眞子さま(宮内庁提供)

 秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さんの結婚問題がいまだに世間を騒がせている。小室さんの母親の金銭トラブルが発覚して以降、ふたりの行く末に暗雲が立ち込めてきたかと思えば、11月30日の秋篠宮さまによる「結婚を認める」とのご発言。そして、それをきっかけに立て続けに報じられた小室母子の“新たな金銭トラブル”疑惑。

 宮内庁に抗議が殺到したという報道もあれば、小室さんの母親の元婚約者が「今後一切、借金の返済は求めない」と語ったという記事が週刊誌に載るなど周辺は騒がしい。

 それにしても、交際が発覚してからふたりはずっとマスコミに追われ続けている。借金トラブルが解決しないことが最大の理由だが、そこには“皇室と報道の歴史”も関係していると思われる。

視聴率20%超えの“皇室番組”

 もともと“皇室ネタ”は鉄板だった。特に天皇家の直系である内廷皇族(現在だと天皇皇后両陛下および愛子内親王殿下ならびに上皇皇后両陛下にあたる)は注目の的。この話題は女性週刊誌のお家芸だったが、以前は報道も明るい話題ばかりで、あまりネガティブなものが報じられることはなかった。

「皇室の話は非常にセンシティブなもので、神経を使わなければなりませんでした。それは皇室を侮辱するような記事を掲載するのはけしからんと、現在はなくなった『不敬罪』にあたると考える人たちによって、メディアへの抗議活動があったりしたからです。だから当たり障りのない話題が中心でした。しかしながら今も昔も皇室のカラーグラビア特集を組んだりすると本は売れたりと、いわゆる皇室ファンと呼ばれる人たちは常に一定数いました」(女性誌記者)
 
 かつて、皇族がテレビの情報番組で扱われるのは、公務でどこを訪れたとか、御用邸で休日を過ごされた、一家で旅行に行かれた等々。そして、民放最長寿レギュラー番組と言われているのが『皇室アルバム』(TBS系)だ。放送開始が1959年、現在の上皇のご成婚をきっかけに始まった番組は実に60年間続いている。放送開始当時は視聴率が20%を超す人気番組だった。

 皇室を扱う番組はほかに『皇室日記』(日本テレビ系)や『皇室ご一家』(フジテレビ系)があり両番組も人気がある。また皇室を扱った特番も高視聴率を取るという。

 週刊誌やテレビにとってキラーコンテンツといえる“皇室”にまつわる話題のなかでも特に結婚に関する話は国民の関心が集まるため、各社は取材に一層力が入ることになった。

“眞子さま萌え”に“佳子さまのダンス”

 私のなかで印象深いのは、それこそ秋篠宮さまと紀子さまのご結婚だ。皇族以外の一般人とのご結婚、しかも紀子さまはご学友であってごくごく普通の家庭で育った女性だ。当時のマスコミは“一般家庭から誕生した現代のシンデレラ“などと報じた。国民すべてが祝福したと言っても過言ではなかった。

 弟より後になったが皇太子(現天皇)さまと雅子さまのご結婚のときは、マスコミの取材がヒートアップした。なぜなら、お妃がまだ決まっていない状態で候補が何人かに絞られていて、その中に現皇后の名前が挙がっていたからだ。ハーバード大学出身で外務省に努めるバリバリのキャリアウーマンが選ばれるのか、それともほかの候補になるのか、ここでも国民の注目が集まったのだ。

 そのため週刊誌も新聞もスクープをとるために必死になり、候補宅には連日各社の記者が張り込みをして、朝の通勤時間や帰宅時に彼女たちに直撃取材するなど、いわゆるメディアスクラムが問題となった。

「テレビの登場や過熱する報道とともに、世間にとって皇族は“身近な存在”になっていきました。特に近年の秋篠宮家の眞子さま佳子さまはアイドルのような扱いを受けるように。インターネットユーザーや匿名掲示板などの台頭により、その風潮が顕著になりました。皇族という近寄りがたく高貴な存在はアイドル性を見出し易かったのでしょう。

 眞子さまは『ニコニコ動画』などでアニメキャラ化され、“眞子さま萌え”ともてはやされたりしていました。くわえて、佳子さまが学外のダンスサークルでダンスをされている様子が“盗撮テイスト”の写真で報じられたりすることなどは、まさにアイドル的な扱いの象徴ですよね。」(週刊誌記者)

 そんな皇室のなかに彗星の如く現れた小室さんはまさにマスコミにとっては格好の“素材”なのだという。

もともとテレビ界では皇室番組は視聴率がとれるジャンルでした。それに加えて、一連の小室さんの話題は借金トラブルに端を発したネガティブな国民感情を増幅する“芸能ゴシップ的”な要素をはらんでおり、まさに掛け合わせのコンテンツ。眞子さまがアイドル的な存在であるというのもこの結婚問題をドラマチックにしている大きな要因ですね」(ワイドショーディレクター)

 そのような背景もあり、ワイドショーでは小室さんの話題になると軒並み高視聴率を取るのだという。需要があるから小室さんの結婚問題はいつまでも放送されるし、「小室さんが話をなかなか進展させないのも話題作りに寄与している」(同前)とのこと。

 マスコミのなかにはこの“結婚問題”が長引く方がいいと思っている者も少なくない──?

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>                                                                            ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。