見た目年齢を左右するのは、顔ではなく実は髪! 染めてもすぐ現れるキラキラ白髪は、老け見えの要因に。時間と手間を減らしてきれいが続く、とっておきの方法を教えます!

サロンで染める

〈教えてくれたのは〉
小野寺裕さん ◎Michio Nozawa & awa hair 統括店長/多くのトップモデルやタレントを担当。サロン以外にもテレビ、CM、製品開発、講習活動など多岐にわたり活躍。独自の美容理論で、幅広い年代から支持されている。

【“ハイライト”マジックで白髪カバー&髪型に立体感を生み出す】

左がアフター、右がビフォア ヘア/小野寺裕 メイク/山下桃花 撮影/廣瀬靖士

 プロならではの施術“ハイライト”で白髪をおしゃれにカムフラージュ!

◎ビフォア(写真右):白髪率は全体の30%程度。「ダークトーンで染めていると、3週間くらいで白髪が気になってきます」(小野寺さん、以下同)。頭頂部や髪の内側の根本白髪が目立つように。

◎アフター(写真左):細かいハイライトを30か所程度入れ、全体のカラーは日本人の肌になじむアッシュベージュに。落ち着いたトーンでも重たく見えず、髪色の透明感もアップ。

 ハイライトは、毛束を少量ずつ取り、ほかの部分よりも明るいカラー剤をつけてアルミホイルに包んで染める。筋状にカラーを入れるのが特徴。

 ハイライトを入れると、単色染めよりも色のコントラストがやわらぎ、伸びてきた白髪が目立ちにくくなる。

「白髪ぼかしプラス、髪に自然な動きが出て若々しい雰囲気に。スタイリングが苦手な人でもおしゃれに見えます。従来の脱色剤より枝毛や切れ毛を98%軽減する『ケアブリーチ』という薬剤なら、髪へのダメージを最小限に抑えられます」

【Q&A サロンでの白髪染め】

Q1)どんな種類がありますか?

「サロンで行う白髪染めは、主にアルカリカラー、酸性カラー(ヘアマニキュア)、ヘナの3種類。髪の状態や白髪の量に合わせて相談しましょう」

〈アルカリカラー〉
○:色数が豊富で色持ちがよい
△:髪、頭皮へのダメージがある
色の自由度が高いので、絶妙なトーンの色もOK。髪や頭皮のダメージケアが必要。

〈酸性カラー(ヘアマニキュア)〉
○:髪にハリ・コシ・ツヤが出る
△:根元まで完全に染められない
髪へのダメージがない。地肌につくと落ちないので、根元1ミリを残して染める。

〈ヘナ〉
○:植物性の染料でダメージが少ない
△:色が限定される。時間がかかる
ヘナ100%と人工の染料を加えたものがある。染め続けるとカラーチェンジが難しい。

Q2)敏感肌でしみるのが心配です

「ほとんどのサロンには、カラー剤から頭皮を保護する油分スプレーやクリームの用意がある。あらかじめしみやすいことを伝えましょう」

Q3)染める前に気をつけることは?

「生理前に肌が敏感になる人は、その時期の白髪染めは控えたほうが安心。アレルギーの原因にもなりかねないので、無理はしないで」

Q4)自宅でも白髪染めしていますが伝えるべき?

「自宅でどんな白髪染めを使っているかによって、サロンでのカラーの出方が大きく変わる。商品名や色番をメモしておくと伝えやすい」

Q5)白髪染めの適正な頻度は?

「頭皮環境のためには、最低1か月間は期間をあけて染めるのが正解。根元や顔まわりだけ染めるなど、負担のないサイクルを見つけて」

【カラーをキープする3ルール】

1)カラーした日は髪を洗わない
白髪染めのカラー剤が髪に定着するには、少なくとも24時間が必要。カラーした日にシャンプーすると、せっかくの色が抜ける原因に。どうしても気になるときは湯洗いを。

2)紫外線から髪を守る
髪が紫外線を浴びるとキューティクルがダメージを受け、色素の流出につながります。スプレータイプの日焼け止めでカバーすれば、頭皮の光老化予防にもなります。

3)カラーヘア専用アイテムを使う
カラーリングでダメージを受けた髪や頭皮にとって、普段のシャンプーは洗浄力が強すぎることも。専用商品なら、ダメージケアしながら、色落ちも防ぐので一石二鳥です。

〈SALON DATA〉
Michio Nozawa & awa hair
東京都中央区銀座1-6-8 DEAR GINZA 2F/3F/9F
https://www.mnhs-ginza.com/
月水木11時〜20時、金〜21時、土日祝10時〜18時30分、火曜定休
※コロナ感染拡大防止のため、営業時間短縮中。

セルフ白髪染めの成功ポイント5

 時間とお金の節約には、市販の白髪染めでセルフカラーリング。目的に合った商品の選び方から、きれいに染めるコツ、アフターケアまで徹底解説します!

