていたのだが、依頼者の妻はいつしか、そのパパ友の自宅にひとりでも通うようになり、合鍵さえ持ち始めた。
依頼者ももちろん、黙って2人のあやしい行動を見ていたわけではない。2人に“不倫してるんじゃないのか?”と問い詰めたこともあった。妻は否定したが、パパ友は、
“俺らを疑ってるんだろ? まあ、お前が浮気だと思うんなら、そうじゃないの?”
と、肯定ともとれる返答をしたという。
「依頼者はパパ友と妻に裏切られたと感じて、精神的にボロボロに。相談中にもこらえきれずに嗚咽をもらしていました」
結局、その妻は今でもパパ友の家に通っている。
「不倫は“肉体関係があってもおかしくない状況が、複数回あった場合に不貞行為とみなされる”というのが原則。ただ自宅だと証明するのは少し難しくなりますね」
自宅での逢瀬(?)を裁判所に認められなければ、夫は泣き寝入りになってしまう。パパ友との友情をむやみに信じて、痛い目にあってしまった切ないケースだった。
ケース(4)『医療関係の夫が帰れぬ隙に荒野行動不倫』
依頼主は四国在住の医療関係者。妻は42歳の専業主婦。結婚20年で、高校3年生と2年生、小学5年生の3人の子持ちだ。
世間ではコロナ禍で、在宅ワークが増えたが、医療関係者は逆に、なかなか自宅には帰れない日々が続いていた。
ヒマを持て余した妻は、携帯ゲーム『荒野行動』にハマっていった。これはオンラインでチームを作り戦うバトルゲームで、手越祐也ら芸能人もハマった人気ゲームだ。チームで生き残りをかけて戦うため仲間意識が高まり、オフ会を開く面々も多いという。
妻はそのゲームを通じて知り合った男性と不貞関係になった。東北在住の相手男性は、わざわざ四国まで来て、妻と肉体関係をもったという。
「不貞の証拠もとれ、代理人を通して話し合いをしました。相手も不倫を認めて妻と1度は別れました」
しかし、別れた直後に妻は子ども3人を置いて家出。おそらく、不倫相手と東北にいる可能性が高いと見られ、現在2人の関係が継続しているかどうかを調査中だという。
高校生の母親ともなれば、もう落ち着きも出たかと思うのだが、荒野行動によって荒ぶる本能が目覚めてしまったのだろうか? ちなみに夫は、この騒動で心を病み、心療内科に通院中だという。
子どもや夫を地獄に叩き落としても、自分の愛を優先させたい妻たち。あなたは共感できるだろうか?
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最後に、不倫に憧れる、もしくは不倫中の読者のために、探偵直伝“バレない秘訣”を教わった。もし不倫をしたとしても、墓場までもっていけるならば家庭は平和なのだ。
「まずは手書きの手帳は絶対にやめるべき」
令和になっても手帳をつけている女性は少なくない。しかも不倫をした日にハートマークを書いたり、会う男性のイニシャルを書いたりする人もいる。バレたいのか、ジェームス三木か? と思えるような行動だ。令和の不倫スケジュールはスマホで管理したほうがよいと思うが、しかし、それでも油断は禁物。
「原則として、夫にはスマホも覗かれていると思ったほうがいいですね。携帯のパスワードなどは一緒に生活していたら、たやすくバレてしまう。定期的に変えましょう」
たしかに、目の前でうっかり無防備にスマホのロックを開ける女性は多い。
「女性は機械類に弱い人、無頓着な人が多いからそこからバレる人もいます。例えば、自動車に乗っている人は、ドライブレコーダーを作動しっぱなしで移動して足がつくことがあります」
ドライブレコーダーにはどこに向かっているかバッチリ映っているし、なんと手を振りながら近づいてくる浮気相手が映っていたケースも。また車のナビも、帰宅後に履歴を消しておくべき。
「“電車を使って移動していればバレない”と思っている人もいるかもしれませんが、Suicaなどの交通系ICカードは、100件まで履歴が出ます。チェックされたらどこに行ったのか筒抜け。それをわかっている人は切符を買って電車移動しています」
ほかにもデートスポットや観光地でのレシートや、喫茶店の「2名 コーヒー×2」などと書かれたレシートから疑われる場合もあるという。
不倫がバレないようにするにはかなり慎重に行動しなければならないのだ。こんな面倒くさいことをしてまで会う価値が不倫相手の男性にあるのかどうか、もう1度考えたほうがいいかもしれない。
《取材協力》
■総合探偵社AMUSE(アムス)…東京都新宿区新宿2−15−26 第三玉屋ビル9階(全国に支店あり)
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(取材・文/村田らむ)