「エターナル・プロデューサー」としてジャニー喜多川さんが名を連ねる舞台『DREAM BOYS(ドリボ)』が1月27日に千秋楽を迎えた。
かつては滝沢秀明、亀梨和也や玉森裕太らが主演を務めた、ジャニーズのエンターテインメントを表現する代表作品の一つで、2019年からは『King & Prince』岸優太が座長を務めている。そんな夢の舞台・帝国劇場からほど近い距離にある大型書店にもファンは足を運ぶ。
「この書店はエンタメ系の雑誌の品揃えが充実していて、毎月、ジャニーズタレントが表紙の雑誌がずらりと並ぶので、今“推されている”タレントが誰なのかひと目でわかるんです。昨年末は“ドリボ”で岸くんと神宮寺(勇太)くん、グループとしてもキンプリの表紙が目立っていたんですが、先日のぞいてみたら顔ぶれがすっかり変わっていました。アイドル誌、映画専門誌、ファッション誌、女性誌のコーナーを独占していたのが“スノスト”。2021年は彼らの年ということかも」(ジャニーズファン)
圧倒的なダンスパフォーマンスを見せる9人組の“肉体派”『Snow Man』と、メンバー6人全員が高い歌唱力を持ち、尚且つジェシーや京本大我、松村北斗らJr.時代から実績を重ねた面々が揃う『SixTONES』。彼らは“スノスト”としてファンからの絶大な支持を集める次世代ジャニーズだ。
“スノスト旋風”がコロナで
そんなライバルグループが同時デビューしたのが2020年1月、異例の合作CDは累計176万枚を超える大ヒットとなり、シングル年間売上ランキング(オリコン調べ)でも1位に輝いた。スノストが旋風を巻き起こすと思われた、がーー。
「デビューコンサートは新型コロナの感染拡大の影響により中止となり、初出場予定だったNHK紅白歌合戦もメンバーが感染して泣く泣く辞退と、不運に見舞われたSnow Man。でも、そんな彼らをますます応援したくなるのがファン心理か、ファンクラブ入会者がさらに増えたそう。2012年の結成からようやく勝ち取ったデビューだけに、ファン共々ハートが強い」(スポーツ紙記者)
2019年のジャニーさん他界後、Jr.の育成とプロデュースを任されている滝沢秀明。“Snow Man”の名付け親でもある彼がジャニーズ事務所副社長、子会社の『ジャニーズアイランド』社長に就任して真っ先に取り組んだのが、長年自身のバックを務めてきたSnow Manを売り出すことだった。
それまでの既存メンバー6人に、他ユニットに参加していたラウール、目黒蓮、向井康二を移籍させて、Jr.ながら圧倒的な人気を誇っていたSixTONESと“抱き合わせ”る剛腕を発揮。タッキーのプロデュースが見事に功を奏し、ジャニーズで最も勢いのあるグループの一つに成長した。
冒頭の、表紙ジャックも売り出し戦略の一手だという。広告代理店関係者が明かす。
「通常、雑誌媒体が宣伝絡みのグラビアやインタビューなどの特集記事を組む際、ジャニーズの場合は“表紙込み”での取材が行われることが多いと聞きます。
そしてSnow Manリーダーの岩本照が『Tarzan』の表紙で肉体美を披露したように、最近は男性向けの情報誌やグルメ、健康、趣味系など、幅広く雑誌メディアに登場しているんですよ。出版社側も“表紙で扱うならば”とオファーを受けているそうです」
ジャニーズが表紙を飾ることで、固定の購読者以外にも熱心なファンがこぞって買い求める効果があり、露出を増やしたいジャニーズと雑誌媒体に“Win-Win”の関係が築ける仕組みだ。そして1月20日に3rdシングルをリリースしたSnow Man、2月17日に4thシングルのリリースを控えているSixTONESが現在、表紙ジャック中というわけだ。
加えて、彼らはタッキー主導の下で、時代にフィットしたマーケティングも仕掛けている。ジャニーズは2018年に初のネット配信となるYouTube『ジャニーズJr.チャンネル』をスタートさせたのだが、当時は業界を驚かせたものだった。