〈教えてくれたのは〉
鈴木大地さん ◎エブリカラーデイズ合同会社代表/毛髪診断士。美容師、ヘアケアメーカーでのインストラクター経験10年。「現場を知るプロの視点で情報を提供します」

川上直美さん ◎花王 商品PR/役員秘書、ヘアケアのマーケティング職を経て現職。「私自身、白髪のお手入れに日々いそしんでいます」

1泡タイプ?クリームタイプ?

 ヘアカラーにはどんな種類がある?

「市販品で一般的なのは、通称アルカリカラーと呼ばれる『酸化染毛剤』です」(鈴木さん)。これは、酸化染毛料を髪に浸透させ、脱色・染色を同時に行うというもの。「市販品もサロン品も、使える薬剤の成分や配合量の上限は同じです」(川上さん)

 初めての全体染めには、泡タイプがおすすめだそう。

「髪をブロッキングせずにシャンプーのようにもみ込むだけなので、初心者でも手軽に染められます。対してクリームタイプは、粘度が高く狙った部分がしっかり染まるので、部分染めに適しています。必要な量だけ使って、残りを取り置くこともできるので経済的です」(川上さん)

 広範囲なら泡、ピンポイントならクリーム。目的によって使い分けよう。

黒髪用のヘアカラーでも白髪は染まる?

「ヘアカラー剤は目的によって処方が異なります。黒髪用は、脱色力が強く染毛力が緩やかなので、白髪が多いと十分染めきれないことも。白髪をしっかり隠したい方は、染毛力の強い白髪染めを選ぶようにしましょう」(川上さん)

●染め残しをなくすには

 もみあげや生え際に染め残しがあるのは、白髪染め剤の塗布量不足が原因。

「全体に塗布した後、もう1度生え際に剤をのせて、しっかり染毛剤をとどめることで回避できます」(川上さん)

2】色選びは明るさが重要!

 現在の髪色±1番で色ムラ防止。白髪染めの色は店頭の毛束などを参考に、明るさ→色みの順に選ぶ。

「耳上あたりの髪色を目安に、±1番以内であれば極端な色ムラを防げます。黄みが強く傷んで見える髪色のときは、赤みのある色を選ぶときれいな発色に。ただし、髪色が鮮やかすぎると肌がくすんで見えるのでご注意を」(川上さん)

〈色番ごとのイメージ〉
【2番、3番】
明るく軽やかな印象の髪色。白髪の染まり具合は若干弱め。
【4番】地毛より明るいブラウン系。白髪は隠れる程度に染まる。
【5番、6番】地毛に近いブラック系カラー。白髪をしっかり染められる。

※色番は日本のメーカーのブランド。海外メーカーは異なります。資料提供/花王

【3】根元染めはたっぷり塗ってT字カバー

 分け目や生え際の“リタッチ”は、丁寧にしっかり塗るのがコツ。

「薬剤をのせたら、短い白髪が浮かないようにキッチンペーパーを張りつけて染め残しを防止します。頭皮がしみやすい人は、染める前日の洗髪を控えたり、オリーブオイルを頭皮に薄く塗ると刺激を抑えられますよ」(鈴木さん)

【4】頭皮が敏感な人はノンジアミンを選ぶ

 カラー剤がしみる原因には、アレルギーを伴わないかぶれの「刺激性接触皮膚炎」と、カラー剤に含まれる「ジアミン」による「アレルギー性接触皮膚炎」の2種類がある。

「心配な人には、ノンジアミンのカラー剤があります。酸化染毛剤よりカラーバリエーションが少ないものの、しっかり染まり比較的安心です」(鈴木さん)

