いまだに猛威をふるう新型コロナウイルス。人が集まって密になる初詣は、おうちですませましょう。神社の方角を向いて手順どおりに参拝すれば、ちゃんとご利益もあるんです!

※写真はイメージです

「年末年始は静かに──」


 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、この年末年始の様子は例年とは変わりそうだ。そのひとつが初詣。各地の神社は感染症対策を徹底するとともに、初詣の分散参拝を呼びかけている。

 密を避けるためにも、今回は『自宅初詣』ですませてみては!

 作法について祈祷師で開運アドバイザーの梅上規隆(うめがみ・きりゅう)さんに聞いた。

「自宅初詣でもちゃんとご利益はあります。神様はそんなに心が狭くはないです」

 ときっぱり。

 安心したところで、さっそく手順を説明しよう。

 年末にやっておくことはまず、大掃除をして部屋の中をキレイにすること。

 次に、『おうち神社』を作ろう。

 前回参拝した神社や期待したいご利益がある神社の方角を調べて、目線より高い、掃除をした棚の上に水やお花を供える。事前に神社でもらってきたお札があればそこに置く。ここが神様との中継地点になるのだ。

 神棚がある場合は新たに作らず、そこを利用しよう。

 おうち神社にはごちそうを供えてもいい。棚にスペースがあればそこに置く。なければ近くに台などを置いてその上に。ごちそうは参拝後、神様のお下がりとしてもらい、食べると縁起がいいという。

供える食べ物は高いお刺身でもスナック菓子でもお酒でも食べたいものなら、なんでもよいです。供えた食べ物には神様のいぶきが入り縁起がよくなります。縁起物のおいしい食べ物を自宅初詣の後、家族みんなで食べて楽しい時間を過ごしたら、1年の幸先もよくなりますよ」(前出の梅上さん、以下同)

いよいよ新年。年が明けたら自宅で初詣!

 タイミングは年明け直後、もしくは元日の午前中がベター。

 自宅初詣の手順は、まず流水で手を洗い、うがいをして身を清める。そしておうち神社の正面に立つ。

 次にお賽銭(さいせん)を供える。お年玉袋に入れておうち神社に置こう。

「お賽銭は“白いお金(1円・100円・500円・もしくはお札)”が吉」

“ご縁があるように”と5円玉を捧げる人もいるが、あれは言葉遊びでつくられたもの。5円でなくてもいいという。

「大切なのは金額ではなく気持ち。捧げたお金は神様のために使われ、ゆくゆくは自分のもとに戻ってきます。おうち神社に供えたお賽銭は、神社で直接参拝できるときに忘れずに持っていきましょう」

 お賽銭を入れた後、神社では鈴をガラガラと鳴らすが自宅では、

「100円ショップで購入できる玩具やキーホルダーの鈴などで代用。手に持って振りましょう」

 そして二礼二拍手する。

「鈴は神様に気づいてもらうための合図。柏手(かしわで)の拍手の音で場を清めます」

 いよいよお願いのときだ。

「まず、神様に現状をお伝えします“コロナ禍の密を避けるために自宅でお参りをしますが、もう少し感染が落ち着いたときにお参りしようと思います”などと、ひと言断ってから願い事を、お祈りすることが大切です」

 ただし、注意がある。

「現状を伝えるときに“〇月までに直接参拝に行きます”などと期限を決めて伝えないこと。“絶対に参拝します”などと断言もしないように。言いきったら必ず守らないといけませんよ」

 最後に一礼して「ありがとうございます」と心の中で伝えれば自宅初詣は終了だ。

 臨場感や場の雰囲気を大切にしたい人なら、動画を配信している神社のオンライン参拝を利用した自宅初詣をしてもいい。

「アクセスする前に一礼し、画面を閉じる前にも一礼しましょう」

 自宅初詣をしたら正月明けの人がまばらになっているタイミングを見て神社に行って直接、挨拶をしよう。

「旧正月」の初詣は2月12日

 現在の暦は太陽の周期をもとにした「太陽暦」を用いている。しかし、2021年は月の満ち欠けを用いた暦「太陰暦」すなわち「旧暦」での正月を祝うのもひとつ。中国やベトナム、マレーシアなどのアジア圏内の国では旧暦での正月を盛大に祝う。

「旧暦の元日はちょうど新月です。月が満ちていくように新しい1年もパワーが満ちていくスタートになります。なので、旧正月のタイミングで初詣に行くのはおすすめです。それにその時期だったら有名な神社や寺院でも密になることはないでしょう」

 2021年の旧正月は2月12日金曜日だ。それまで初詣はとっておいても吉。

「人が少ない時期はじっくりとお願い事を聞いてもらうチャンスですよ」

 波乱続きだった2020年。梅上さんによると、

「今年の干支(えと)は『庚子(かのえね)』。大きな変化を意味します。暦のうえではなんらかの争いがありつらい年になると示されていました。そうしたらコロナによる攻撃がありましたね」

 では、2021年はどのような年になるのだろうか。

「干支は『辛丑(かのとうし)』。これは自分を磨き、新しいことが始まる年を意味します。人の輪を広げましょう。つらいことがあってもそれは次につながることと暦は示しています。内面と向き合いながら前向きに新しい1年を過ごしましょう」

 自宅初詣のご利益を期待し、新たな気持ちで2021年をスタートさせよう。

自宅初詣のやり方(まとめ)

【年末】
(1)部屋の掃除をする。

(2)おうち神社を作る。お参りしたい神社の方角を調べ、棚の上に水などを供える。事前にお札を購入していたらそこに飾る。ポイントは自分の目線よりも高い位置。

【年明け】
*年明け直後や午前中の早い時間に行うことがおすすめ

(3)流水で手を洗い、うがいをするなどし、清める。

(4)おうち神社の前に立つ。神社の方角がわからない場合は天に意識を向けても可。

(5)お賽銭はお年玉袋に入れて神棚やお札の近くに置く。このとき「このお金は参拝するときにお賽銭として捧げます」と心の中で念じる。

(6)鈴など、なるべく高い音がする金属製の鳴り物を鳴らす。100円ショップで購入できるおもちゃの鈴でも可。

(7)二礼二拍手する。

(8)手を合わせて、まずは最初にひと言、断ってから1年の挨拶と願い事をお祈りする。例えば、「コロナ禍の蜜を避けるために自宅でお参りをしますが、本当はちゃんと神社でお参りしたい気持ちもあります。もう少し感染が落ち着いたときにお参りしようと思います」など。

(9)最後に一礼して、自宅初詣は終了。

〈補足〉
■オンラインで神社や寺院の様子を映していれば、そこに向かって同様の手順を行う。設置場所は机の上などで可。
■神棚やお札の近くにごちそうを供え、参拝後にそれをお下がりとしてもらい、みんなで食べると縁起がいい。
■おみくじをひきたい場合はネットのおみくじサイトなどを利用。

《PROFILE》
梅上規隆 ◎開運アドバイザー。「JJ」名義で祈祷師として活躍。祈祷のほか風水、占いなども得意とし、開運にまつわる相談にのる。