栃木県那須町の別荘地にある山林から、切断された女性の遺体が見つかった。別荘を所有していたのは、容疑者の親族で──。
今年9月、豊島区の会社員・富塚(とみづか)沙織さん(享年35)の遺体を山林に遺棄したとして、保育士の佐藤喜人(よしと)容疑者(29)が12月6日に逮捕された。
殺害後、小学生女子にわいせつ行為も
「殺害現場となった富塚さんの自宅アパートから600メートルほど離れた場所に容疑者は住んでいた。2人に面識はなかった」(テレビ局記者)
現場付近の防犯カメラでは、殺害直後も顔色ひとつ変えない容疑者の姿が確認されている。
「容疑者は富塚さんを殺害した後も、勤務する保育園で働いていた。遺体を運んだ翌日には、友人の結婚式に出席していたことも一部で報道されている。さらに11月には、新宿区内の小学生女子にわいせつ行為をしていた」(前出・記者)
マッチングアプリに登録し、逮捕直前まで女性を物色していた痕跡も残っている。
取り調べで容疑者は「金銭目的」と供述していたが、富塚さんの遺体が全裸で遺棄されていたことからも、性犯罪目的だったことが疑われる。
「富塚さんはいつも笑顔で明るい子。ファッション好きで、よく可愛らしい洋服を着ていましたね」(友人)
そんな富塚さんを殺めた容疑者はどんな人物なのか。
「60歳くらいの母親とふたり暮らしでしたね。入居のときに菓子折りを持って挨拶にきてくれた」(近隣住民)
佐藤容疑者の出身は埼玉県。幼いころから父親がおらず、ひとり親家庭で育ったようだ。小学校時代の同級生が少年時代を回想する。
「佐藤くんは暗くて静か。でも慣れてくると、ボソボソと冗談を言うんです」
家庭は裕福ではなく、母親の仕事も忙しいため、容疑者はあまり母の愛情に触れる時間がなかったようだ。そのせいか、マザコンの気があったようで……。
母親の実家は資産家だが、住まいは安アパート
昨年まで働いていた埼玉県内の介護施設のHPには、〈母親が保育士をしていたことで、福祉に関心を持った〉と綴っていた。
また容疑者は若くして離婚歴があり、その後も母親とふたり暮らしで、家事を任せきっていたことからも、母に甘えていたことがうかがえる。
母親の実家は、いくつも会社を経営する資産家。遺体遺棄現場となった那須の別荘など不動産も複数所有している。
一方、容疑者と母親が暮らしていたのは築50年の安アパート。実家からの援助はなかったのだろうか。
母親の実家で容疑者の離婚歴など家庭事情を尋ねると、
「(深い付き合いのない)親類だから詳しくは知りませんね。いつ結婚したのかも記憶にありませんねぇ」
と親族間の“断絶”をうかがわせた。
嫌がらせのように親族の別荘地で遺体を遺棄したことからも、容疑者がよい感情を抱いていなかったことがわかる。
これらの心情について新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(犯罪心理学)は、
「親の実家が裕福なのに家が貧しい状況を容疑者は受け入れられないのでしょう。お金があれば、母親の愛情をもっとたくさん注いでもらえたのにと、実家に対してコンプレックスを抱いたのでは」
と分析する。
無残な殺人現場の舞台裏に、屈折した親族関係が浮かび上がった。