狩野英孝との六股騒動以降、現在に至るまで炎上・バッシングが続いている加藤紗里。シングルマザー(父親は非公表)でもある彼女は現在、シングルマザーを対象としたシェアハウスを作る活動で注目を集めている。離婚を発表した際に「3か月で1億円使わせた」と発言して批判されたほか、2020年12月にはインスタグラムに、夢屋まさるのギャグ「パンケーキ食べたい♪」を歌いながら、提供されたパンケーキを叩き潰す動画を投稿して大炎上。
──そんな彼女の素顔とは? “お騒がせモンスター”ともされる彼女に直撃し、報道や噂の真偽に迫った。(「」内はすべて加藤紗里の発言)
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「芸能界に対する憧れはまったくなかったですね。芸能界に入ったのは狩野英孝さんとの騒動があってから。多くのマスコミから取材が殺到して、一人では対応できなくなったからなんです」
加藤紗里は1990年広島生まれ。広島市内でも有名な代々続く呉服商の次女として生まれ、高校卒業まで同市で育った。いわゆる“お嬢様”で、習い事もピアノ、バレエ、琴、三味線、日本舞踊、お茶、お花と多数。塾と家庭教師を掛け持ちしながら中高一貫の私立名門校に在籍。
「経歴だけみるとお嬢様の私でしたが、実は小学生のころから不良に憧れていたんです。髪も金色に染めたかったし、ピアスも開けたかった。ですから学校でも問題児でしたね(笑)。──特に娘が生まれてから思うんです。“私の娘は良い学校に通っているんですよ”というのは、親のエゴでしかないんじゃないかと。だから私は自分の理想を娘に押し付けたくない。娘が“公立が良い”といったら公立に行けば良いと私は思うんです」
今も“加藤紗里”のキャラが染み付いて
高校卒業後は、当時つき合っていた年上の彼とともに東京へ。動物の専門学校に通い、トリマーと愛玩動物救命士、ドッグトレーナーの資格も取り、上野動物園で働き始めた。親の呪縛から解き放たれ、やっと自分の生活を手に入れたかと思われた矢先の2016年、狩野英孝の騒動が起きる。当時、狩野と交際中だった川本真琴が自身のツイッターで「私の彼氏を取らないでください」など加藤に対すると思われる投稿を連発し、物議を醸したのだ。
「正直驚きました。川本さんについても私はまったく知りませんでした。マスコミなどのメディアやインターネット界隈は私のことを“売名”だと批判の嵐。でもおかしくないですか? もし私が事務所に入っているタレントだったら“売名”といわれるのも分かる。でも私は別に芸能界に憧れなどなかった。あんな大バッシングは初めての経験でした。平穏な暮らしを壊されたわけですから、“売名”どころか、私は狩野英孝には恨みしかないですね(笑)」
当時、まだ25歳。たった一人では押し寄せるマスコミに若い加藤は対処できず、やむをえず事務所に所属した。いわば表舞台に無理やり引っ張り出されたわけだ。そんな彼女を待ち受けていたのは“芸能界”の洗礼。前の事務所社長は加藤に“お前のこれまでの人生は生ゴミに出した。だからこれからは俺が書いた台本通りの加藤紗里を演じていけ”と告げたという。炎上女王・加藤紗里の誕生だ。
「今は独立して自分の事務所を起ち上げたんですけど、今もその“加藤紗里”が染み付いている感じがあります。普段の加藤紗里と、タレントの加藤紗里は別物と考えてはいますが、やはり混乱してしまい、パニック障害も発症。今も精神安定剤を飲んでいます」
シンママが欲しいのは目の前の10万円じゃない
では元夫に「3か月で1億円使わせた」などの“お金好き”発言も炎上商法的な演出なのか。聞いてみると「お金持ちが好きなのは本当です」と素直に明かした。
「でも、お金を稼ぐ能力も男性の魅力の一つだと思うんです。生活にお金はそもそも必要ですし、稼ぐイコール仕事ができるというイメージも私にはある。自分より稼いでくれる男性でなければ尊敬することができない。ただしお金持ちでも、私にお金を使ってくれない人は私にとって“お金持ち”ではない。億万長者じゃなくても1000万円のうち100万円でも私に使ってくれたら“お金持ち”です」
それまでの恋愛に“お金”は重要だった加藤。ただ'19年に結婚した元夫に関しては「お金が原因とはいっていますけど、本当のところは彼の束縛が、私にとって重すぎて疲れてしまったという面が大きい」と話す。
また先日は、交際中だったいわくつきの男性との破局でも話題になった。報道では交際相手が元詐欺グループの中心メンバーだったとのことだが、加藤は「それも事実でした」と認めた。
「今の私は娘が本当に大切。娘を一番に考えたときに、娘のことを本当にすごく考えてくれる人、娘にとってのいいお父さんという部分で交際させていただいたんです」
この説明には理由もある。この男性と出会う前に交際していた男性が、彼女だけとの時間を重視し、娘と一緒に逢うのを好まなかったからだ。「今の私のすべては娘」。加藤は娘が生まれて“母”へと変わった。そして現在はシングルマザーを支援するシェアハウスを作ろうとしている。
「当事者になると、シングルマザーたちの悲しいニュースが耳に入ってくるようになったんです。当時は子どもを(過失や虐待で)亡くしてしまった彼女たちのことを“最低な母親じゃん”と思っていました。でも間違っていた。例えば、好きになった男性が“子どもと一緒じゃ嫌だ”といったとするじゃないですか。
シンママとしては“この人を失ったら結婚できないかも”“じゃ子ども置いてくるね”みたいになっちゃう人も大勢いるんだろうなと。そう思うと辛くなった。子どもと女性は男性からしてみれば“弱者”。そう思った時に“わああ”となり、見返すために起こしたのがこのシェアハウスプランだったんです」
そして彼女は「賛否両論あると思う」と続ける。常に動向がメディアやSNSで叩かれる彼女ならではの洞察だ。今も彼女が何かするたびに炎上騒ぎが起こる。知人から「インスタのコメント欄を閉鎖したら?」とも勧められる。だが「誹謗中傷で自殺も何度か考えました。でも加藤紗里というキャラからしたら、閉鎖することは“逃げだ”と思っている。だから絶対に閉鎖しない」とブレない。
最後にその加藤紗里の“キャラ”で、今後についても話してくれた。
「シングルマザー&シングルファザー1万人に現金10万円を配布する基金などを作られている方もいます。素敵な試みに思えますが、シンママが本当に欲しいのは目の前の10万円じゃない。では来月は? その先は? 当事者からいえば、欲しいのは“安定”なんです! お金を持っている方はお金を配るのではなく、どんどん私のシェアハウスのような企画の真似をして欲しい。それが広がって文化にまで昇華してくれれば……。私はそう願っているんです」
時折、涙で言葉を詰まらせながらも語ってくれた加藤紗里。“お騒がせモンスター”などと異質扱いされているが、その言葉にしっかりと耳を傾けてみれば、自分の心に正直で、過去に深く傷つき、娘を溺愛する一人の母親だった。もちろん多少エキセントリックではあり、それが彼女らしさでもあるのだが、そんな当たり前に気づかせてくれる好例が加藤紗里といえないだろうか。
(取材・文/衣輪晋一)