現代人は「腕が縮こまってゴリラのように短くなっている!」とか。これが慢性的な身体の不調や肥満の原因に。そこでカリスマ治療家が考案したのが、1日7秒の簡単ストレッチ。手を伸ばすだけで不調も肥満も解消できるのだから即、実行しかない!
現代人は腕が短くなっている!
「マッサージへ行っても、肩こりが治らない」「テレワーク続きで、腰痛が」
そんな悩みをまとめて解決する方法があると話すのはアスリートゴリラ鍼灸接骨院院長の高林孝光先生。1日1回、手をぐるぐると回すだけの手伸ばし体操がそれ!
なぜ、手を回すだけで肩こりや腰痛が改善するのでしょうか。
高林先生がこの体操を考案したきっかけは、多くの人を治療するなかで「現代人は腕が短くなっている人が多い」と気づいたこと。「パソコンやスマートフォンの操作などで、現代人は手や腕を酷使しすぎなんです」と指摘します。
筋肉には、使いすぎたり、緊張が続いたりすると、元に戻りにくくなる性質があります。また、手を使う機会が多いと、肩の関節内で骨と骨の距離が近づきます。筋肉がこわばり、骨が近づき、腕が短くなってしまうのです。
深層の筋肉に働きかける「手伸ばし体操」
その状態をリセットしてくれるのが、「手伸ばし体操」。腕を回すことで肩まわりの筋肉をほぐし、腕を本来の長さに戻してくれるのです。
この運動のよさは、身体の奥深くにある筋肉にもアプローチできるところです。筋肉には表面に近いアウターマッスル(表層筋)と、骨に近いインナーマッスル(深層筋)があり、肩がこっている場合、その両方が緊張しています。それなのに、マッサージや指圧など、外から刺激できるのは、アウターマッスルだけ。ですが、腕を伸ばせば、骨についているインナーマッスルもつられて伸びます。全身の筋肉はつながっているので、手を伸ばせば腰まわりの筋肉も伸び、腰痛の改善にも。
美容にも健康にも効果バツグン
手伸ばし体操の効果は、こりや痛みの軽減だけではありません。こりがほぐれると、筋肉に圧迫されていた血管が広がり、血流もアップ。肌の乾燥、爪の割れやすさなどの改善にもつながります。
「手が伸びて手足の長さのバランスがよくなるので、スタイルもぐっとよく見えます」(高林先生、以下同)
しかも体操は、最低1日1回、好きなタイミングでやればOK。かかる時間は、片手あたりわずか7秒です。
「バランスのよい手足の長さが美しさの鍵」と語る、ミス・ワールド2016日本代表の吉川プリアンカさんも、手伸ばし実践者のひとり。今はスキンケアブランド「MUKOOMI」を立ち上げた吉川さん。手伸ばし体操が、デスクワークの肩こり軽減に役立っているそうです。
【手伸ばしのメリット】
●こりが解消!
引っ張られて筋肉が伸びると、指圧してももんでも触れられないインナーマッスルがゆるむ。
●不調が改善へ!
身体の痛みがやわらぐだけでなく、肌のコンディションも上り調子に。疲れや不調が出にくくなる。
●血流アップ!
