「結婚することを認めるということです」
11月30日のお誕生日会見で長女・眞子さまと小室圭さんとの結婚問題についてこう述べられた秋篠宮さま。
結婚を“多くの人が納得し喜んでくれている状況でない”現状を作り出しているのは2017年に小室さんの母、佳代さんの『400万円借金トラブル』が報じられたからにほかならない。が、この秋篠宮さまのご発言以降、また次々と新たな報道が洪水のごとく押し寄せてきた。
借金トラブルの当事者・Aさんが、自分が結婚の障害になっているのでは憂い、「いっさい返金は求めない」と独占告白したかと思えば、小室家の新たな疑惑(国立音大付属小の奨学金踏み倒し&ほかにもあった借金900万円など)が噴出。いろいろと駆け足で展開されすぎて、単純にストーリーを追うことさえ難しくなってきている。ただただ記事に添えられた“小室圭さんにかかった教育費の表”を眺めて「合計約4700万円……」と放心するばかりである。
眞子さまは結婚について、《生きていくために必要な選択です》とのお言葉を述べられているが、当の小室さんは2017年に報じられたこの借金トラブルに関して2019年1月に「解決済み」といった『小室文書』を出して以降、さまざまな疑惑について沈黙を貫いている。これについては先日、宮内庁長官が名指しで「説明責任を果たすべき」と苦言を呈するまでになった。
借金問題が表沙汰になってから3年間、小室さんにまつわる報道はほぼ「金」にまつわる話だったといってもいい。
彼が “海の王子”だったことを覚えている人は、どれくらいいるだろうか。婚約会見での「好きな言葉は『Let it be』でしょうか」は忘れられていないか。当時、本屋でレシピ本『月たった2万円のふたりごはん』を買っているところを写真つきで報じられ同書がバカ売れしたが、このとき便乗して買った人たちは今も結婚を祝福できているのか──。
「借金トラブル」やら「奨学金踏み倒し」やら「皇室からの一時金をアテに」といったマネーワードたちが我々の記憶をあっという間に塗り替えた。ここでは、長らく沈黙を貫く小室圭さんの“金以外の側面”を振り返ってみたいと思う。
「お茶」と「テキーラ」
2012年にICU(国際基督教大学)の留学説明会で眞子さま出会い、まもなく交際に発展。翌年には学生ながらすでにプロポーズをしていたという大胆さと疾走感を併せ持っていた小室さん。
交際をスタートさせてまもなくの同年9月、眞子さまは交換留学生として英国のエディンバラ大学で10ヶ月ほど海外で学ばれていたのだが、帰国後は後輩に向け、『留学体験者アンケート』を記されていた。ICUの資料室に保存されているというその用紙には、現地での寮生活について、丁寧な筆致でこう綴られていたという。
《どちらかと言えば派手でお金がある新入生が多かったようで、毎晩のようにクラブに出かけて部屋や共有スペースでパーティーをしているような人が多かった。私は盛り上がって楽しむのも好きだが、基本的にゆっくりお茶を飲みながらおしゃべりをするほうが好きだったので、そこからして合わなかった》(『女性自身』2013年10月29日号)
そして、《合わないと思った人と無理して会話するのをやめた》という記述から推測できるのは、「小室さんは“ゆっくりお茶を飲みながら喋る人”である」という人物像だ。
しかし、小室さんは、眞子さまと出会う直前の2011年12月に撮られたとされる“六本木のクラブで女性の肩に手を回し裏ピースをしながら舌出し(指にはゴツいリング)”写真がスクープされている(『週刊文春』2018年11月15日号)。まさにクラブでパーティーな絵図。写真をみるに隣にいた女性も派手めだし、小室さんがとっていたポーズは欧米では“発情していると勘違いされる”ものらしい。お茶よりテキーラを欲していそうだ。
もちろん、クラブでチャラさ全開だったのが翌年から急に真面目になるというのも大学生あるあるだし、けっして不自然なことではない。どちらも本当の姿なのかもしれない。しかし、数少ない小室さんの人柄についての証言をたどってわかったのは、“状況によって人となりがかなり変わる”ことだ。
それが、その時その場所によってキャラクターを適応させているのではないかというくらいの変貌ぶりなのである。
「コムロック」と「ヒムロック」
たとえばICU在学中の一時期、“バンカラ気質”のあることで知られる男子寮で生活を送っていたときの一幕。元寮生の証言によると、小室さんは入寮に際した自己紹介でここに住む理由について、《男を上げたい》と宣言し、《コムロックと呼んでください》と言ったのだという(『週刊文春』2017年6月1日号)。
