「高校時代の成績はいつも学年トップ。まじめでおとなしい子だったのに……」
かつての親友である同級生は、驚きを隠せない。
都営住宅からの退去を恐れ、遺体を隠した
東京・葛飾区にある都営アパートの一室で母親の遺体を冷凍庫に遺棄していたとして、無職の吉野由美容疑者(48)が1月29日、逮捕された。
「遺体を放置していた理由について容疑者は、“10年ほど前に部屋で母親が亡くなっているのを見つけたが、母親名義の都営住宅から出なければならなくなると思って隠した”と話している」(テレビ局記者)
冷凍庫はネットで購入したもので、タテヨコ70センチ、奥行き50センチくらい。
「容疑者は家賃を1年以上滞納していたため1月中旬に退去しており、訪れた清掃業者が押し入れの遺体に気づき事件が発覚した」(前出・記者)
近隣住民の反応はというと、
「母親は病気で施設に入れていると聞きました。異臭もせず、遺体には気づかなかった」
部屋には女友達や彼氏のような男性が出入りする姿も目撃されているが、冷凍庫の存在は隠していたのだろうか。
保険料は未納で、年金も免除されていたという容疑者だが、部屋に住み続けることはできなかったのか。
都営住宅の管理をする東京都住宅供給公社によると、
「契約者が亡くなった場合、同居人が60歳以上もしくは配偶者、障害者でない限りは6か月以内をめどに立ち退く必要があります。金銭的な事情は基本的に考慮されません」
母親は精神を患っていた
葛飾区で生まれ育った容疑者だが、冒頭の親友によると、
「高校では服装の乱れた生徒が多かったけれど、彼女は制服のボタンとネクタイをしっかりしめていた。弁当も毎日、自分で作っていて、手芸好きで、家庭的な子でしたね」
人見知りだが、打ち解けると明るい性格だった。しかし、彼女には親友にも言えない“秘密”があった──。
長年、アパートに暮らす住人が振り返る。
「実は母親は精神を患っていたんです。朝から晩まで部屋の中で奇声をあげていた。窓が開いていて、隣のアパートまで響くほどの大声でした」
容疑者はひとりっ子で、寿司職人の父親は、20年ほど前に病死。母親に異変が生じたのは30年以上前だという。
「当時は4階に住んでいて、ベランダから風呂の水を流したりむちゃくちゃ。夜遅くまで部屋の前の通路に座って家族の帰りを待っていたので、近所の住人は気味悪がってました」
たまりかねた住人が抗議すると静かになり、周囲も施設に入ったと思い込んでいた。
容疑者は高校時代、帰宅部だったというが、毎日、母親の世話をしていたのだろうか。
大学進学を志望していたが、諦めて就職
前出の親友によると、
「うちの高校は進学校ではなかったけど、彼女は大学進学を志望していた。英語や国語など、文系教科が得意だった」
しかし、念願は叶わず……。
「家庭の事情で(学費の安い)国公立しか考えてなかったようだけど結局、諦めて就職。
初めの会社はすぐ辞めてしまい、その後、運送会社に入って大型トラックの免許を取得した。20歳くらいのとき、同僚と交際していて、結婚したいと聞いたのが最後です」
最近は近所で“介護士になるため学校に通いたい”と語っていたようだが、一部報道ではソープランドで働いていたという情報もある。
家の事情に翻弄され、苦難の人生を歩んできた吉野容疑者。どんな思いで母親と過ごしていたのだろうか。