「ネットに画像を載せることさえも頑なに拒んでいたジャニーズさんが、“アナログ”志向から一転してIT業務を推進するようになったのです。これを強く要望していたのもタッキーだったと言います。実は10年ほど前にネット動画サイト『滝CHANnel』を立ち上げ、Jr.を出演させていた時期があるんです。その時にすでにビジネスの構想ができていたのでしょう。
事実、タッキー率いるジャニーズアイランドは2019年3月に動画配信サービス『ISLAND TV』をスタートさせ、当時Jr.だったスノスト(2021年1月31日に番組から卒業)らを中心に若手たちを露出させました。そして、テレビよりもネットが身近な若い世代のファンを、“Jr.”というコンテンツを使って取り込んだのです」(芸能プロ関係者)
さらに同年、スノストそれぞれが単独でYouTubeチャンネルを開設。チャンネル登録者数こそ“巨塔”嵐の318万人には及ばずも、Snow Manが107万人、SixTONESが108万人と着々と伸ばしている。現時点でチャンネルを持っているのはこの3グループだけということからも、期待の大きさと共に、ネット配信も活動の中心に見据えていることが窺える。
他にもSnow Manは動画配信サービス『Paravi』にて、レギュラー番組『それSnow Manにやらせて下さい』を配信。アクセスが集中する人気番組になっているようだ。劇場で観客の反応を間近に見てきたタッキーだけに、今どきのファンのニーズに応えたプロデュースなのだろう。
“ポスト嵐”最右翼のキンプリ
一方で、レコード会社による公式MV(ミュージック・ビデオ)はあれども、意外にも独自の配信をしていないのがキンプリだ。スノストよりも約2年早くデビューした彼らは、ジャニーズを背負うべく結成された“エリート”集団。
「メンバーは平野紫耀くんをはじめとしたジャニーさんの秘蔵っ子ばかりで、彼らのための新レーベルが発足されたほど。現在は一線から退いたメリー喜多川さんもセールスプロモーションに尽力したと言い、引き継いだジュリー(藤島)社長がテレビ局を中心としたお得意の“メディアミックス”で売り出しているみたいですね」(前出・芸能プロ関係者
グループ名の通りに、アイドルの“王道”を突き進んでいるキンプリ。“ポスト嵐”の最右翼としてテレビ局からも期待されるだけに、活動休止となった先輩の“後を継ぐ”という話も出ていたようだ。
「嵐のレギュラー番組の枠を、そのままキンプリにシフトする動きがあったようです。特に日テレは『嵐にしやがれ』が放送されていた土曜夜9時枠を、キンプリ“初の冠番組に”と期待を寄せていたと言いますが、結局は上層部からGOサインが出ずに用意されていたのは櫻井翔のMC番組だったと。
世代交代を露骨に印象付けることは避けたかったのか、またはコロナ禍で外ロケなどで行う企画が制限される現状だけに“時期ではない”と、状況を鑑みて見送られたとも考えられます」(テレビ局関係者)
「ライブ配信」で映えるスノスト
ジャニーズにとっても大きな転換期となった2020年、“本業”であるコンサートが開催できない異常事態となった。年が明けてもなお、1月4日にスタート予定だったSixTONESを含めたコンサートが次々と中止になっている。しかし、「新たなビジネスチャンスも見出された」とはレコード会社関係者。
「各アーティストや歌手が手探りではじめたコンサートの収録配信やライブ配信ですが、これが思いのほか成功しているんですよ。座席数が制限される会場とは違い、ほぼ無制限で集客できるわけですからね。
また、長らく問題視されるチケット転売もできませんし、コンサートグッズもネット通販が当たり前の時代。ライブ配信事業は一つのエンターテインメントの形になりつつあるのです。コロナが終息して通常コンサートに戻ったとしても、配信との併用を検討する事務所さんが多いと聞きます。
特に、ジャニーズの中でもスノストの全身を使ったパフォーマンスは迫力があって画面を通しても映えますし、ライブ配信に向いていると思います。“腹筋太鼓”などは間近で見たいですからね(笑)。長年にわたる舞台出演で、タッキーに揉まれた成果でしょう。2021年のエンタメを引っ張るのは彼らかもしれません」
逆境をチャンスに、ジャニーズのトップまで登り詰めることができるか。