5夜連続の雀荘通いに出勤前の風俗店、そして5人以上で会食、さらに妻ではない女性とのホテル密会まで……。『週刊文春』(2月4日号)が報じたのは、時津風親方(元前頭時津海)のまるで“不要不急外出の宝石箱”ともいえる行動の数々だった。
その内容は、誰が見ても目に余るものだ。
角界の力士にとって新型コロナは、世間一般の人より脅威だと言われている。そのワケは、力士たちは若いころから体を大きくするために無理して食べ続けることもあって、糖尿病などの基礎疾患を持つ者が多いからだ。昨年5月には高田川部屋の三段目力士・勝武士(しょうぶし)さんがコロナで死去している。まだ28歳だったが糖尿病を患っていたという。
横綱・白鵬ほか、複数の部屋で感染者が続出したことで、相撲協会は独自のガイドラインを策定しコロナ感染予防に力を注いでいたところだ。当然不要不急の外出は認められておらず、それは親方であろうと例外ではない。
そんな中で明るみになった時津風親方の不埒(らち)な行動に、角界全体から怒りの声があがっているのは言うまでもない。
「親方は本当にのん気な人で、いまだに事の重大さに気づいていないんですよね。どの部屋も女将や弟子たちに外出禁止を言い渡しており、“美容院にも行けないから白髪が目立っちゃって”と嘆いている女将さんもいるほど、部屋全体で自粛している状態なのにも関わらずです」(スポーツ紙記者)
部屋関係者のリークか
時津風親方は無類のギャンブル好きだということはよく知られており、雀荘通いは日常茶飯だったという。だが緊急事態宣言下では避けるべきこと。しかし、親方として部屋の規律を守るべき立場にある本人に、そんな意識はなかったようだ。
たしかに親方の取った行動は許されることではない。だが、なぜ彼が『文春砲』のターゲットになったのか、疑問に思う人もいるだろう。
「親方に関する情報が、協会や相撲部屋など両国界隈から流れたものと思われます。本来ならこのような行動は協会に告げられ、協会が時津風親方に注意して止めさせれば済む話。それが週刊誌に流れたというのは、親方の態度が周囲から良く思われていなかったから。刺されたと見ていいでしょう。“毎夜どこかに出かけている”という話がリークされたことからして、部屋の関係者がリーク元として最有力では?」(協会関係者)
一方で親方を擁護する声もあるという。
「相撲の世界は歌舞伎や芸人の世界と似ているところがあり、ギャンブルや“女遊び”は大目に見られるところがあります。発覚してないだけで、そんなことをしているのは彼だけじゃないですから。これがコロナ禍じゃなかったら誰もリークなどしなかったと思いますよ。もし不祥事がバレたりしても内輪で処理しようとする文化がありますから」(相撲ライター)
現在の時津風親方はというと、さすがに今回ばかりは自分の置かれている立場をよく理解しているようで、相撲協会に『退職届』を提出したとされている。今後は部屋付きの間垣親方(元前頭・土佐豊)が時津風部屋を継承する方針だ。
そんななか、親方に激怒しているのが……相撲協会だ。
「『退職届』を出してきたことについて、“どこまでのん気なんだ”と憤慨しているそうですよ。自己都合の退職となると養老金(退職金)が発生しますからね。それだけは認めてはいけないというのが協会の総意だとか。昨年の九月場所の直前にも宮城県でゴルフや会食、それがガイドラインに反していたとして懲戒処分に。たびたびの素行不良にさすがに今回はかばいきれないのだそう。協会としては、彼を『除名』処分にする方針だそうです」(前出・協会関係者)
日本相撲協会の規則によれば、親方の養老金はおおよそ460万円になるという。
当の時津風親方は「“まさか受理されないとは…”と漏らしていた」(同前)というが、さすがに相撲協会も堪忍袋の緒がきれたということか。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。