謝罪会見でのベッキー('16年)

 ベッキー(36)・川谷絵音(32)の“ゲス不倫”騒動から丸5年が過ぎた。発覚が2016年の年明けで、ベッキーは1月末に活動休止。その年の5月に復帰したが、テレビではめったに見かけない状態が続いている。

“ゲス不倫”から5年、ベッキーの現在地

 その間、プロ野球・巨人の片岡治大(37)コーチと結婚。昨年3月には母親になった。が、ほとぼりが少し冷めたぶん、彼女への世間の関心自体も低下したようだ。

 1月23日には『きじまりゅうたの小腹すいてませんか?』(NHK総合)に出演。30代になってから料理に目覚めたそうで「料理番組、やったことは?」と振られると「今、やりたいんです。そのアピールで来てたりして、今日は」と語った。

 また、不祥事タレントの“避難場所”ユーチューブにも興味があるらしい。きじまから「料理番組、一緒にやりません?」と誘われると「やりましょうよ。か、ユーチューブ」と答えていた。ゲス不倫後の主婦ウケの悪さを思えば、テレビで料理番組はさすがに無理、ユーチューブのほうが安全だと考えたのかもしれない。

 ただ、このやりとりも話題にはならなかった。それでも、実際にテレビで料理番組を始めたら、やはり非難はされるだろう。モグラ叩きみたいなもので、目立つところに顔を出せば、引っ込めと言い出す人がいるはずだ。

 矢口真里もそうだった。不倫騒動から3年後に、カップヌードルのCMで自虐ネタをやったところ、炎上。わずか8日で打ち切りとなった。今の時代、不倫のダメージはそれくらい尾を引くのだ。

 それにしても、このつらい5年を経て、ベッキーは結婚・出産以外に何か変わったのだろうか。実は昨年9月、興味深い発言を耳にした。

メールは騒動のもと……

『華丸大吉&千鳥のテッパンいただきます!』(フジテレビ系)に水川あさみが出演。その友人として、ベッキーがVTRで交流エピソードを明かしたのだ。

 水川はせっかちな性格のため、メールの返し方がかなり雑なようで、ベッキーはこんなアドバイスをした。

「ちゃんとメール読んで! 納得した文章を送り返して! って思います。焦んないで、って感じ」

 思わず笑ってしまったのは、5年前に注目された川谷とのLINEの会話を思い出したからだ。

べ「友達で押し通す予定!笑」川「逆に堂々とできるキッカケになるかも」べ「 私はそう思ってるよ!」川「ありがとう文春!」べ「センテンス スプリング!」

 これが叩かれ、痛い目に遭ったことで、SNSでのやりとりは慎重にしなくてはと学んだのだろう。なにせ彼女は、口は騒動のもと、ならぬ、メールは騒動のもと、の時代を切り開いた人だ。

 彼女のおかげで、不倫が犯罪並みに非難されることも、文春砲には二の矢三の矢があることもわかった。そのわりに教訓にできているタレントは少ないが、ある意味、功労者といえる。

『小腹すいてませんか?』では、今後の目標について「ずっとテレビのなかにいられたらいいなとは思います」と答えたベッキー。あれだけテレビに愛されていたのに、今ではそのなかにいられるだけで幸せだという切実な心境のようだ。

 全盛期には有吉弘行に「元気の押し売り」というあだ名をつけられたが、できれば、その元気を買い戻したいくらいだろう。

 まぁ、こうして地道に頑張っていれば、そのうち、テレビの派手な仕事も回ってくるかもしれない。料理番組はちょっと難しいとしても。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。