高タンパクで低糖質! ダイエットはもちろん、筋肉アップにもなるカニカマはシニア層にはうれしい食品です。食材と組み合わせることで栄養効果がさらにアップ!

※写真はイメージです

 スーパーやコンビニなど、どこの食品売り場でも必ず並んでいる「カニカマ」。リーズナブルな値段で購入でき、じつは食べるだけで健康効果が期待できる。

 正式名称はカニ風味かまぼこ。原材料は“スケソウダラ”。

「スケソウダラは食べるだけで筋肉量が増加する」という最新の研究結果も発表されており、注目を集める食材なのだ。

 さらに、ほかの食材と組み合わせることで健康効果が爆上がり。そのポイントを管理栄養士の森由香子さんに聞いた。

「カニカマは高タンパクで低カロリー、低糖質な食材です」

 カロリーは100gあたり90キロカロリー。同様の食品のとりささみは100gあたり105キロカロリーほど。よりヘルシーな食品であることがわかる。

 特に注目したいのはカニカマのタンパク質だ。

「消化するときに発生するエネルギーが最も高い栄養素がタンパク質なんです。というのも、身体は消化吸収するときに熱を作ります。タンパク質の消化がエネルギーをいちばん使うので、代謝が上がり、自然とやせやすくなる」(森さん、以下同)

 ダイエットや筋力アップを目指す人にもおすすめな食品だ。

 さらに代謝が上がることから免疫力アップも期待できる。タンパク質補給により貧血予防にも効果的という。

 ほかにもカニカマのタンパク質は「インクレチン」というホルモンの分泌を促し、食後の血糖値上昇を抑えるため糖尿病予防にもなる。血液をサラサラにし、記憶力の低下も防ぐDHAも摂取でき、シニア層にうれしい食品なのだ。

「魚が苦手な人は、カニカマからビタミンDを補ってみてください。カルシウムの吸収を促進、骨を強くし、免疫力の維持にも必要な栄養素です」

塩分のとりすぎには注意

 ただし、気をつけるポイントがある。

 カニカマは保存食品のため、塩分を多く使っているので食べすぎには注意が必要だ。

「一般的なカニカマでは100gにつき塩分が2・2g。1日に摂取する食塩の目安は6g。なのでカニカマだけで1食分の塩分量になってしまいます」

 塩分のとりすぎは血圧が上がり、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす。むくみで老けて見える原因にもなる。

「カロリーが低いからといって1度に食べる量は多くても50gくらいまで。ほかの食品と合わせるときの味つけは控えめにしましょう。塩分を気にするなら夜に食べたほうがいい

 午前中は塩分の吸収を高めるホルモンの働きが活発になるからだ。

 食べ合わせには塩分を排出するカリウムを含んだ柿や緑黄色野菜などの野菜類を選ぶのもひとつ。

 さらにカニカマの弱点をカバーしてくれる食品がこちら。

「カルシウムの吸収率を高めるビタミンKは含まれていません。豊富に含まれる納豆と組み合わせれば足りない栄養素の補給にもなります。納豆の良質なタンパク質は免疫力アップにもいい組み合わせです」

 効果別に食材をセレクトして組み合わせることで食べるだけで健康への第一歩となる。

高血圧予防、免疫力アップする組合わせ

 ここからは、効能別にオススメの食べ方をご紹介。

●《血糖値の正常化》スーパーフードで糖尿病を予防する

 カニカマに含まれるタンパク質は消化ホルモンの1種「インクレチン」の分泌を増やし食後の血糖値上昇を抑える。「葉野菜の食物繊維や栄養価の高いスーパーフードには塩分の排出に欠かせないカリウムの含有量が多い。組み合わせると糖尿病予防により効果的」

