「あんな凶暴な人やから、戻ってきたら仕返しが怖いんで話せません」
そう隣近所の人が震え上がって口を閉ざしたのは、危険運転をして逮捕された不気味な男のこと。
1月27日の夜、大阪府堺市南区の泉北1号線を走っていた軽自動車の40代夫婦が、約5分間、1・5キロにわたり、軽自動車に乗っていた無職・谷慎二容疑者(45)からあおり運転を受けた。
ニタニタと不気味な容疑者に
被害者は錯乱状態
ユーチューブでその恐怖の一部始終が公開されている。
後方から急接近して、執拗にあおり運転をしていたのは容疑者の赤い車だった。
「何、これ! 何、これ! 怖い!」
と叫びつつ、スマホで録画する妻。次第にパニック状態に陥っていく。
容疑者の車は右側に並び、併走しながら幅寄せを。最後は前に強引に割り込んで、被害者夫婦を急停車させた。
車を降りた容疑者は被害者の車に近づき窓を叩く。ヘッドライトに照らされたその表情には、ニタニタと不気味な笑みが浮かんでいた。
「最近は、ドライブレコーダーの設置が増えたので、交通トラブルの動画を目にすることは多くなりましたが、脅したり怒ったりするのではなく、ニヤついているというのは異質でした」(テレビ局記者)
夫婦は車のドアをロックしていたので直接、危害を加えられることはなかったが、急停車で腰を捻挫していた妻は、もう完全に錯乱状態。
夫が110番通報をしていたが通信指令室から、
「奥さんの声が大きいので、静かにしてもらえますか」
と、なだめられる始末。さらに、スマホで録画されているのを承知で、不敵な笑いを浮かべながら、容疑者は丸刈り頭を堂々とさらし、自分の車のナンバーを撮れというように、指し示す仕草を……。
こうした行為で結局、谷容疑者は道路交通法違反(妨害運転)と自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、2月8日に逃亡していた島根県で逮捕。容疑については、
「弁護士が来てから」
と認否を保留している。
そんな危険すぎる容疑者とは、どんな人物なのだろうか──。
ふだんはおとなしいけど、
酒を飲むと怖い
1年半前、堺市南区の新興住宅地の延床面積100平方メートルほど、約3000万円の新築一軒家に越してきて、犬2匹と暮らしていた容疑者。
冒頭のように、近所でもうとまれる存在だった。
「幼い子ども連れのファミリーばかりの住宅地やのに、ひとり暮らしはあそこだけ。同じ年代の人が多いのに、近所付き合いもせんで、昼間から酒飲んでプラプラして、まるで独身貴族。軽自動車以外に普通車もあり、かなり金持ちと思っていた」(近所の住民)
本人らしきフェイスブックでは、愛犬との散歩、禁酒やFX(外国為替証拠金取引)、和歌山でサーフィンをする様子が紹介されている。
別の住民はこう証言する。
「コロナで仕事がなくなったと聞いています。FXでも失敗したとか。機嫌が悪いと、近所に“子どもの声がウルさい”とか“ゴミ出しはちゃんとしろ”とか文句を言っていたことも。ふだんはおとなしいけど、酒を飲むと怖い感じ」
ユーチューブに映る容疑者は、飲酒をしていたのではと思ったという。さらには、
「子どもが遊んでいるところをボーッと1時間も見ていたことがあったので、ゾッとしました。子ども好きのニコニコした目ではなく、なんか犯罪に巻き込むような目だったから……」(同)
掲示板に実名で書き込む
“名物クレーマー”
近所では、クレーマーとしても知られていた谷容疑者。
インターネット上で、容疑者が住むエリアの情報交換をする掲示板に、本人と思われる人物が実名で書き込みを行っていた。
《こんばんは、谷です。何度も言いますが、×××には谷が2世帯ありますので、どうか×××番地の谷さんと名指してください》(以下、本文ママ。×は週刊女性で伏せ字)
そう自分の住所を明かし、
《私は、独り身で犬2匹と暮らしていますが、散歩は住宅街でしておらず……》
と自己紹介。あおり運転のときと同じくある意味、堂々としている。
ペットの飼育マナーについては特に神経質で、次のような主張も。
《自宅前で糞尿されるといやですね》
《尿の匂いで他人に迷惑かかるんやで》
現に自宅の玄関先や庭はきちんと手入れが行き届いていて、ゴミ出しも丁寧だったそう。
《糞尿をしている飼い犬を連れている飼い主を見つけた時はどこに住んでるかと聞くか、後をつけるです》
と、酔っぱらったような口調で恐ろしい書き込みも。
隣人のポストに入っていた
容疑者からの“手紙”
事件前には掲示板で反論されると、
《こっちは番地さらしてるのに》《直接文句言いにに来てもらってええで》《手紙でもいれといてくれたら対応する》
そんな挑発もしているが、実際に容疑者から手紙をもらった人物がいた。
容疑者宅から車で15分ほど。かつて容疑者が住んでいたメゾネットの関係者が話す。
《自分は夜勤をしているので昼間に寝ていますが、そちらの犬がうるさくて眠れないので、なんとかしてほしい》
という手紙が隣人のポストに入っていたそうだ。
「谷さんも犬を飼っていましたが、隣人は谷さんの部屋に近い部屋には犬を入れないようにして、解決したようです。怖い感じの人ではなかったそうです」(関係者)
トラブルには発展しなかったが、今回の事件をみればゾッとするような出来事だ。
「被害者の車は、ノロノロ運転をしていたわけではないし、いまのところ落ち度はないようです。容疑者のアルコールや薬物摂取については、現在のところ捜査中です」
と捜査関係者。
運転中の谷容疑者に癪に障る何らかの出来事があったのだろうが、ペットの糞尿以上に自分が迷惑をかけたことに気づいたのだろうか。