5】髪色を長持ちさせるコツ

 ダメージを防ぐにはカラー処理剤を使う。

「カラー後の髪や頭皮には、シャンプーでは落としきれない薬剤が残り、カラーの退色や頭皮環境を悪化させる要因に。処理剤を使うことで、色持ちがよくなりますよ」(鈴木さん)

 全体染めの頻度が高いほど髪へのダメージは大きい。

「特に毛先にいくほど傷みやすくなります。傷んだ部分は染まりやすく色落ちしやすいので色ムラにも。全体染めは多くても1〜2か月に1回程度、部分染めと併用を」(川上さん)

セルフケアでつなぐ

〈教えてくれたのは〉
伊熊奈美さん ◎美容ジャーナリスト/毛髪診断士。特にヘア関連分野に精通し、執筆活動のほかヘアケア製品開発などにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』1540円/小学館

【つなぎ期間を賢く乗り切ろう】

「大人の女性に髪の悩みに関するアンケートをとると、30代以降すべての年代で『白髪』が1位。悩みの根深さを感じます」(伊熊さん、以下同)

 話題になった“グレイヘア”も素敵に見せるにはハードルが高く、家族の理解も得にくい。白髪染めには、身だしなみのような面もある。全国理美容製造者協会による『サロンユーザー調査2020年版』によると、30〜40代は8割近い人がサロンで髪を染めているのに対し、50〜60代になると自宅で染める人の割合が急上昇する。

「白髪が多くなると染める頻度が増え、サロンより手軽な自宅で染めるように。それでも、新たに伸びてくる白髪染めのルーティンに煩わしさは募りがちです」

 そうした“染め疲れ”をなくすには、日々のケアでつなぎ期間をコントロールするのが得策。白髪用コンシーラーやヘアカラートリートメントを活用すれば、髪や頭皮への負担を最小限にして白髪をカバーできる。

「白髪染めのインターバルに頭皮環境を整えることは、未来の髪につながります。無理なく続く白髪ケアを見つけることが大切です」

【うっかり白髪はちょい染めでカバー】

 お出かけ前や外出先で見つけたチラ見え白髪には、白髪用コンシーラーが便利。手を汚さずに秒速で白髪をカバーできる。

「ここ数年でバリエーションが豊富になった白髪用コンシーラーは、ヘッドの形状や使用感がとても進化しました。白髪の量や部位に合わせて使い分ければ、頭皮につく失敗もなく快適に。メイク感覚で気軽に取り入れられます」

〈白髪が多い・分け目の白髪向け〉
●ファンデーションタイプ

広範囲を一気にカバーするのに最適。エマルジョンタイプは髪になじみやすく、つけると水分が飛んでサラサラになる。
●カラーワックス
色つきのスタイリングワックスは、毛束をつまんで筋状につけるとハイライトのよう。おしゃれに白髪をカバーできる。

〈白髪が少ない・生え際&短い白髪向け〉
●マスカラタイプ

生え際などの細部に便利。ティッシュオフして余分な液体を落とし丁寧に塗るのがコツ。色が合えば、眉用マスカラでもOK。
●コーム型マーカータイプ
頭皮に色がつかないようブラシ部分が工夫されている。つけたい部分の毛束を持ち上げて、表側と裏側から塗ると失敗しない。

【白髪ぼかしにはヘアカラートリートメントが最適】

 髪の表面をコーティングして徐々に色を定着させるヘアカラートリートメントは、髪や頭皮への負担がなく扱いやすいのが魅力。

「ほかの白髪染めと併用しても仕上がりに影響がなく、つなぎのケアにぴったりです。シャンプー後に使う場合は、濡れた髪だと染まりにくいのでタオルドライをしっかりと。なかなか染まらないときは、乾いた髪に塗って温めると色が入りやすくなりますよ」

【白髪にアプローチする成分がある!?】

 白髪への効果が期待される成分として伊熊さんが注目するのは、「ホップ」「ヘマチン」「グレーバースTM」の3つ。

「色素細胞メラノサイトを活性化する、メラニン色素を作る酵素の働きを活性化する、白髪発生要因のメラニンの減少に働きかけるなど、白髪をターゲットにした成分や処方が開発されていて、この先の研究にも関心が高まっています」

(取材・文/中村明子)

※伊熊さんの著書『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』1540円/小学館 *記事中の画像をクリックするとアマゾンの商品紹介ページにジャンプします