・イチオシの組み合わせ(1)……+えごま
血糖値の上昇をゆるやかにする食物繊維を豊富に含んでいる。カニカマを葉で包んでいただく。えごま油をかけてもOK

・イチオシの組み合わせ(2)……+チアシード
血液循環をよくするn-3系脂肪酸が豊富。ほぐしたカニカマと合わせると、チアシードのプチプチした食感がアクセントに。

・そのほかのおすすめ……+レタスほか(葉野菜)/+キャベツ/+ほうれん草/+アマニオイル

●《免疫力アップ》朝食べて1日のエネルギーを補う

 カニカマは免疫細胞に関与するビタミンやミネラルが含まれている。パンなど炭水化物、納豆や鶏むね肉の良質なタンパク質と一緒に朝ごはんで食べれば1日を元気に過ごせる。

・イチオシ……+卵
タンパク質を多く含み一緒に食べれば相乗効果で体内の熱がしっかりと上がって免疫力を高める。

・そのほか……+サラダチキン/+納豆/+食パン

●《高血圧予防》カリウムを補給し血圧上昇を抑える

 塩分が多いカニカマは、余計なナトリウムを排出するカリウムが豊富な食材と合わせて高血圧予防を。「レンコンのきんぴらやコロッケの具に混ぜて。味つけは薄めにして」

・イチオシ……+アボカド
血圧を調整するマグネシウムや抗酸化ビタミンを多く含む。さいの目に切ってあえれば、彩りもきれい。

・そのほか……+レンコン/+ジャガイモ/+サツマイモ

●《粗しょう症予防》ビタミンKとのタッグしっかり食べて骨強化

 カルシウムとビタミンDが多いカニカマと合わせてより骨を強くする。ほぐしたカニカマとしらすをあえたり、きゅうりやほうれん草のおひたしも。味つけはポン酢でさっぱり。

・イチオシ……+納豆
カルシウムの骨への吸収率を上げるビタミンKが多く、骨粗しょう症予防の強い味方に。

・そのほか……+しらす/+きゅうり/+ほうれん草

●《血液サラサラ》動脈硬化を防ぐ食品で血の巡りをよくする

 抗酸化酵素のあるセレンや亜鉛を豊富に含むワカサギはカニカマとかき揚げに。血流改善に効果があるビーツはサラダに。造血作用のあるほうれん草はカニカマとソテーで。

・イチオシ……+すりおろし玉ねぎ
すりおろすと抗酸化物質が増え、血管の流れをスムーズに整えてくれる。

・そのほか……+ビーツ/+ワカサギ/+ほうれん草

冷え性、ダイエット、美肌に効く組み合わせ

●《冷え性対策》身体を温める食材で毛細血管の活性化

 カニカマのタンパク質は消化するときに体内で熱を生み出し、身体を温める。さらにオリーブやピクルスのビタミンEも毛細血管の血行をよくする。「カニカマは鉄や葉酸などの栄養素が低いため、レバーペーストやカキなどを食べ合わせて補いましょう」

・イチオシ(1)……+生ハム
身体を温め、冷え性や貧血を予防する葉酸、鉄、ビタミンB12が豊富。カニカマに巻くと見た目はオードブルのよう。

・イチオシ(2)……+キムチ
発汗作用のある唐辛子のカプサイシンで冷え対策。亜鉛が多いカキとカニカマを一緒に炒めると、より健康効果を期待できる。

・そのほか……+カキ/+オリーブ/+レバーペースト/+ピクルス

●《ダイエット》ポイントは食べ応え低カロリーで満腹に

 カロリーが低い食材と組み合わせよう。よく噛んで満腹中枢を刺激するのも、食べすぎやリバウンドを防ぐポイント。「のりで巻いたり、寒天ゼリーに入れるのもおすすめ」

・イチオシ……+大根おろし
カロリーが低いうえ酵素の「アミラーゼ」が消化を助けるので、腸内環境を整えられる

・そのほか……+焼きのり/+寒天ゼリー/+キムチ


●《美肌効果》おしゃれでおいしくビタミンをプラス

 柿、生ハムやアボカドにはビタミンC、B2、B6、ブドウには身体のサビを防ぐポリフェノールが含まれている。カニカマとピンチョスにすれば、見た目にもおしゃれ。

・イチオシ……+柿
カリウムやビタミンCが多い柿はカニカマとともにさいの目に切ってサラダに。

・そのほか……+アボカド/+生ハム/+ブドウ

●《筋力アップ》良質な筋肉作りにはWタンパク質が肝

 乳製品や大豆製品に多く含まれる良質なタンパク質が筋力アップには不可欠。軽い運動やウォーキング後の塩分補給にもピッタリ。1日数回、少量に分けて食べてもいい。

・イチオシ……+豆腐
カニカマをのせて食べればカロリーを抑えながら良質なタンパク質が一緒に摂取できる。

・そのほか……+牛乳/+納豆/+湯葉

●《アンチエイジング》血管から若返るビタミンA・C・E

 血管を健康に保つことが若さのポイント。老化や疲れの原因は活性酸素による身体のサビ。ブロッコリーや大根の葉など緑が濃い野菜は効果が高くカニカマとソテーして。

・イチオシ……+パプリカ
身体のサビを防ぐビタミン類がそろっている。カニカマを詰めて焼くのをおすすめ。

・そのほか……+ブロッコリー/+大根の葉/+オレンジ

《PROFILE》
管理栄養士/森由香子 ◎日本抗加齢医学会指導士。四谷メディカルキューブにて栄養指導などに従事。『間食ダイエット』(文藝春秋)、『老けない人は何を食べているのか』、12月12日発売の『免疫力は食事が9割』(ともに青春出版社)など著書も多数。