『オリエンタルラジオ』のふたりが、昨年いっぱいで吉本興業から独立した。中田敦彦にとっては既定路線のようだが、藤森慎吾については意外とする声も多い。すでにネット中心の活動に切り替えていた中田に対し、藤森はまだレギュラー6本を抱えるテレビタレントだからだ。
ネットと違って、テレビでは芸能事務所の影響力が大きい。はたして、藤森は大丈夫なのか。
藤森、独立の動機
12月28日の会見では、独立理由について「相方と一緒にいたら楽しいだろうなと思って」と説明。しかも、吉本からレギュラー継続の確約も得たという。
だが、その2日前には、不安も漏らしていた。この日、藤森は大手事務所からの“独立”では先輩にあたる手越祐也とユーチューブで共演。その際、吉本とは円満関係でいくという「書面」は交わしたものの、業界にありがちな「忖度」により、
「おそらくテレビに出られなくなると思います」
と、語ったのだ。
もっとも、そこはむしろ冷静な分析だろう。それよりも不安を感じさせたのは、そのあたりがわかっているのに独立を決めたもうひとつの動機だ。
藤森は「俺のなかで華やかさがシフトしつつある」「テレビのギャラをユーチューブのほうが超えてしまった」と告白。さらに、忖度だらけのテレビより「視聴者ファースト」の面白いものが作れるのはユーチューブだという手越の主張にすっかり感動して「この覚悟が必要なんだ」「俺んなかで今、一個、気持ち固まったわ」と舞い上がってもいた。
そのあげく、オリラジの持ちネタ『武勇伝』をコラボ。「みんなで笑える芸能界 チャラ男ふたりで変えてみせる♪」と歌ったりした。要は、テレビに出られなくなってもユーチューブでそれ以上にやっていけるというわけだ。
が、本当にそうだろうか。ユーチューバーの世界は本職たちが幅をきかせており、相方の中田や手越ですら、チャンネル登録者数の国内ベスト20にも入れない。藤森の売りといえばチャラ男だが、もっとチャラい芸風のユーチューバーもいる。そもそも、中田に流され、手越に転がされるような中途半端なノリで大丈夫かと思うのだ。
2度の成功と「逃した魚」
とはいえ、本人が大丈夫だと思えるのはこれまでの成功体験のおかげだろう。オリラジはいきなり武勇伝が当たって史上最速で冠番組を持ったり、しばらくくすぶってもまた『PERFECT HUMAN』で再ブレイクしたりした。が、2度あることは3度あるとは限らない。というのも、藤森はひとつ、大きな成功を逃しているからだ。
それは、田中みな実との恋愛である。数年前、結婚間近とまでいわれながら、破局。元カノがいま無双状態にあることを考えると「持っていなかった男」というイメージは否めない。
今から約30年前には、漫才ブームで売れた太平サブローシローが吉本から独立。完全に干されてしまった。その後、紆余曲折の末、独立に消極的だったほうのサブローのみ、それなりの復活を果たしたが、藤森もなんとなくそんな未来になりそうな気もする。
ただ、ひとつ面白いのは藤森のおかげで、中田の独立がミョーに余裕しゃくしゃくに見えていることだ。まさに「あっちゃん、かっけー」と引き立てる、リアル武勇伝状態である。本当は中田だって、今後が安泰とは限らないのだが──。