朝のワイドショー『とくダネ!』(フジテレビ系)の3月終了が発表された。司会の小倉智昭(73)は、1月12日、
「まだ、すべてをやり遂げてはいませんが、そろそろ次世代のキャスターに席を譲るときが来たようです」
と、局を通じてコメント。翌日の生放送でも、心境を吐露した。そこで彼は、2016年と'18年に膀胱ガンの手術を受けてからの変化を告白。「病気してから、ネット情報とか見るようになっちゃったんですね」として、その内容にショックを受けたと明かしたのだ。
小倉智昭、老いを受け入れた?
「やっぱり、老害じゃないか、とか、ボケてるんじゃないかと、キツイものなんですよ。で、お年寄りの政治家見ると、あぁやっぱり年とるとダメだな、なんて少しずつ思うようになりました。そんなこともあって、私もそろそろいいのかなって」
強気なイメージのある人だけに、この発言には意外だという声も続出。だが、実はこの人、人一倍、若く見られたい人なのだ。つまり、老いを受け入れたくないタイプなのである。
得意にしてきた分野も、スポーツやアイドル。前者については、自身も学生時代、陸上の短距離などに打ち込んだ。
また、後者については、東京12チャンネル(現・テレビ東京)の局アナ時代に『ヤンヤン歌うスタジオ』のナレーションを担当したり、フリーになってから『嵐の宿題くん』(日本テレビ系)の進行を務めて、5人が国民的グループになっていく過程を目撃したりした。誕生日には嵐から「OGU-3(おぐさん)」という愛称が入ったプレゼントが贈られることが自慢だったりもする。
カツラもカミングアウト済み
とはいえ、寄る年波には勝てない。彼にはカツラ疑惑というものもあり、講演会や雑誌ではすでにその使用をカミングアウトずみ。だが、テレビで公表しないのはやはりいじられたくないのだろう。
また、13日の放送では「ちょっと切っ先が弱くなって」とこぼしたが、実際、キャスターとしてはカウンター的な攻めのスタンスが売りだった。'92年から'99年にかけては、現在『ノンストップ!』が放送されている枠で『ジョーダンじゃない!?』『どうーなってるの?!』を成功させ、これが『とくダネ!』につながる。いわば日常にチャチャを入れるという、ツッコミ芸でのしあがった人なのだ。
「ボケてるんじゃないか」と言われては立つ瀬がない。
まして、スポーツの知識や経験を生かせるはずだった東京五輪は延びるわ、へたしたら中止だわ、仲よしの嵐は予定どおり活動を休んじゃうわ、ときた。そんなときに「老害」呼ばわりされたら、自分がもう用ずみだと感じてしまっても無理はない。
そういえば、16日放送の『たけしのこれがホントのニッポン芸能史』(NHK BSプレミアム)の海外ロケ番組特集で『世界まるごとHOWマッチ』(TBS系)が紹介されていた。彼のナレーターとしての代表作だ。あの甲高い声を久々に聞き、そこから30年以上たった今、こういう声はもう出せないのではと思ったものだ。
ただ「そろそろいいのかな」と身を引いた小倉以上に、もういいのではと感じさせるキャスターやコメンテーターもいる。そういう人に限ってなかなかやめないのは「まだまだ大丈夫」と自分で思っているからだろう。
本物の「老害」や「ボケ」とはむしろ、そっちかもしれないのに。