幼いころからバイオリンを習い、何かにつけて“母を守る”と口にしてきたとされる彼から突如として発せられる「男を上げたい」という体育会系ノリ。そして「コムロックと呼んでください」。複数の報道やテレビで同級生が語っていたところによると、彼のニックネームは以前から『KK(ケイケイ)』だったとされているのだが……。
本来、ニックネームは人からつけられるもので、自分で名乗るのはあまり普通でない。仮に呼び名を自ら決めるとしても、「友達に『KK』と呼ばれていたのでそう呼んでください」あたりがまだ理解できる範疇ではなかろうか。つまり、唐突に自ら名付けたコムロックはこれまでの彼とはなんの脈絡もないものだということがわかる。
もしかすると、地元の群馬・高崎で喧嘩に明け暮れ“帝王”と呼ばれていたとの噂もある「ヒムロック」こと氷室京介にインスパイアを受けたのかもしれない。強そうなニックネームで男子寮のバンカラなノリに自らのキャラを当てはめにいったということか。その後の寮生活についての証言はないが、ほかの報道をみても小室さんの男気的なものは、この入寮時における自己紹介でしか見つけることができなかった。
他にはこんなエピソードも。
小室さんは大学卒業、『三菱東京UFJ銀行』に入行し、2年弱勤務している。入社してすぐに、これまた違った一面をみせていた。元同僚がこう証言している。
《小室さんは他人と交流しない人で、例えば、トイレや廊下であっても挨拶をせず、私と視線を合わせないようにしているようでした》
また、部長を含めた社員10名ほどとランチをしたときは、
《みんなで和気あいあいと話をしている中で、小室さんは話題に入らず、黙々と食事に集中していました。彼の家族や彼女、大学時代の話など全く聞いたことがなかったので、プライベートの情報をよほど言いたくなかったのでしょうね》(『週刊女性』2017年11月14日号)
今度は無口キャラである。このときすでに眞子さまにプロポーズ済みでありながら、まだ世間には知られておらず、“他言無用”な状況ではあった。しかし、ここまで他人との交流を絶つのも逆に怪しいのでは? というくらいのディスコミュニケーションでミステリアスな新キャラクターを憑(ひょう)依させるのは果たして得策だろうか。
恋バナは苦手、くらいにしておけばいいものを、「目も合わせない」「喋らない」の域まで徹底してしまったことで、いざ婚約が表沙汰になったときにこのような記事がでてしまった。
「スシロー」と「龍天門」
そう考えると「コムロック」といい「ミステリアス」といい、小室さんは状況に応じて擬態するカメレオン俳優的な側面を持ちつつ、そのキャラ設定はかなり極端だということがいえるのではないか。器用なんだか不器用なんだかよくわからない。
こうして並べてみるとどれが本当の小室さんかわからなくなるが、あれほど国民から叩かれても貫いている眞子さまへの愛情についてはどうなのだろうか。
学生時代から続く眞子さまとのデートは5年間、毎回小室さん持ちだったそうだが、眞子さまはその懐事情を常に気になさっていたという。ふたりのお気に入りの店は『スシロー』で、2人で3000円ほどの会計だったというほっこりエピソードもあった(『FLASH』2017年7月11日号)。
デート着もユニクロで、大学の学食では激安カレーを選ばれる庶民感覚の強い眞子さまと小室さんはとても相性がいいのかもしれない。
──しかし、新たな借金問題を報じた『週刊文春』(2020年12月17日号)に掲載された小室さんの母・佳代さんがAさんに宛てたメールのなかには、サラッとこんな“お願い”が。
《今年は圭の大好きなウェスティンHの『龍天門』でお祝いDinnerしたく》
「圭の大好きな」この店のホームページを確認すると、ディナーのコースはひとり1万円〜3万円と明記されている。そしてこの送信メールは2010年、ちょうど小室さんが大学に入学したときのもの。
バイト代で眞子さまに『スシロー』をご馳走するかたわら、人の金で『龍天門』に舌鼓を打つ。何が悪いというわけではないのだが、この“ねじれ”が小室さんを象徴しているような気もする。
ところで最も怖い想像が、『スシロー』や『月たった2万円のふたりごはん』も眞子さまに合わせて擬態したキャラだったとしたら……である。本屋まで追ってきたカメラマンに“わざと撮らせていた”のだとしたら。
──それはないか。結局、お金の話になってしまった。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