かたくなった筋肉がゆるむと、圧迫されていた血管が広くなり、血流がよくなる。老廃物が流れやすくなる。
即、効果が実感できる「回すだけ」体操
基本体操は、左右の腕を前回し7秒で7回、後ろ回しも同じく7秒で7回回すだけ。これだけで腕が伸びるのだそう。
まずは片手を回し終わったら、ぜひ鏡の前へ。両手を真上に伸ばしてみましょう。回した側の手が伸びていることがわかるはずです。左右ともに回し終わったら、今度は両手が同じ長さになっていることを確かめましょう。回数は1日1回でOK。
ただし、腕を上げると痛い人はこの運動を避けて! 下に紹介している「小さく前ならえ」をしましょう。
【基本体操】7回ぐるぐる腕回し
●はじめに 腕の長さの違いを目でチェック
体操を始める前に、鏡の前で、両手をまっすぐ上に上げてみましょう。手のひらは正面に向けて指先はまっすぐ、背筋も伸ばします。その状態で、左右の腕の長さを確認。
(1)片手を上げる
手のひらを内側に向けて、片手をまっすぐに上げる。反対側の手で脇の下を押さえる。肩甲骨が安定するため、手がより伸びやすくなる。両足は腰幅に開く。
(2)前回しを7回
前から後ろへ手を7回回す。手の重みを利用してできるだけ速く行う。手のひらは内側に向けたまま。
(3)後ろ回しを7回
前と同じように、後ろへ7回回す。反対側の手でも、1~3を行う。
腕が上がらない人向け「伸ばすだけ」体操
四十肩・五十肩で腕や肩が上がらない人は、無理に基本体操をすると悪化のもと。そこで、腕を床と平行に伸ばし、7秒間キープする体操を紹介します。「基本体操」と同じく、1日1回でもよいので、毎日続けましょう。
「痛みがあるからと動かさずにいると、どんどん筋肉が固まってしまいます。無理のない運動を取り入れ、改善を目指しましょう!」
【手が上がらない人は…】7秒キープ前ならえ
(1)小さく「前ならえ」
両足を肩幅に開き、まっすぐに立つ。手のひらを内側にしてひじを曲げ、前腕を床と平行にする。脇を締め、ひじを身体側につける。このとき、指先はまっすぐに伸ばす。
(2)ぐーっと腕を伸ばす
両手を肩幅のまま、床と平行に伸ばす。
(3)さらに前へ伸ばす
背筋は伸ばしたまま、指先を遠くへ伸ばすような意識で、手をさらに伸ばす。左右の肩甲骨が開いていることを意識し、さらに前へ。この姿勢をキープし、呼吸しながら7秒キープ。これを3回行う。
肩こりと腰痛をラクにする体操
【肩こり】背中のこりをほぐして肩をラクに
「日本人は世界一、座っている時間が長い」といわれます。それが原因で、肩こりに悩む人が圧倒的に多いのも事実。肩こりには背中がこっているタイプ、首筋の表面がこっているタイプ、首すじの奥がこっているタイプがあるそう。
今回は、背中がこり、両肩が出て猫背になっている人に向けた体操を紹介。「このタイプの人は、胸にある大胸筋もこっています。まずは、そこを伸ばしましょう」。
(1)壁に手をつく
壁に対して横向きに、まっすぐ立ち、片手を肩の高さで壁につける。壁からの距離は、手が完全に伸びきるぐらいが目安。壁についた手と反対側の足を半歩後ろに引く。そのとき、壁側の胸の筋肉が伸びたことを意識して。
(2)腕を回して胸を伸ばす
自由になっている手を「基本体操」と同じやり方でぐるぐる回す。前回し7回、後ろ回し7回を終えたら、反対側の手を壁につけ、その手と逆の足を引き、同じように繰り返す。
【腰痛】テレワークで悩ましい腰痛も手回しで軽く
「腰痛の原因のひとつは、おそらく手が短くなり、腰まわりのインナーマッスルがこわばっていることでしょう」。そこで、腰の深いところにある腹横筋をゆるめる手回し体操を紹介します。腰痛に悩まされている人のなかでも、上体を後ろにそらしにくい人におすすめ。
ただし、後ろにそったとき、痛みがある人はやめましょう。また、身体の背面の筋肉がかたくなっていると、腰痛につながります。
(1)親指を腰に軽く押し込む
両足を腰幅に開いてまっすぐ立ち、片手の親指を腰に押し込みます。目安は、ろっ骨と骨盤の間あたり。
(2)腰を押しながら手回し
親指で腰を押したまま、反対の手を前に7回、後ろに7回回す。終わったら、反対側も同じように行う。
【腰痛】椅子に座ったままできる運動
椅子に座ってお尻の筋肉をゆるめ、腰へのストレスを軽減する運動もあわせて解説します。
(1)椅子に座り、片足を反対のひざへ
背もたれのない椅子に浅く腰かける(背もたれがある椅子の場合、横向きに)。足首を反対側のひざに乗せる。
(2)両手を後ろで組み、身体を前へ倒す
両手を後ろで組み、胸を張るようにして背筋を伸ばす。胸をひざに近づけるようにして上体を倒していく。そのとき、ひざに乗せた足首の側の、お尻の筋肉が伸びていることを意識する。
(3)さらに深く前屈!
さらに身体を前に倒し、両手を床と平行になるぐらいまで上げ、肩甲骨を寄せる。呼吸をしながら10数え、終わったら足を組みかえ反対側も同じように行う。
(取材・文/仲川僚子)
《PROFILE》
高林孝光 ◎アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。過去24年間でのべ10万人に施術し、バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナーを務めるなど、アスリートの治療経験も豊富。その経験から、「手を伸ばす健康法」を確立。